―準備期間中のSSSクラス+α―
罰の宣告から一週間。SSSクラスの寮では各領地に分かれての(一人しかいないところもあったが)作戦会議が行われていた。
「ところでさ、エリオットとかの出身領地はどこなんだ?」
作戦会議という名の雑談でふとガルシアが聞いた。その言葉に今までずっとぼんやりと外を眺めていたエリオットが振り返る。
「俺はエクトリア領の孤児院で育ったんだ。だから多分エクトリア領代表になってると思う。」
予想外の領地に質問者であるガルシアは気まずそうに顔をそらす。
「わりぃ。聞いていいことだったのか?」
ガルシアの質問に
「言いたくないことならそもそも無視してる。」
どこかそっけなく答えるエリオットだった。「えーと非常に聞きにくいのですがガーゲルト領出身の方はいませんか。」
控えめに手を上げて聞いたのはアナスタシアだった。
「いないと思うよ〜それに流石にお母様たちも一人で複数人に挑めとは言わないでしょうし。」
がっちがっちに震えているアナスタシアを救ったのはムーアだった。
「ちなみに私はクレシェラ領だよ。なんか数が多いのにマリアだけハンデなしなんだよね〜」
さらっと幼馴染をコケにしていた。
「ムーア?ハンデなしは貴女もでしょう?後でお茶会しましょう?」
額に青筋が浮かんでいたがあまり怖くないと彼女の婚約者であるガルシアはそう思った。
「じゃあここにいるメンバーの出身領地を改めて整理するか。」
たまに真面目なゴルシアがまとめだした。
・クレシェラ領⋯メイ、マリア、アリア、リリア、ムーア、ウーナ、オルフェ。合計七人
・ベクトール領⋯アルファルド、ディルフェルト
・ファルミア領⋯ゴルシア、ガルシア、フォーティス
・エクトリア領⋯エリオット+一般生徒7人
・ガーゲルト領⋯アナスタシア+一般生徒7人
・アグノーメン領⋯一般生徒8人
・ハルウェラ領⋯一般生徒8人
・ダルクリト領⋯一般生徒8人
「ざっとまぁ、こんな感じだな。」
目の前のボードのメンバー表を見てクレシェラ領の面々が数の暴力で攻めてきそうだと戦々恐々しているアナスタシアだった。
「ん?ファルミア領は全員ハンデなしなのか?てっきりゴルシアもハンデもらっているものと思っていたが。」
アルファルドがあたかも今気づいたかのようにこれでもかと(非常にわかりにくいが)ゴルシアを煽る。
―ブチッ。何かが切れるような音がした。
「アルファルドォ、おまえはどれだけ人を苛立たせれば気が済むんだぁ?」無表情だが目が暗い喜びに満ちているアルファルドと顔面蒼白なのに血管だけが異常に浮き出ているゴルシア。実に対象的であった。
「事実だろ?お前はスキルがないと戦闘行為を行おうとしただけでオルフェ君並みにいや、それよりは上だが動けなくなるだろう?」
―ブチィィィィ
もはや血管が切れただろうというほどに大きな音だった。
「ア、アルファルド先輩、さらっと僕も苔にしないでくれますか。」
オルフェの精一杯の抗議はゴルシアの宣言によってかき消された。
「そんなに言うなら自分でハンデつけてやるよ。俺は今回の対抗戦で武器を使わないってのはどうだ?なかなかのハンデだろう?」
「ほう?面白い。勝手に自滅しにいくとは。」
今にも表情筋が崩壊しそうな無表情でアルファルドは感嘆していた。
「今に見てろよぉアルファルド。お前に次ぐ実力者ではなくお前を圧倒的に負かす実力者になってやるからなぁ。」
顔面蒼白でまくしたてるさまはとてもじゃないが3年次席だとは思えなかった。
「ねぇ、マリア〜私対抗戦の間中空中でみんなを見下ろしながら『消えろゴミども』とかでも言って大魔法ぶち込みまくるだけでいいかなぁ〜」
アルファルドとゴルシアの騒ぎは耳に入っていないかのようなのんびりさ加減だったが言ってることはとても15歳のふわふわしている子の発言ではなかった。
「メ、メ、メイ?空中に浮いたらただの的になるわよ?」
(突っ込むところが違う)真面目な人達はそう思った。
「大丈夫だよ〜オルフェが私に近づくものは全部掃除します。って言ってくれてるもの。」
「そういえばさ、元の話ってなんだったんだ?」
1年次席ディルフェルト、話についていけず、茶菓子を延々と消費する機械と化していた。
「ディル、お前後で魔法の実力を見せろよ。それによってどうゴミを掃除するかが変わってくる。」
「兄上のゴミの基準ってなんですか?」
微妙に噛み合っていない会話で何一つ作戦が語られない作戦会議は終了した。
感想、アドバイス等ありましたら、お知らせ下さい。できる限り改善して行きます。




