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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第10章 幻想の花嫁

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#277 柚子の進路相談

 私は柚子、未来の大人気Vチューバーである!

 だがしかし、今はただの受験生なのである。


 そんなある日の事⋯⋯私は勉強の合間の休憩にニコチューブを見ていたら⋯⋯。


『明日のVチューバーは君だ! ヴィアラッテアではVチューバー第二期メンバーを募集しています! やる気のある子は今すぐアクセス!』


 ⋯⋯という広告を見てしまったのだった。


「ど⋯⋯どうしよう。 こんなタイミングで!?」


 私には私なりの進路予定というものがあった。


 まずは受験を合格して高校生になる事⋯⋯これは親の命令なので絶対だ。

 そして私は高校生Vチューバーとして個人で活動し実績や経験を積んでから2・3年後にヴィアラッテアの企業Vチューバーとしてデビューする⋯⋯という青写真を描いていたのだったのだが⋯⋯。


 ちなみに私の母は現役の企業Vチューバーであるがそっちはポラリスという別の会社である。

 なぜ私が母と同じポラリスの企業Vチューバーを目指さないかというとやっぱり母の居る職場って息苦しそうだし、それに親の七光りでデビューしたみたいでかっこ悪いからだ。


 だから私はあえてポラリスのライバル企業であるヴィアラッテアを目指していたのだが⋯⋯。


「このタイミングで二期生募集か⋯⋯どうしよう?」


 かなり真面目に悩むのであった。


 とまあ私が1人で悩んでも答えなど出ないので相談することにした。

 幸いと言っていいのか私には頼りになるVチューバーの先輩がすぐそばに居るからだ。


 ⋯⋯母じゃないよ?


 その人は世界ナンバーワンのVチューバー、ネーベル・ラ・グリム・紫音である。

 それで相談しようとしたら紫音さんの勉強会には他のVチューバーの先輩方もそこに居たのだった⋯⋯。




「──というわけで私、どうしようかと?」

「応募したらいいんじゃない?」


 ⋯⋯なんともドストレートなお答えでした紫音さんからは。


「いやでも、今は受験中だし⋯⋯来年は高校1年生だし⋯⋯」


「るーちゃんって確か高校受験中に声優の養成所に通いながらVチューバーデビューしたんだよね?」


「そうね。 まあ養成所は中3の9月くらいから通いだして、私の学力だと受験勉強はさほど必要なかったから」


 紫音さんの部屋での勉強会に来ていた留美さんも言ってくれる。


「柚子ちゃんは頭いいし受験は余裕なんじゃなかったの?」


 そうVチューバー・アリスの中の人のアリスケさんまでそう言う。

 あいかわらず中性的な見た目と美少女ボイスでカワイイ担当の美少年である。

 ⋯⋯抱きつきたい。


「うーん、たしかにそうなんだけど⋯⋯なんか心の準備が出来てないというか? 今ここでVチューバーデビューを始めるのは親がなんていうか? ⋯⋯とか?」


「思い立ったら即行動あるのみですよ、柚子さん」


 そう言ってくるのはこちらも勉強会のメンバーの1人であるリネット姫殿下であらせられる。

 ⋯⋯いや、この人は思い立ったらが過ぎると思うのだが?


『柚子はマルチタスクが苦手なのですか?』


 そうもう1人のメンバーいのり先輩のスマホから聞こえるのは、AIVチューバーのアイちゃんの声である。


「私も苦手だなマルチタスク⋯⋯おかげで勉強に身が入りません」


 実はこのメンバーの中ではダントツに成績がピンチないのり先輩だった⋯⋯。


「うーん、マルチタスクが苦手かどうかまだわからないというか? やってみて出来るかもしれないし無理かもしれないし⋯⋯」


 そう素直に不安を言う私だった。


「私は不安とか思わなかったけど?」


 そう言う留美さんは自分が失敗するとか考えない天才タイプなんだろう。


「失敗してもいいんじゃないですか? ほら転生して個人Vチューバーに戻ればいいだけの話ですし、本質はやりたい事をやれる自分ですので」


 なんという人生に余裕たっぷりでわがままマイウェイ爆走中のお姫様発言なのだろうか⋯⋯。

 しかし心にそして人生に保険を⋯⋯と考える私はリネット姫と違って小市民なのだろうなきっと。


「考え方次第だよ、いつでも切り離せる余裕があると考えれば。 アイドル続けるなら学校辞めればいいし、アイドル諦めても学生続けられるしさ」


『ゴミ箱をある程度溜めてる状態をキープしていつでもハードディスクに余裕が作れると思うような考え方ですねアカメは』


 うーん、そういう考え方もあるのか?

