8-2. 横付けされたら身構える大きさのバン
この物語はフィクションです。
作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、
特定の事件・事象とも一切関係はありません。
暴露発言中、観衆は口々に「すばらしい」「そのおかげで今の帝国がある」と讃美した。
とりあえず周囲に合わせて拍手だけしてみたサトウの服の裾を、何者かが引っ張った。
全身が蛍光緑色に発光する少女だ。
先日、モンド運動公園での騒ぎの際、サトウを救った少女がまた彼の眼の前に現れた。サトウは思わず少女に話しかける。
「君ぃ!昨日はありがとう。あの後、無事に家まで帰れた?」
「いえ。私は一度も帰宅していません」
「何それ。迷子?家出?物騒なんだからダメだよ。家には帰らないと」
「ご心配には及びません」
「サトゥ。いったい誰と話してるカ」
ワンから声をかけられて、公園でも少女の姿は自分にしか見えなかったことをサトウは思い出した。
同じ発光人間ではあるがサトウにしか見えない少女と、誰もが見ることができている前宰相。どこに違いがあるのだろうか。
「へへっ、いや、前宰相の演説に感動しちゃってぇ。何か降霊りてきちゃったかもぉ」
「サトウ様。私どもは貴方様にお話がございます。只今、お時間の方よろしいでしょうか」
「よろしくはないですね。あそこで演説してるお爺さんに睨まれてるし。雇用主からは虚空に話しかける狂人だと思われてるし」
「そうですか、残念です。‥‥一〇秒です」
「ア”ッ!!そのカウントダウン怖いんだってば。そんなこと言われたって途中退席なんかしたら大変な目に遭わされるらしいし」
「大丈夫です。途中退席にペナルティはありません。三秒です」
「まぁこれだけ演説聞かずに君と話してたら、失礼度でいえば途中退席するのと変わんないか」
サトウは少女の手を引いてその場から離れる。その行動にギョッとした表情をしたワンが引き留めようとするも、サトウはすでに人垣の向こうへ消えていった。
「ちょっト、洒落にならないヨ。戻ってきなヨ」
ワンが恐る恐るステージ上を見ると、前宰相は既にこちらには視線を送っていなかった。
今は税金を使って週八でSMクラブ通いしていたのがバレて当時のメディア媒体で報道されてしまった事と、報復にそのメディア媒体の運営会社の法人税を引き上げて倒産に追いやった事を嬉々として語っている。
「ギリギリセーフなのカ?‥‥それにしてもサトゥ、流石に一二六連勤は限界なのかモ。ワンオペになる日ハ、いっそ店休日にしたほうが良いのかナ」
前宰相が輝いて見えたり、一人でブツブツ話し始めたり、サトウの限界は近いのかもしれない。優しくしてあげようと、ワンは思ったのであった。
完全に風邪を引きました。
月曜の日中も寝るのは気持ちよかったです。
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