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瞳いっぱいに涙を溜める娘の姿に、我はその荒れた手を握ったまま、身じろぐこともできなかった。
そんなつもりはなかった。娘の気持ちを踏みにじるつもりも、その自尊心を踏みにじるつもりもなかったのだ。そんなつもりではなかった。しかし、我のしたことは、そういうことだ。我は、この娘を、泣かせた。
「……すまぬ」
我が取る娘の左手は、小さく土仕事で荒れ……我よりもよほど働いている、立派な労働者の手だ。これは娘の誇りなのだろう。そう思えば、確かに我のこの思いは、その誇りを傷付けるものでしかなかった。
「軽々しく、謝らないで……」
「……すまぬ」
「っ、だから、」
「すまぬ。傷付けるつもりは……なかった」
貴族の娘のような滑らかさなど全くない、けれどこの上なく愛おしいその手を、我は半ば無意識に撫でていた。
「やりたくもないことを強要させたのだと、この世界で生きていく覚悟をさせてしまったのだと、我はそう思っていた。しかし、そうではなかったのだな。そなたはそなたの意思で、この国を豊かにしたいと思ってくれているのだな。すまない」
「……謝られても」
「聞き流せばよい。我がそなたに罪悪感をもつのは、我がこの国の王である以上仕方のないことなのだ」
「……義務感?」
「半分ほどは。もう半分は、我個人の問題よ。そなたが我を許し、己の業績を認めよと訴えても、今の我にはまだできぬのだ。我は、我を許せぬが故」
「それって、つまり……」
「……己の力不足に、ほとほと嫌気がさす」
この程度で倒れるようでは、使いものにならぬな。自嘲すれば、娘は言葉を失った様子で口を閉ざした。




