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―訓練⑥―

イメージは子犬と大型犬

そして次の日。訓練場はガーゲルト領が使用していた。しかし盛大に揉めていた。指揮官を誰にするかで。


「それで、なぜ領主様はわざわざ手紙で侯爵家嫡男であるこの私ではなく貴女に努めさせると連絡してきたのですか。おかしいでしょう贔屓に決まってます。どんな手を使って領主様に取り入ったというのです。さぁ白状しなさい。」

「ヒィィィ」


これ以上ないほどに萎縮しているアナスタシアと詰め寄る嫡男

―セザール・コルテス・ヴァレンティア。

事情を何も知らない人達から見たらただの脅迫現場である。実際そうなのだが。


「あ、あ、あ、あの、えっと、私はぁぁぁぁ、えっと、」

「なんです?はっきり喋ってください。領主様が推薦するのは私のような品行方正、頭脳明晰、才色兼備な人間のはず。なのになぜ貴女のような貴族ですらなく領主様との接点すらないはずの小者がこの世界最高峰の学院にいるのです。身の程を知りなさいっ。」


言葉と共に繰り出されたのはガーゲルト領の名産品である魔法剣による攻撃。


「あ、あ、あああああ、ヒィィィ」


目を固く瞑って祈るように自身のスキルと結界を展開する。


「はぁぁぁぁ」


―キィィィン


火花が散り、剣が弾かれる。発動するはずだった魔法は消え、ただの剣と化したものも結界に弾かれた。


「なぜだ、なぜ、壊れたのか?高名な鍛冶師に依頼して作らせたんだ。壊れるはずがない。何をした。私の剣に何をしたのか聞いている!答えろぉ!」


自分の魔法剣が作動しなかったことで苛立ちが最高潮に達したセザールは自身のスキルである〈強制自白(コエラシオン)〉を発動させる。

 目に見えないスキルで攻撃された側であるアナスタシアはいつものような怯えた表情ではなく無表情で淡々と自身のスキルについて答えた。


「私は自分の身の危険を感じたため、自身のスキル〈解除(ソルヴェーレ)〉と簡単な防御結界を発動させました。私のスキル効果は魔法やスキル、鍵などを文字通り〈解除〉することです。

ちなみに私の家は商会を経営しているのですがうまくいっておらず、

“ちょっと領主様の邸宅から金目の物を盗み出してこい。お前の存在価値はそれくらいしかないのだから”

と高等科生になる前に父に言われ、泣く泣く言うとおりにスキルを使って侵入したところ今の領主様にあっけなく見つかった次第でして⋯」

「もういい」


スキルを解除したセザールは恐ろしいものを見る目でアナスタシアを見ていた。セザールだけでなくガーゲルト領の代表選手である他の六人も信じがたいものを見るような目で遠巻きにしていた。一方自身のことを喋らされていたアナスタシアは意識が戻った瞬間にきれいな土下座を披露して


「ご、ごごごご、ご、ごめんなさい。いらないことまで喋ってごめんなさい。処刑しないでください。」


言われた側は完全に混乱してあたふたしていた。


「え、い、いや、処刑って、そもそも捕まえる気もないし、てかよく侵入して生きて帰ってこれたな。」


セザールはさっきまでの威勢はどこへやらアナスタシアと同じようにオロオロしつつ、変なところに賞賛を送っていた。

(インヴィディア様に見つかって生還。実力ありすぎて怖い)


「セ、セザール様。もうその人が指揮官でいいのでは?」

「嫌ですよぅ。指揮官なんて。セザール様におまかせしますぅ。」


領主のお墨付きをもらっているアナスタシアに指揮官を任せたほうが混乱はないと思ったのか代表選手の一人がさり気なく指揮官を任せようと発言するもまさかの抵抗をされ、アナスタシアを必死に説得することに時間が費やされた。


一方その頃エクトリア領の代表選手たちも指揮官を誰にするかを決めていた。腕相撲で。

感想、アドバイス等ありましたら、お知らせ下さい。できる限り改善して行きます。

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