第五十六話―楽しい楽しい勉強会(地獄)―
今回は2500文字程度です
「メイ、今そこのソファで寝てるSSクラスの制服来ているイケメンは誰?」
リリアがソファで力尽きていたオリヴァーを発見し、聞いた。
「ディルの側近のオリヴァーさん。ところでリリ姉、いけめん?って何?」
「⋯⋯顔がいい人のこと。」
「そっか。」
自分で聞いておいて興味ゼロなのであった。
「ところで、このオリヴァーさんSSクラスなのになんでSSSクラス専用寮にいるのかしら?」
「俺が助っ人として呼んだ。」
「あら、ディル君。寝癖すごいわよ。」
「いつものことです。おい、エリオット、フォーティス起きろ。今日は3日頑張って詰め込んだ知識の復習するぞ。」
別のソファに詰め込まれて死人のように寝ているエリオットとフォーティス、ついでにガルシアを叩き起こしながらリビングの机に教材を広げだした。
「おい、お前ら今すぐ起きないとご褒美なくすぞ。」
「「起きました!」」
「うるせぇオリヴァーが起きんだろ。」
生殺与奪もとい報奨与奪権を握っているディルフェルトは一瞬でエリオットとフォーティスを覚醒させた。
「まぁいい。じゃあ問題出すから交互に答えろよ。まずエリオット、基本属性を答えろ。」
「水、土、火、風、無属性の五つです。」
「正解。フォーティス、発展属性を答えろ。」
「氷、光、闇属性の三つです。」
「正解だ。じゃあエリオット、それぞれの属性の特徴を答えろ。」
「火属性は火に関する現象、水属性は水に関する現象、土属性は大地に関する現象、風属性は、空気に関する現象に干渉、または発生させる。」
「正解。フォーティス、発展属性の特徴は?」
「水属性は水そのものを扱うけど氷属性は魔力を直接凍らせる魔法で、光属性は治癒など癒しの効果がある魔法、闇属性は精神に作用する魔法。」
「正解だ。」
そんなことを繰り返し2時間後。
「よし、お前ら完璧だな。少なくとも1年生の魔法学と魔法史の範囲は終わったぞ。」
「「え?」」
まさかの3日で詰め込まれた内容が初等科、中等科だけでなく高等科1年の内容全てだったということを教えられ固まるエリオットとフォーティスだった。そんな中、
「おはようございますディルフェルト様。またやらかしたそうですね。」
タイミングよく目を覚ますオリヴァーであった。
「何をだ?」
「3日で10学年分の内容を二教科だけとはいえ詰め込むのは頭がおかしいです。」
「オリヴァー?」
「ディルフェルト様、私は決めました。」
「お、おう。何をだ?」
「SSSクラス途中加入条件を達成し私もSSSクラスの一員となれるように頑張ります。なので、私も同じように教育してください。」
SSSクラスの途中加入条件とはSSSクラスに所属している同学年の生徒の成績を超えることである。それを達成するためとはいえディルフェルトの教育を受けようとするのは自殺願望がある人か馬鹿である。
「オリヴァー」
「何でしょう?ディルフェルト様。」
「お前は自殺願望と馬鹿のどっちだ?」
「?向上心の塊です。」
「自分で言うな。」
全く持ってそのとおりである。
「ねぇオリヴァー君。」
そんな中アリアとリリアが口を挟んだ。
「SSSクラスに入るってことはさ、」
「私とアリアのどちらかの点数を上回るってことだよ?」
「存じております。」
「でも、いつも肝心なところで点、落としてるよね?」
「それは、」
オリヴァ―は思った。
(確かに、私はいつも肝心なところでミスをしている。それでも、)
「それでも私はSSSクラスの一員となり、ディルフェルト様にお仕えしたいのです。だから、」
「わかった。私たちも全力で応じるとしようか。ねぇリリア。」
「そうだねぇ。その代わり、オリヴァー君もダンスで手を抜かないことね。いつも試験のとき高位貴族に遠慮して全力出してないでしょう?」
アリアもリリアも毎年何処か張り合いのない試験をつまらないと感じていたのだ。しかし、突然の全力宣言にアリアの婚約者であるアルファルドもお茶を入れていたメイも驚いていた。
「アリア?」
「リア姉?」
アリアをダンスの練習に誘おうと呼びに来たアルファルドはオリヴァーと踊るつもりなのかと誤解し、メイはいつも全力で試験を受けていないことに驚いていた。
「オリヴァー、アリアと踊るのは許さんぞ。」
突然キレだしたアルファルドに一番焦ったのは殺気を向けられたオリヴァーだった。
「問答無用で氷漬けにするから遺言を言え。」
「私が好きなのはアリアさんじゃありません。」
自爆した。
「じゃあ誰なんだ。」
「⋯⋯」
(しまった。私としたことが。でも私が好きなのは⋯⋯これは本当に恋愛的な意味での好きなのか?どうなんだ?)
青い顔で黙りこくった自分の側近を不思議そうな目で見るディルフェルトと、勢いで質問してしまったアルファルド兄弟は今動いたら確実に何者かの餌食にされるであろうオリヴァーを話題の中心から外す方法を考えていた。
「よし、オリヴァー俺の部屋で勉強しよう。教材が山程あるからな。」
「わかりました。」
何かよくわからないなりにこの場を脱出させたディルフェルト、本日最大のファインプレーだった。
「⋯⋯俺の婚約者とは絶対に踊るなよ。」
「じゃあアルファルド。リリアをオリヴァーと組ませればいいのよ。それなら問題ないでしょ?」
「つまりオリヴァーが好きなのはリリアか?」
「絶対違う。」
真顔で否定するアリアであった。
「じゃあ誰なんだ?」
「兄上。人の恋愛事情に首を突っ込むとろくでもないことになるらしいですよ。」
弟に無表情で忠告されたアルファルドはこれ以降人の恋愛には首を突っ込まなくなったという。
「ところでさ、勉強しないの?」
「⋯⋯オリヴァー、行くぞ」
「⋯⋯はい」
その日から試験当日までオリヴァーとディルフェルトは食事のときにも部屋から出てこなかった。
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