-クラス分け試験①-
また2000文字近い文量になってしまいましたが、多分これが平均的な文量になりそうです。
転移陣でぎりぎりたどり着くことができたこの場所こそが、アグノーメン総合学院である。といっても控室の中にいるのだが。
「はぁ~ついたついた。あ、こっちね〜」
「リリア、こっちって言いながら反対方向にいかないで。マリアたちが間違って覚えちゃうでしょ。」
アリアが到着1秒で小言を言う。
「ってメイ。言った側から反対側にいかないでよ〜。」
メイは少しむくれながら
「だって面白そうな魔導書の気配がしたんだもの。」
「怖いわこの子。来たこともない場所の禁書室のことを気配だけで見つけてるわよ。」
アリアは思ったことを言ってしまったがその通りではある。ここでようやくしっかりとしたマリアが
「いつまでここにいるの。早くいかないと遅れる気がするんだけど。ギリギリで出てきたんだし。」
アリアとリリアが同時に、
「しまった」
という表情をした。
「さあ急ぐわよ。時間がないからホントはだめだけど高速移動魔法使うよ。」
「リリア、怒られたら全部あなたのせいよ」
走りながら魔法を発動させているアリアが言う。その姿を見た通りすがりの人達は、
「ま〜たやってるよ。あの双子。」
「な。あれ?でもさ、一緒にいたのって誰だ?」
「えっ、お前知らねえの。今年入学のクレシェラ三女とクレシェラ家の養女―アルデンティの“神童”の妹だぞ。」
「アルデンティの神童ってあの本来は中等科生でありながら、高等科で首席取ったっていうあの⋯⋯しかもそれの妹!絶対強いじゃん」
「そうらしいぞ。加えて今年はファルミア家、ベクトール家からも来ているからな。ぜえったい平和なんてないぞ。ついでにさ、噂なんだけどよ、あの超難関の進学試験満点取ってるやつが複数人いるってよ。」
「は?高等科の範囲も入ってるんだぞ。満点なんか取れるわけ無いじゃん。」
「でも実際領主様方に呼ばれた生徒がいるらしいぜ。」
「マジかよ。」
「そこの貴方たち。喋っている暇があったら、入学式の準備を手伝いなさい」
「はいっっっ!」
「全く、なんで平穏からこうも程遠いのかしら。学園って場所は。」
閑話休題。
「よお〜し。着いたよ。ここが今回の試験会場―大講堂よ。」
ちょうどその時
「これよりクラス分け試験を始めます。案内をしてくれた上級生は速やかに退室を。」
「だって。時間ぴったりじゃん。もういくね。メイもマリアも頑張んなさいよ。」
「アリア、引きずらないでよ。メイ〜マリア〜SSSクラス入れたらお菓子あげるからね〜。」
「お菓子?じゃあ頑張る。」
お菓子につられたメイは密かに燃えていた。
「ほらいくわよ。2,3年の首席はこれから入学式の打ち合わせがあるんだから。」
―バタンッ。強制的に扉が閉められる。
「それではクラス分け試験を始める。名前を呼ばれたものから前に⋯⋯。」
名簿を見下ろした教師は顔を引きつらせた
(いや。待て待て。おかしいだろこのメンツ。クレシェラ、ベクトール、ファルミアまでぇぇぇ)
まだ、まだ理解できた。ここまでは
(なんで、なんであの、“神童”の妹がいるんだよぉぉぉ聞いてねぇぇぇよぉぉぉ)
あまりにも固まっていたので他の教師が
「どうかされましたか」
「⋯⋯いや。もう私は今年中に引退します。このメンツは胃が持たない。」
突然の引退表明だった。
「それでは気を取り直して、メイ・クレシェラ・アルデンティ。魔力測定を行うので、前へ。」
(流石に兄君の魔力量は超えれないだろうが⋯⋯。)
祈るように測定器を見る。メイが測定器の水晶に触れる。
―魔力値30000
(うっっっそだろぉぉぉ国内最高記録更新したんだがぁぁぁ兄君でさえ20000だったのにまさかの30000。平均値5000なんだけどぉ)
会場が一気に囁き声で騒がしくなる。
―三万?おかしいだろ。測定機壊れてんじゃね。
―あり得るかもよ。“神童”の妹ですもの。
―それにしてもおかしいだろ。
「あのぉ~皆さん。」
首を傾げながらメイが問いかける。何も知らずに、ただ知りたいと思ったから。
「“神童”の妹って、誰のことですか。」
会場が静まり返る。教師は顔面蒼白で今にも倒れそうであり、会場に集う生徒は誰もがうつむき目を合わせようとしない。そんな中、
「先生〜早くしないと時間押してきてますよ。」
実に空気を読まない男子生徒―ディルフェルト・セリア・ベクトールが言った。しかし場の空気は救われた。
「あ、あぁそうですね。次、ディルフェルト・セリア・ベクトール。」
―魔力量25000。もはや何も言う気が起きない空気であった。
「⋯⋯辞表だそう。」
その言葉を最後に教師達は卒倒した。教師が卒倒したとのことで、急遽2,3年の首席、及び次席が試験監督をやることになった。
―余談だが最高峰の魔法学院―クレシェラ魔法学院―には魔力量35000を記録した新入生がいるらしい。




