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方舟  作者: ゆめゆめゆめみ
第1章
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演説

短くなってしまいました。

天体の探査および無人先行開発計画に使用される機体の開発が進み、計画は飛躍的な進展を遂げた。しかし、各国に対する計画参加交渉は完了しておらず、未だ計画は公にされていなかった。この影響で各国は水面下での協力しか行え無いでおり、計画の全体の進捗は緩やかであった。しかし、この日、2031年3月9日ついに待望の時を迎える。


「みなさんこんにちは。方舟計画責任者の小林雄二です。全世界同時生中継で、地球に生きる全ての人々にお願いをするために、ここ、ニューヨークにある国際連合本部から私はお話ししています。今からお話しする計画は、人類史上最も壮大で、最も偉大な試みになるでしょう。そのために、みなさんのご協力が必要なのです。私はまず、皆さんの国を代表する方々に、私が掲げる「方舟計画」をご説明しました。それがこの5ヶ月間の事です。そして今日、国際連合に加盟するすべての国の代表者から賛同を得る事ができました。その計画とは、人類に第二の地球をもたらす。という計画です。」


「計画の詳細は後ほど、我々の科学者から説明がありますし、全世界のメディア宛に詳細が記されたデータが配布されますので、概要だけ私からお話しします。我々人類は地球から約1.5光年の距離の中にある、人類の居住の可能性が認められる7つの天体に探査船を向かわせ、調査し、最も居住に適した天体に植民します。探査船の出発は今から三年後、2034年、有人船の出発は2046年を予定しています。最初の植民は開発チームにより開始されます。この計画のために我々は約300兆円の予算が必要であると試算しました。」

「すでに計画は進行しています。探査船の開発は最終段階に入り、月面マスドライバーの建設も進んでいます。文明を破壊するために作られた兵器ですら、人類の繁栄のために我々は活用しています。破棄予定だったICBMを改修し、宇宙へ物資を打ち上げるロケットとして活用しているのです。このように、人類の英知を結集し、全てのエネルギーを注ぐことで、初めてこの計画は成功するのです。」


「ここで冒頭のお願いに立ち返ります。地球に生きる全ての人々に寄付をお願いしたい。10セントでもいい。10元でもいい。例え僅かな金額でも、全ての人々が寄付をすれば膨大な額になります。人類が皆で協力する事ができればどんな困難にも打ち勝つ事ができると私は信じています。」「そしてもう一つ、皆さんのpc、スマートフォン、ゲーム機の力をお貸しください。これらの機器を全世界で並列に接続する事によって、どんなスーパーコンピュータよりも遥かに優れた演算処理能力を得ることができます。宇宙開発には膨大な量のデータ処理が求められます。皆さんのご協力が有れば我々の計画は飛躍的に進展するでしょう。」


「方舟計画の実現に伴い、日本、EU各国は全ての国家に対し核融合技術の無償供与を決定しました。近い将来人類のエネルギー問題は解決する事でしょう。だからこそ、今、団結する時なのです。我々の歩みを進める時なのです。ですから、どうか、みなさんの力をお貸しください。」


演説終了後、会場から割れんばかりの拍手が小林に送られた。こうして、方舟計画は白日の下にさらされ、全世界でこの壮大な計画が話題となり、莫大な額の寄付が集まる事となる。

驚く事に、この日を境に株式市場において、宇宙関連銘柄が連日ストップ高となり、これが波及し、全世界で好景気がもたらされる事になった。この流れは計画の新たな情報が流される度に起き、各国政府は計画参加による、予想もしなかった利益を早くも手にする事となったのだ。


「素晴らしい演説だった。これで我々も公式に動くことができる。ようやくね。しかしこれからが大変だ。何故なら、議会を説得しなければならないのだからね。」ベンジャミン大統領は、「困ったものだ」と楽しそうに微笑んで見せた。


各国政府は臨時の議会を開き、計画参加に伴い必要になる法改正について議論を交わした。各国に割り当てられた負担金についても議論が行われ、全ての国の議会で計画参加が正式に承認された。短期間で各国の議会が纏まった背景には、それぞれの国の思惑が複雑に絡み合っていた。


小林が国連で演説を行ったその日から連日、ロケット打ち上げ技術を持つ全ての国から、夥しい数の貨物ロケットが月に向けて打ち上げられていた。計画で非常に重要となる月面マスドライバー建設のための資材と人員を運搬するためだ。すでにマスドライバー施設は居住区画と司令部区画が完成し、施設全体の三割が完成していた。日本、アメリカ、ロシア、インド、中国が独自に計画していた宇宙での計画を中止し、資材、人員を流用する事で急ピッチで建設が進んでいたのだ。数日もすれば、建設に関わる人員の数は数十倍に膨れ上がり、更に早い速度で建設が進むこととなる。


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