―(全員ノリノリ)魔法研究―
「やっと書き終わったぁ〜」
リリアの声が響く。実践演習で更地になった訓練場に関する反省文を書き終わり、全員が死んだ目をしていた。
「疲れた。」
「もうやりたくない」
「長かった。」
「12000字って術式研究の論文より短いよねぇ〜」
「待って、メイ、貴女論文書いてたの?」
「反省文は書いたよ〜」
「いつ書いたの?」
「反省文のついで。」
「え?」
「ん?」
コテン?
「「「はぁ〜」」」
(基準がおかしい)誰もがそう思った。教師は胃薬を買いに行った。箱売りの。
「で、なにする〜」
「俺メイがなんの論文書いたのか気になんだけど。」
「「「確かに」」」
ディル言葉にメイを振り返る一同。その目は獲物を見つけた魔物のようだった。
「え〜と。ほとんど偽名で出してるけど、確かいちばん有名なのが⋯⋯あっ、あれだ。魔法機の永続回路について、だったと思う。」
沈黙が降りた。その沈黙を破ったのはディルだった。
「⋯⋯それって、あの論文か?」
「どの論文だ?」
アルファルドが問う。
「従来の魔法機だと一階限りしか使えないが、永続効果をもたせた回路をつなげると繰り返し使えるようになる画期的な発明だ.。その発明者がここにいたなんて。」
とてもキラキラとした目でメイを見ていた。
「どうやってあれ思いついたんだ。何に使うつもりで発明したんだ。何歳のときに書いたんだ。俺が魔法得意になったあの論文を書いた人がこんな近くにいるなんて⋯⋯」
だんだん興奮して早口で矢継ぎ早に質問する姿はなかなかにホラーだった。
「ん〜。覚えてない。やり方は覚えてるけど、記憶が曖昧なの。確かなのは10歳より前ってことだね。」
「10歳より前⋯⋯たしか俺がその論文を見つけたのが9歳の時だから、そんくらいの時だと思うぞ。」
「覚えてるなら聞くな。」
アルファルドから辛辣なツッコミが入った。
「ねぇ、みんなで永続回路の発展研究してみない?実験室借りて。」
メイの提案に今まで呆れていたアルファルドでさえも食いついた。
―実験室にて
「まずその永続回路ってどんなものなの?」
アナスタシアの疑問は最もだった。
「永続回路はさっきもあった通り普通は一度きりしか使えない魔法機を何度でも使えるように空間に満ちている魔力を吸い上げれるように回路を繋いだものだよ。」
メイが実験室の素材を物色しながら答える。
「それってつまり魔力切れを起こさないということだな?」
フォーティスが首をひねりつつ聞く。
「そうだね。具体的にはベクトール領、ファルミア領、エクトリア領で魔物避けの結界として使われてたりするよ。」
何故か最高級の素材ばかりを選んで机に陳列しながら説明を行うメイだった。
「待て、なぜ最高級の素材ばかりを出している。」「だって精度が落ちるもの。」
アルファルドの質問に少しすねて返すメイだった。
「動作確認をしてから精度を上げたらいいだろ。」
フォーティスが突っ込んだ。
「⋯⋯知らないもん。もう始めてるし。」
ふてくされて猛スピードで魔法陣を刻みだしたメイがいた。
「待てぇぇぇぇ。なぜ?鍵をかけて隠蔽魔法もかけて隠していた高級素材を使用しているのですかぁぁぁ。」
胃薬を買ってきた教師は自身の研究素材が勝手に使用されているのに気づき泣き崩れた。
「まぁ、いいんじゃないんですか、アロン先生。面白そうな実験ですし。」
アリアがメイの魔法陣を見ながらいつでも再現できるよう見ながらたしなめる。その目は一切止める気がない。そう悟らせるほどギラギラ輝いていた。
「いや待って。話聞いて?」
「先生、諦めて黙認してください。俺も気になるので。」
SSSクラス唯一の理解者であったアルファルドに裏切られ教師は
「失敗したら訓練場の修理費稼いでもらいますよ。」
そのまま気絶した。しかし誰も気づかなかった。
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