−始まり−
燃え盛る紅蓮の炎と美しく冷酷に冷たく輝く星が見える。誰かが、必死に私を呼んでいる。
「⋯だれ?」
悲しそうに曖昧に微笑んだ黒い目のその人は、ただ黙って私を炎の外に連れ出す。そこで映像が途切れた。
「・・・・・・っ。はぁ、また同じ夢。いい加減もう飽きたよ。」
メイ・クレシェラ・アルデンティはぼやきつつ身支度をテキパキこなした。
「・・・・・・ふぁ〜眠い。」
眠たげにしながらも水魔法で水球を作り出し顔を洗う。普通初級魔法である『水球生成』であっても洗顔に使えるほど長く浮かせることはできない。しかしメイ自身はあくび混じりにそれをやってのけた。この世界にもそんな事ができるのは領主ですら難しいという事実には気づかずに。
「今日の朝ごはん何かなぁ。」
そんなふうに朝の静けさを堪能していたところ、
―バタバタバタ⋯ドンドンドンドン
「メイお嬢様ぁぁぁぁ!早く、早く来てくださいぃぃぃぃ!」
もはやノックのために叩いているのではなく殴り壊しに来ているのではと思わせるほど、鬼気迫る叩き方だった。
メイが扉を開けるとそこにいたのは養母の秘書―ゼルアだった。
「アイリス様が、アイリス様がお呼びですぅぅぅ!!」
「わかった、わかったから落ち着こうよゼルア。今日は私の学院が決まる日でしょう?それ関連なら朝食の席で―」
メイが言いかけるもゼルアが上から被せて悲鳴じみた報告をする。
「まさに今そのことで領主会議に呼ばれてますぅぅぅ!」
「・・・・・・早く言ってよ」
「言いましたよ!?さぁほら急いでくださいよ。遅れて領主様方の冷たい視線にさらされるのはごめんですよ。」
そう言うが早いかゼルアはメイの手を掴み猛スピードで引きずっていった。
「え、あ、ちょ、ま、待って。引きずらないでよぉ。痛い。痛い。痛いからぁ〜」情けない声を上げながら引きずられていくメイたちの横を通り過ぎる使用人たちは無情にもフッと顔をそらして足早に去っていく。
「さあ転移陣につきました。領主様方も既にお待ちですので早く体勢立て直してください。」
「うぅ~くらくらするぅ〜」
さっきまで引きずられていたのにいきなり立てというのは酷だとたしなめてくれる人は残念ながらここにはいなかった。
「我慢してください。娘部屋に入れば領主様がいますので。」
ゼルアはいつになく真剣な顔だった。そして、
「・・・・・・頑張ってくださいね。」
メイは領主たちと出会うのだった。
今回が初投稿ですので至らない事もあるでしょうが暖かく見守っていただけると幸いです。




