-クラス分け試験③-
魔力測定が終わり次の試験へと進むことになった。
「では次に、剣技試験を行う。スキル使用、魔法使用は不可だ。わかったな。」
同時にめちゃくちゃボロい今にも折れそうな模擬剣を渡される。ざわつく前にアルファルドが
「静まれ。試験内容は至って単純。その剣を折らないようにあのゴーレムを切る。ただそれだけだ。では、はじめにエリオット・ハッブル。」
「はい」
「あのゴーレムは動かん。臆することなく挑め。」
―ガキィィィィン。
剣は爆発し、エリオットは吹っ飛んだ。
「ああ、言い忘れていたが、その剣は力任せに振るとすぐ折れるぞ。その上魔力を流しても折れる。何なら魔力流すと爆発するしな。」
そして何事もなかったかのように
「次、ディルフェルト。」
「はい。」
返事とともに静かに踏み込む。さっきまでの飄々とした雰囲気が消え、代わりに鋭く研ぎ澄まされた、近寄りがたい雰囲気が出来上がっていた。そして彼がもたらした結果にアルファルドだけは驚かなかった。一瞬の静寂。
「⋯⋯はぁ?」
次の瞬間ゴーレムが背後の壁ごと音もなくゆっくりとスライドし、落ちていった。ゴーレムの断面はとても滑らかだった。アルファルドは口角を上げ、
「流石、剣の天才。俺を負かす程なんだからこんなもの切れて当然だ。それに、この試験の目的ははいかに最小の力で最大限のものを切れるかを見ることだ。せいぜい頑張るんだな。」
アルファルドはさっきまでの真剣な雰囲気が消え、いつもの飄々とした顔に戻っていたディルを見ながら称賛していた。
(マジかぁぁぁ。なんか腹立つくらい飄々としてるのを除けば称賛しか出てこなかったのに。)
ただし他の生徒からは敵意を向けられていた。
「いや待って。なんで!?模擬剣よね。なんで切断面滑らかなの?」
「アリア〜落ち着いて。次マリアなんだから〜」
素振りをしているマリアが指名された。
―ズバァァァァ、ガン!
マリアが折れた剣を見下ろして困り顔で
「半分切れたのに、勢い足りなかった。」
しかしゴーレムで一番硬いと言われる魔銀製の武器でも切ることが難しい核の部分を切り裂いていた。一拍遅れてゴーレムが砂のように崩れ去った。若干しょんぼりしていたので
(マリア様も可愛い〜)ファンが急増した。
「次、ガルシア。」
指名されたガルシアがゆっくり剣を振る。
―ズザァァァ。静寂。切れたのは模擬剣だった。表面に亀裂が入るがそれ以上は何も起きない。ゴルシアが腹を抱えて笑う。
「っハハハハッ。あんだけきれいに構えてたのにおまえ剣折ってるじゃねぇか。真面目にやれよ。こんなんも切れねぇのか。」
真っ赤になりながらガルシアが
「クソ兄貴が」
(ゴルシア様性格悪いな。ガルシアくん、ご愁傷さま)
そんな周りは気づかなかった。ゴーレムの異変に。それは誰がしたわけでもないのにゆっくりと周りの魔力を吸い上げていた。
「次―」
最初に気づいたのは、アルファルドだった。一拍遅れて、アリアとリリアも気づく。
「「「避け(ろぉ(なさい(てぇ」」」
「メイ!」
叫び声に反応したメイは、模擬剣を捨て防御結界を展開する。次の瞬間、ゴーレムが動き出した。その大きさからは想像できないほどの速さで。核に、動くのに必要な魔力が溜まったのだ。
―ガキィィィィン。甲高い音が響き、メイが咄嗟に張った結界とぶつかる。結界が壊れた瞬間メイは、空間魔法でしまっていた愛剣―アルテミスを取り出す。そして強化魔法をまとわせ一閃する。―無音。誰もがメイが、瓦礫に生き埋めになってしまったのではと思った。土煙が収まったとき、皆が見たのは、メイを腕に抱えてスキルで空に浮かぶ、ディルフェルトだった。ディルフェルトはゆっくりと降下し、
「親友―ガルシアの後始末しただけだ。」
と言い、ガルシアに向かって、
「だいたいおまえは何してんだよ。ガルシア!空中に満ちてる魔力をゴーレムに叩き込みやがって。」
はぁはぁ言いながら叫ぶ姿は明らかに照れ隠しだった。そこにメイがふんわりと笑って
「ありがとう。ディルフェルトさん」
(可愛ぃぃぃっ。で、ディルフェルトの反応は)少し目をそらしながら
「別に、あとお前速さが足りないから小回りきかせて補うくせがあるだろ。もうちょっと腕伸ばせ。そしたらさっきみたいに瓦礫に埋もれることもねぇから。」
(なんで真剣に指導してんだぁぁぁ。もうちょっと他の反応あるだろぉぉぉ。)
マリアが一言
「で、いつまでメイ抱えてるつもり。」
マリアの背後にはいつでも発動できる無数の魔法陣が静かに浮いていた。ディルは危険を察知し、メイを下ろすと、即座に離脱した。―後に騒ぎを聞いて駆けつけた教師は後に、
「入ってはいけない場所に入ってしまった。」
と語る。
感想、アドバイス等ありましたら、お知らせ下さい。できる限り改善して行きます。




