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王様はやってくるたび絵や実物でこれはどうだ、これは違うか、とどこかしら桜に似たような植物を私に見せるようになった。
どっちかっていうとハルジオンに似てます。タンポポそっくりです。桜草みたい。よく似てるけど梅の方が近いかな。
近付いてはいるけれど、やっぱりどれも少しずつ違う。葉の形、幹肌、花の色、雰囲気。王様がどこかむきになったように調べてくれてるから、私も本気で返した。多分、妥協をしたら失礼だ。私に対して悪いと思ってくれてるから、王様は真剣になってくれてるんだと思うし。私は私で最初の数年を抜かせば結構前から本気で還りたいとは思ってなかったから、罪悪感もあって。お互いに罪滅ぼしをしあってようなもので、そう考えるとちょっとおかしいけど。
そんな問答を何度かした後の、ある雨の日の朝のこと。合羽を着て、はたして季節通りに発芽しているのか、王様のおかげで次々と芽を出している花苗を見て回っていたら、裾の長い服を泥に汚しながら、見たことのあるような気のするひとが必死の形相でこっちに向かって走ってきた。
「ああっ、こんな、ところに……!」
「……どうなさったのでしょうか。何か、私に用が?」
誰だかはわからないけれど、身分の高そうな人物だ。だとしたら、私をよく思っていない人種だ。警戒心に自然と体を固くし問えば、その青年は乱れた息を整えながら、
「……助けてください!」
泣きそうな顔で、叫んだ。