 そういろいろ聞いて考えていると。


「結局のところ柚子ちゃんは自信がないだけなんじゃない? やらなくていい、今しなくてもいい理由探して無い?」


 その紫音さんの言葉にガツンときた!?


「自信がない? まあそうですよね。 私はまったくの素人だし」

「私の経験上いろいろ理由つけて動き出さない人は成功しないよ」


 ⋯⋯言ってくれる。


「シオンが言うと説得力あるなあ⋯⋯」

「世界一だもんね紫音さんは」

「やりたい事があれば即行動あるのみですよ柚子さん」

「夢があったらかじりついてでもしがみつくのが成功の秘訣です」

『アカメの言う通りです』


 先輩方のあたたかいお言葉だった。


「⋯⋯なんか皆さんすごく応援してくれますね私のVチューバーへの夢を? なんで?」


 少し沈黙があった後。


「「「「『いやもう仲間みたいなもんだし、柚子ちゃんは』」」」」


 そう皆さんが言って下さったのだった。


「むしろここまで私達の秘密を知った以上、Vチューバーになってもらわないと困るまである」


「紫音さん⋯⋯じゃあ目指さないといけませんね、私もVチューバーを!」


「じゃあ応募するの柚子ちゃん?」

「はい!」


 こうして私は今回のヴィアラッテアの募集に応募することに決心したのだが⋯⋯。


「でもそうすると私⋯⋯紫音さんとのコラボ難しいんじゃ?」

「そうだね」


 そう紫音さんも認める。


「⋯⋯どうしたもんか?」


 私と紫音さんには密約があって⋯⋯この紫音さんの受験勉強を私が教えて、その後に私がVチューバーになったらコラボでもして私の人気を引き上げてくれる、という裏取引があったのだった。


 しかし今回のヴィアラッテアのVチューバー募集にはこんな一文が⋯⋯。


 [第二期生はアーティスト路線を目指します!]


 とのことだった。


 それを見てアリスケさんと留美さんは。


「ああ今後のヴィアラッテアのVチューバーはアイドル路線に注力するようだから」

「だから僕たちみたいなイロモノ集団は切り離されて木下さんに引き取られたんだよなあ⋯⋯」


 とか業界の闇を暴露してくれる。


「私はアイドル路線は望むところなんだけど⋯⋯それで皆さんとのコラボが出来なくなるのは残念無念ですねえ⋯⋯」


 もちろん人気を誘導するという打算はある。

 しかし⋯⋯こうやって仲良くなったこのメンバーとのコラボがしたいというのも私の本音なのは間違いない。


「うーん、どうしたもんか?」


 そう私は考えるが⋯⋯答えなど出るはずもなく⋯⋯。


「ねえアイちゃん、何かあるかな?」

『ちょっとアイにも突然言われると⋯⋯』


 スーパーAIのアイちゃんにも打開策はナシか⋯⋯。

 いやそんな都合の良いものなど存在しないのかもしれない。

 しょせんはこの世は何かを得れば何かを失う世の中なのだ。


 ⋯⋯そう私は悟るが。


「ちょっと待っててね⋯⋯⋯⋯⋯⋯返事が来た!」


「何してたんだシオン?」

「イエ朗に聞いてみた」


 このイエ朗というのは紫音さんの同僚⋯⋯つまり私の母の同僚でもあるVチューバーである。

 本業は小説家なのだが締め切りに追われると配信してストレス解消するという問題児Vチューバーだった。


「ほう⋯⋯なるほどねー」


 そう呟きながら紫音さんはそのイエ朗さんからのメールの返信を私達に見せた。


 [イエ朗:だったらデビュー前に接点を作っとけばいいんじゃない? ネーベルちゃんは摩訶論配信やってるし、そこで柚子ちゃんの進路相談でもするとかしとけば⋯⋯企業デビュー後にでも「あの時はありがとうございました」とか関わりやすいと思うんだ]


 との事だった。


「さすがイエ朗さん⋯⋯見事なプロットね」


 そう同じ物書きとしての留美さんが感心しながら言う。


「どうする柚子ちゃん? 私もいいシナリオだと思うけど⋯⋯良ければ今夜にでも摩訶論やってみる?」

「はい! ぜひに!」


 こうして私の夢への一歩が始まるのだった。

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