↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハニーオレンジとアメジスト ──神の子とエルフの里  作者: じゅんき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/22

第九話 ──里の事件──

「リンクには私と一緒に里帰りしてほしいのよ」


真剣な顔のソレイユ。


(それって……つまり彼氏を親に紹介するってやつ?

……いやいや、そういう意味じゃねぇよな?)


ローランドは慌ててリンクの顔を見た。


わかっているのかいないのか、

リンクはじっとソレイユの目を見ている。


祝ってやりたいのに、ローランドは寂しげに顔を曇らせた。


リンクは小さく息を吸い、

「それで、僕はどうしたらいい?」

ぼそりと答える。


(“どうしたらいい”じゃねぇよ……そこは親御さんに頭下げんだろ)


ソレイユは椅子の背にもたれ、腕を組んだ。


「そうね、まずは里長を中心に、エルフに化けてる奴がいないか見極めてほしいの」


「は?」

ローランドが間抜けな声を上げた。

ソレイユとリンクが同時にローランドを見る。


「“は?”じゃないわよ。なんであんたが答えるのよ」


「あ、いやいや……なんつーか、話が見えねぇな~って」


ローランドは頭をかきながら、困ったように笑っている。

ソレイユはため息をつき、少し声を落として話し始めた。


ここ最近、エルフの里で起きている事件のことだった。


「だから、うちの里も安心してられないのよ。

誰の仕業かわかんないけど……家族は絶対に守りたいの」


「ってことは、ソレイユって里長の子なのか?」


リンクは目を丸くした。


「なんだ? リン、知らなかったのかよ」


「そうね、ザックにしか話してなかったわね」


ソレイユはふっと斜め上を見た。


「だったら冒険者なんてやっていいのかよ?

ゆくゆくは里長になるんじゃ……」


「実は、私は里長の妹の子なの。

両親が亡くなって、……里長のところに預けられたのよ。

……本当の子じゃないわ。

それに里長には娘がいるし……」


意味ありげな間を挟んで、ソレイユがため息を吐いた。


「……私は、そういうのじゃないの」


瞳は、悲しい色をしていた。


「……なんかしんみりしちゃったわね。こういうの苦手だわ。

じゃあ明日ここを発ちましょ。朝9時にギルド前に集合ね」


そう言い残して、まるで別人のようにしおらしく店を出ていった。


なんとなく後味が悪い。

ローランドはわざと明るくリンクに話しかける。


「リン、ギルド行ってみるか?

エルフのこと、何かわかるかもしれねぇしよ」


「そうだね」


戸締りをして、二人はギルドへ向かった。


ギルドはいつもと変わらない風景。

受付のベルの音と、冒険者たちのざわめきが混じり合っていた。


掲示板には目ぼしい情報がなかったので、二人は受付へ足を向けた。


「よぉ、アリサちゃん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」


ローランドはカウンターにもたれながら声を掛けた。


「こんにちは。二人揃って依頼ですか?」


「いや、今日はちょっと野暮用でな」


「そうなんですね。そろそろ21階層にでも行かれるのかなって思ったんですけど」


「そんな、俺たちが行っちまったら攻略しちまうじゃねぇか。なあリン」


リンクはわずかに眉を寄せた。

「ロウ、本題に入ってよ」


「ノリが悪いなぁ」


「本題って何ですか?」

アリサがニコニコしながら尋ねる。


「いやな、エルフの里が襲われてるって知ってっかなーと思って」


するとアリサは周囲を気にするように腰を屈め、内緒話の姿勢になった。

眉をひそめ、小声で話し出す。


「ここだけの話ですよ。

なんだか殺人鬼が出てるみたいで……。

エルフの里は国に所属してないから、騎士さんたちも動けてないみたいです」


ローランドは訝しげに眉を寄せた。


「ギルドのエルフの子も、心配で里に帰っちゃって……。

薬師のエルフさんも店を閉めてるんです」


「もしかして……サンディーちゃんも?」


ローランドが絶望的な顔をする。

肩ががっくりと落ちた。


「サンディーって?」


リンクがローランドの顔を覗き込むように尋ねる。


「この街で一番高い女」


その瞬間、リンクの拳がローランドの脇腹にめり込んだ。


ローランドが悶絶している横で、リンクがアリサに何かわかっていることはないか尋ねた。

しかし、ソレイユから聞いた以上の情報は得られなかった。


ギルドを出ても、リンクの眉間はずっと険しいままだった。

ローランドは横で、ただ黙って頭を下げ続けていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。