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-領主たち-

登場人物が一気に増えますがあまり出てこない方たちなのでさらっと流し読み程度でも構いません。

「・・・・・・頑張ってくださいね。」


そう言うゼルアに小さく頷いてメイは深呼吸をして表情を切り替えた。いつものふわふわした表情から硬い表情へと。


「すぅ~はぁ~よし。」


コンコンコン


「メイ・クレシェラ・アルデンティ、ご命令に従い、ただいま到着いたしました。」


家にいるときよりも何倍も礼儀正しい言葉遣いで挨拶を述べる。ゼルアとのやりとりは非常に残念さが漂っていたがこれでも公爵家の養女。ましてや元は伯爵家の令嬢だったのだ。切り替えだけは早い。そして、一瞬の静寂。


「入れ」


両側に控えていた騎士により重厚な扉が内側から開けられる。


「失礼します。」


室内に一歩足を踏み入れると王なき世界を治める八人の領主-テリトーリオ-の視線がうつむきもせず堂々と歩くメイの一挙手一投足どころか呼吸の揺らぎさえも見ている。一歩踏み出すごとに外側から視線が突き刺さり、周囲の空気が少しづつ重く沈んでいく。メイの養母-クレシェラ領、領主-が自身の横の椅子を指し示し


「座りなさい。」


という。メイは一言も発さず指示に従う。動作が収まったのを確認し、議長であるアグノーメン領、領主が低い声で


「では、これより本人も交えた高等科進学先決定を開始する。意見のあるものは挙手を。」


円卓に座る九名のうち四名が挙手をする。


「では、はじめにダルクリト殿。」


「有難う御座います。」


ダルクリト領、領主―フレッグ・バステュミュ・ダルクリトがゆっくりと口を開く。


「アルデンティ嬢には我が魔法学院がふさわしいかと。我が魔法学院は威力特化やら、馬鹿の一つ覚えなどと言われていますが、それは完全に誤解であり―」


「まぁ」


冷ややかで、しかし愉しげな声が割り込む。


「ダルクリト殿は魔力回路だけでなく思考回路も単純化してしまわれたのかしら?」


そう言って明らかな嘲笑を目に浮かべたのは、エクトリア領、領主―ルアーラ・ヴェント・エクトリア。彼女の言葉に場が凍りつき、会話が途絶える。そんな最悪の空気だというのにメイは、


(はぁ、なんでこんな政治の場に連れてこられたんだろう。朝ごはん食べ損ねたし。というか今のダルクリト様、なんかカエルみたい。絶対声にも顔にも出さないけど。それにしても絶対私の意見なんて聞かれないのになんで呼ばれたんだろう。)


真顔の下ですねていた上に声に出せば確実に不敬罪で(物理的に)首が飛ぶような恐ろしいことを考えていた。しかし周りはそうではない。先ほどのルアーラの言葉に凍りつき、誰もが迂闊な発言をできる空気ではなかった。しかし、そんな空気を破るかのように彼、ガーゲルト領、領主―インヴィディア・コートス・ガーゲルトは一度円卓に座る者たちの真意を見抜くかのようにゆっくり見渡し、最後にメイを見据え、静かに挙手をする。一瞬の間を置き、


「少し、クレシェラ殿に伺いたい事があるのですが。」


「何かしら。」


完璧な笑みでインヴィディアを見返すアイリスの青い目には娘たちに向けるような温かみはなかった。


「では一つ。なぜアルデンティ嬢のスキルを開示しないのですか?彼女はすでにスキルを発現させているはずですが。」










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