―(やかましすぎる)領主会議―
メイの魔法機暴走事件が終わり、
「さて、さっき言った通り領主会議の発令をしましょうか。」
アイリスの声は底冷えしていて、逃亡を許さないという絶対的な意思を感じた。その目は今まさに顔面蒼白で意識飛びかけているメイを抱えたアリアとリリアに向けられていた。
「アリア、リリア、魔力回復薬を飲ませてあげなさい。少しはましになるはずよ。ヨハン、領主会議の手筈は整った?」
メイを心配しつつも犯人確保のために動くさまはまさに領主であった。
「アイリス、用意はできたが、問題児二人も参加させていいか?流石に看過できん。」
意味深な言葉に首を傾げる一同だったが、クレシェラ一家は何かを察したようでメイに同情の視線を送っていた。
「問題児ってまさか、千人斬りか?」
(なんかすげぇ二つ名ついてる一体どんな人だ?)
SSSクラスの面々はそう思った。
「待って、まだ入学してから一ヶ月程度よね?上級生何人相手取ったの、あの子」
アイリスの発言により別学院の高等科一年だということが確定した。
「は?」
「ディル、そのほうけた顔やめろ。俺はいま表情筋を保つのに忙しいんだ。」
「いや、何いってんだ兄上。意味不明だぞ。」アルファルドとディルのコントは誰もがスルーした。
「もう一人は?クレシェラ魔法学院のあの子は」
ジェーレンが問う。
「研究室どころか周辺の教室をふっとばしたそうだ。」
ヨハンがげっそりとして答える。何故か一斉にメイを見る一同だった。絶対違うにも関わらず。
「⋯⋯とりあえず会議しに行きましょう。」「そうだな。」
まだ始まってもないのに疲れ切っている領主たちであった。会議室にて、他二人が到着するまでの間、全領主の前で説教会が始まった。普段は円形の机が置かれているが、今は向かい合わせに置かれた長机が2つ置かれていた。片方には領主たち、もう片方にはSSSクラスの生徒が座っていた。
「まずメイ、次は一人で突っ込まないこと。わかった?」
とてつもない笑顔で威圧しながらアイリスが問うが当の本人は、
「わかりましたぁ〜」
気絶寸前だった。
「今回の反省点は?」
「⋯⋯周りの人に頼ることぉ〜」
死人のような顔で半分意識が飛んでいたことは誰も気にしなかった。
―バタバタバタ、ダァン
「オルフェ・ナイロ・ヴィンテル、ただ今到着しましたぁぁぁぁ」
―ズデェェェン
なにもないところで盛大にコケ、ついでに扉をふっとばして入ってきたのは、背が高く、両目が前髪で隠れた青年である。会議室が一瞬で静まり返った。微妙な空気を壊したのはもう一人の問題児だった。
「ウーナ・フレスト・リーカー只今到着しまし⋯⋯オルフェ邪魔なんだけど。メイ様お久しぶりです。元気そうでは⋯⋯ないですね。」
「お嬢の元気がない?緊急事態じゃないですか!」
そう言って勢いよく立ち上がろうとして、なぜか天井に吹っ飛んだ。
―ヒューン、ドサッ。会議室のシャンデリアとともに落ちてきたオルフェは安らかに気絶した。全員の思考が停止した。
「こんな馬鹿ほっといていいのでは?」
それなりに付き合いの長いウーナにさえも呆れられるほど運動音痴の改善は不可能と思われているようだった。
「⋯⋯はぁ、まぁオルフェ君はあとにするとして、ウーナ、なぜ貴女は戦場並みのけが人を量産したのかしら?」
アイリスの疲れ切った顔にシャンと背筋を伸ばして答える。
「女のくせに騎士学院の首席なんか取って偉そうにすんじゃねぇぞ。表に出ろ。と雑魚が言ってきたので実力を示したまでです。何か問題が?」
清々しいほど堂々としていた。その様子にさすがの領主たちでさえも沈黙した。
「⋯⋯問題しかないでしょう。」
シャンデリアの外れた天井を仰ぎ見るアイリスであった。
「全くだ。お陰で生徒の治療のためだけに騎士団の治療部隊を派遣する羽目になったんだぞ。」
思った以上の被害にSSSクラスの面々は(アルファルドでさえも)顔を引きつらせた。
「ウーナの方が被害ひどいじゃないですか。」
(いつ起きた!?そして被害はどっちもどっちだ)オルフェの発言にまたも皆の心の声が揃った瞬間だった。メイは相変わらず死人のような顔で半分意識が飛んでいたが。
今日から新章に入るので、毎日一回ずつの投稿になります。引き続きよろしくお願いします。
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