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20/52

20、小説を書きたいと思う

 ずっと小説にチャレンジしてみたいと思っていました。

 実際にちょっと書いています。

 けれど、書いては消し、書いては消しで結局、現時点では原稿用紙60枚ぐらいです。また消したくなっています。


 物事というのはなんでもそうだと思うのですが、始めたては楽しくて夢中になれます。

 始めのほうだけなら「プロの小説家より面白い作品を書けている」というような気分になります。

 小説を書くときに、売れている小説をいくつも参考にするのですが「自分の作品はそれを超えている気がする」と妙な自信に駆り立てられます。


 しかしある日、突然に消す日が来ます。

 個人的な感覚では、原稿用紙30枚を越えてきたあたり。

 1章を終え、2章に差し掛かるあたりです。


 自分の作品が世界で一番つまらなく見える。


 ドーパミンが切れてしらふに戻ったのです。

 世界一の文豪になったつもりの自信が消え、データをゴミ箱に移動させてしまうのです。

 そうやって何度も小説をゴミ箱に突っ込んでしまいました。


 エッセイはなんだかんだ今日で20章です。

 ここまで続いたのは、私の中に闇がたまっていたからだと思います。

 誰にも読んでもらえないとしても、とにかく自分の中にたまった闇を吐き出したいという願望があり、ひたすら吐き出すように書いていました。


 不満、苦しみ、嘆きといったマイナスのものをとにかく放り投げることを優先していました。

 どうやったら読者に楽しんで読んでもらえるかと言った態度よりも、とにかく闇を出したいという願望がむき出しになっていました。

 そんな闇を払う儀式の要領で、20章まで来ました。


 もしかしたら、小説もそうなのかもしれません。

 読者に読んでもらうテクニックだけで小説を書き続けているのではなく、とにかく書きたい、自分の闇を出したいというような勢いも必要なのかもしれません。


 それは本当にダークな願望です。


 世の中の小説より自分の小説のほうが面白い、わかってくれ!


 このような狂人の叫びによって何かを継続できるのかもしれません。

 ある東大に合格した人が言っていた話なのですが。


 塾にすごいやつがいて、そいつが多くの女子に慕われていて、そいつが気に入らなくて、それでそいつを超えたいという一心で勉強していた。

 世の中を良くする人間になりたいとか、将来弁護士になりたいとかそんなことではやっていなかった。

 

 勉強も闇の力あっての継続なのかもしれません。

 いまの社会は「読者のため」とか「世の中のため」というきれいごとが賛美されます。それは間違っていないと思います。

 ですが、それでは人は継続できないのではないかと思いました。

 かと言って、自分の利益でも継続はできません。

 私自身、「勉強すればいい仕事につける」と言われてきましたが、だからと勉強はしなかったのです。

 自分の利益でも、誰かの利益でもなく、闇がエネルギーになっているのではないかと思いました。


 読者のためでは書き続けられません。

 何か闇が爆発していくような流れが継続には必要なのだと思いました。

 私が小説を書き続けることができるとすれば、闇を得たときなのでしょう。


 闇が人を動かすというのは嫌な感じですが、それが決して変えられない真理なのではないでしょうか。

 テストのための勉強はできませんが、鉄板に触れたときはすぐに手を離すことができます。

 熱くて苦しいという感覚が人を動かしているのであって、目の前のご褒美のためぐらいではなかなか人は動けないわけです。


 アメとムチという言葉がありますが、アメのためにムチを受けているというよりはアメを食べないと餓死するからムチを受けているのです。

 そんな追い詰められた闇だけが人を動かしている気がしました。

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