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豊かな国の作り方  作者: 羽月
芽が出ました
18/21

8

 想像以上に真面目で、一途で、青臭い考え方をするひとだった。


 私の中の王様に対する評価は大分前から結構高くて、誠実な大人のひとだと思ってた。でも今日、その認識を改めざるを得ない。……このひとは、割と無茶苦茶で、割と子どもだ。


「……呆れてものが言えません」


 王様のくせに、と言えば力不足を肯定して責めたように思ったのだろう。しゅんとうつむく。


「あのですね。花なんて、成長を速めてやらなくても育つんです。そんなことしなくても、適切な環境と時間があれば育っていくんです。あなたがやったことは、今となっては余計なことですよ」

「……ああ」

「もっと建設的に考えましょうよ。あなたが私の生活を改善してくれたから、私は私のやりたいことを好き勝手できてる。それで満足ですよ。でもまだ罪悪感があって、何かしたいっていうのなら、私とか周りに迷惑かけないことをしてくれた方がよっぽど嬉しい」

「……例えば?」

「王様にしかできないこと、いっぱいあるんじゃないですか。国の公的整備に関してとか、法律に関してとか。人間との関係をどうしたいのか考える、とか」

「……」

「……どうしても私のやってることを手伝いたいんだっていうなら、植林作業を支援してください」

「植林……?」


 そうです、と胸を張ってみる。私はまだまだこの国を豊かにするつもりなんですよ、と伝わるように。


「この国の山は緑がない。私の世界では、山には緑が必要なんです。色んな理由で。だから、あの殺風景な山並みをもっと青々しくしたい。農業とか花の栽培とは規模が違うから、私一人じゃどうにもできないんです」


 手伝ってくれますか。聞けば、無論だ!と王様は意気込んだ。


「……お前の言う通りだな。我は我にしかできぬことを」


 お前に褒めてもらえるように。……そう微笑むと王様は、握ったままだって私の手を引き寄せ、私を抱きしめた。


 それがあんまり自然な動作で、あまりに久々な、誰かからの抱擁だったから、私はしばらく、その腕の中から、逃げることを忘れた。

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