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冷たく薄暗い場所から引っ張り出されたかと思ったら、どこぞのお城の廊下みたいな場所を長々と歩かされて、その建物から外に出て、物珍しく周囲を見回す暇もほとんどないうちに、気付けば目の前は荒れた土地。無論、知らない場所だった。
広大な荒れたに土地の一角に、たくましく根付いたひと際目立つ植物は、見たことのない紫と黄色のコントラストの、ニューサイランのようなそれ。色んな色合いのある植物だから、きっとあれは私の知らない新種。そう思うことに、すぐ決めた。他の可能性など考える気はなかった。
あのピンクの花はタンポポ、真っ赤なあれは萩の花、緑と茶色のまだらなあっちの木はモクレン。……季節の合わない、色のおかしい、どこかで見たことのあるような草花。おかしいと、理解してる頭がそれでも何とか私の知ってる世界のものと合致させようと頑張る。
……頑張っている間に、私はそこに放置されていた。はっとして見回せば周囲にはもう誰もおらず、慌てて来た道を戻ろうとすれば、何故か、何もないところで壁に突き当たったように弾かれ、したたかに尻を打ちつけた。呆然としてしまう。全く何も、意味がわからない。
数度立ち上がって、数度透明な壁に阻まれて、ようやく戻ることを諦めた。不安、不安、不安。心細さと恐怖に滲む視界を拭いながら見えない壁沿いに荒れた土地の上を歩き、その広大な場所の端に、ぼろぼろの木でできた小屋を見つけたのは、もう日が暮れる頃。
小屋の中は、無人だった。毛布とわずかな食糧と、空の水がめ。そして大小形様々な多くの種子と、使い古されているけれど綺麗に手入れされ、種類豊富に用意された農機具。あったのは、それだけ。
――私の戦いは、その時にはもう始まっていた。




