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10-3. プロフェッショナル

 この物語はフィクションです。

 作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、

 特定の事件・事象とも一切関係はありません。

 日付を跨いだころ、やっとサトウは住まいの木造二階建てアパートに辿り着いた。

 アパートの出入り口に下りた防犯用シャッターの鍵を開けて建物内に入る。


 疲れた。


 そもそも全宰相の演説があったカワキタ・ザ・ゴッド記念庭園は、サトウは今までに行ったことがない場所だ。

 博士との話の後、野外ステージ前に向かうも演説はとうに終わっており、連れてきてくれたワンの姿も無かった。


 土地勘のない場所。しかも二二時に放り出されたサトウは、真っ暗な道を彷徨いながら二時間近くかけてオウズマートまで戻ることができた。

 店内で待っていたワンから、今後のサトウのシフトについての電話があったと伝えられ、何と変わりの人員も手配済みだと説明された。


 生きて帰れてよかった。輩のような上級国民に見つかればそのまま拉致コースだったこともありえただろう。


 安心して気が緩んだサトウは鼻歌交じりに通路を進み、自室である204号室の前で鍵を取り出す。

 そういえば部屋のゴミ箱に入れていた蝉が、プロフェッショナルとやらに回収されていたはずだ。

 昨今のハイテク化の波に乗り遅れに遅れている木造アパートに住んでいて何だが、自分の住まいのセキュリティが心配になってきた。


 サトウは鍵穴に鍵を差し込んで回し、ドアノブを掴んだ。


 ガチャン。


 扉の鍵がかかったようだ。

 つまり扉の鍵は最初から開いていたことになる。


 改めて鍵を開け、自室に入ったサトウが電気を付けた。


 破られた襖。

 散乱した私物。

 脚の折られたちゃぶ台。

 片っ端から捲られた畳。

 開け放たれた収納の扉。

 倒されたカラーボックス。


 そして、ひっくり返ったゴミ箱。


「どこがプロフェッショナルなの!」


 ここまで荒らせば誰でも目当ての物を見つけられるだろう。

 プロフェッショナルの辞書に現状回帰という文字は無かったらしい。


「くそぉ、国の人間はいつもそうだ。有識者だ、プロフェッショナルだと適当な人材を集めるだけで、その後の計画や作業進行についてはあまりに杜撰、適当、ズボラ。とりあえず金だけ出して人を集めれば良いと思ってるんだ‥‥」


 ぶつぶつ言いながらサトウが部屋を片付け始める。

 せめて今夜の寝床だけでも確保しなければならない。


「こんなもんかな」


 床に散乱した物を全て部屋の隅に寄せ、布団を敷くスペースを作った。

 収納から布団を出してみてサトウはまた驚くことになる。敷布団も掛布団も丁寧に引き裂かれていたのだ。

 個人的な恨みのある人物が、プロフェッショナルの中に居たのではないかとすら考えてしまう。


「明日から僕はやっていけるんだろうか」


 物理的にボロボロにされた布団に寝転び独りつぶやいた。

 彼の人生最悪の夏は、もう始まっている。

 家でゴロゴロするのも生産性が無いので、終活ガイド資格3級とやらを取ってみようか

 と考えるだけ考えて3週間ほど経ちます。私ったら本当に意志薄弱おばさんなんだから。

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