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6-1. ザッピング

 この物語はフィクションです。

 作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、

 特定の事件・事象とも一切関係はありません。

 次の日。一二六連勤目。

 朝九時に起きたサトウは、支度を済ませてオウズマートへ来ていた。


 オウズマートの表には防犯用シャッターが下りたままになっている。

 隙間から店内を覗くが、どうやらワンはまだ出勤していないらしい。


「おはようございまーす」


 裏口からスペアキーを使って店内に入るサトウ。

 そのまま表の出入り口の内鍵を開けると、レジの内側で椅子に座りカウンター脇に置いてある新聞を読み始める。といっても本日分の商品等は昼過ぎに配送されてくるため、昨日の内容なのだが。


 大きな見出しのタイトルだけ流し見し、サトウは時計を確認する。

 ワンが出勤してくる開店時間の一〇時まではもう少し時間がある。

 暇つぶしにテレビを点けたサトウは、世間で何か面白いことが起きてやしないかとザッピングしてみた。


『昨今の水道水の急激な水質悪化について、政府は水道水を飲水として使用しないよう国民に呼びかけています』

--

『下・中級国民、合わせて二〇人の重軽傷者が出ている、リベラルマン事件について続報です』

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『帝国内の不法滞在者、いえ、‥‥Bランク国民になられる移民の方々ですね、が今月で累計一一〇万人を突破しました。この事で政府はBランク以上の上級国民への公共サービス拡充のため、さらなる増税の検討を加速すると発表しました』

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『現在は政界を引退しておりますが、今日に至るまで約一〇〇年以上、帝国を支え続けてくださっているカワキタ前宰相。その前宰相が自らのことを唯一神とした教団を設立し、その後、国教に定められてからなんと本日で六六年となります』


 どのチャンネルに換えても、昨日の運動公園での事件はもう報道されていなかった。

 被害者のほとんどがFランクだったこと、賎民調教犬の飼い主が上級国民だということが関係しているのだろう。


 そもそも世間は「下級国民を犬に襲わせたこと」より「最悪の場合、危険な犬が下級国民の居住区外へ解き放たれていたかもしれないこと」に注目していたのだ。

 すでに公園は封鎖され、犬も捕獲された今、これ以上は騒ぎ立ててしまえば上級国民への批判と取られかねない。


 せめて自分と関係のありそうなニュースを見ようと、サトウはリベラルマン事件について報道していた局へチャンネルを戻す。


挿絵(By みてみん)


 突然現れては人を殴り倒して去っていく危険人物だ。

 どうやら上級国民を狙った犯行らしいが、上級国民の盾になった(された)下・中級国民に怪我だけ負わせては逃走を繰り返しているらしい。


 リベラルマン自身から特に声明などはなく、目的は不明。

 犯人像も恐らくFランクだということしか判明していない。


 それなりの階級の国民は下級国民を虐げ、下級国民は自分より上位の階級の国民に諂うといった構図が出来上がって久しい帝国では、この手の事件はかなり珍しい。

 動物園でアザラシの赤ちゃんが生まれたニュースとかだけ見たい派。

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