-入学式-
青空が広がり小鳥が飛んでいる。なのにメイはまた寝坊しかけていた。
―ドタドタドタ、バァン
「メイ起きてぇ〜入学式始まっちゃうよ〜」
「⋯⋯すぅ〜」
「⋯⋯」
ブチッ。朝からマリアが切れた。
「メェェェェイィィィィ?母様と同じように氷水に顔を突っ込んであげますから覚悟なさい。」
凶悪犯罪者顔負けの壮絶な笑みだった。
―バダン。
「ごめんなさい、お義母様。急いで支度します。」
「私はっお母様じゃっないわよぉっ」
マリアは寝ぼけ眼のメイを着替えさせながら叫んだ。こうして入学式10分前に会場にたどり着くことができたメイたちはホッと一息ついた。視線を上げると、白く輝く荘厳な大聖堂―ではなく、大急ぎで修理したあとが見られる一部黒く焦げた建物だった。
「黒焦げだけど、何があったのかなぁ〜」
「あ、それ去年の私達がやっちゃったんだ。」
「そうそう、ちょっと入学式でやらかしちゃったの。」
(犯人お前らなのかよ。というか入学式でやらかすってなんだよ。)
リリアに向かって全員が突っ込んだ。声には出さず。
「メイ、目の前にいるアグノーメン様に失礼よ。」
マリアが寝起き10分のメイをたしなめる。一段と重くなっていく空気にメイが耐えきれず寝落ちしかける。しかし、そのタイミングで開式宣言がされた。
「これより、アグノーメン総合学院、第160期生の入学式を始める。⋯⋯その前にSSSクラスの最終選別を始めようか。最後に残った八人までがSSSクラスに入ることができる。では、はじめっ。」
合図とともに全属性の攻撃魔法の雨が降ってきた。それに当たった生徒は素早く他の教師や上級生に回収されていく。そしてメイは―すべて反射結界で防いだ。さっきまでの寝ぼけ眼は消え、空気が変わった。ほとんどの生徒が事情を飲み込めず逃げ惑う中、ディルフェルトはすべて避けながら、飛んできた。
「よぉ、アルデンティ。昨日ぶりだな。誰が残るのか楽しみだな。」
「別に誰でもいいけど、まだまだ難易度上がりそうだね。あと、メイでいいよ。」
軽くメイが答える。その手には、高位魔法発動用の杖が握られていた。
「そうだな。」
答えるディルも剣を構えた。そして飛んでくる魔法を一刀両断していた。会話を聞きながら、マリアは婚約者であるガルシアを呼びつけていた。完璧に防御結界で受け流しながら。
(なんで片手間で防御できるの!)
満場一致で脱落者たちはそう思った。
「ガルシア〜?いつまでそこにいるつもり〜。早くこっちに来なさいよ。じゃなきゃ攻撃受け流す先、あなたにするわよ。」
「やめてください。」
猛スピードで走ってきた。防御結界を走りながら移動させる離れ業を披露しながら。
「おい、フォーティス。よそ見してないでこっち来て手伝え。」
マリアに呼ばれたガルシアは幼馴染を呼びつけた。
「おう、今行くわ。」
フォーティスは飛び回って回避したり魔法を切ったりしているディルフェルトを睨みつけながら駆け出した。ガルシア同様、防御結界を移動させながら。ふと、脱落生徒が呟いた。
「あの人達詠唱無しで魔法発動しているよ。」
魔法陣から逃げるよりも詠唱無しで魔法を発動している方が怖かったようである。更に見回すと、おそらくスキルだろう。自分に迫る魔法を自身に一定距離近づくと全て“解除”している人がいた。まわりにいた生き残っている僅かな生徒は戦意喪失して脱落していった。そして目付きが悪い、昨日の剣技試験で最初に呼ばれた生徒はぼーっとした目できれいにすべて避けていた。
(あんなのと同じクラスでついていけるわけがない!)
と思いながら。そして10分後、8人だけになったものの、攻撃は続いていた。しかし8人は一箇所に固まってあの魔法陣をどうするのかを話し合っていた。
(俺等あの空間にいたら逃げ出したくなるだろうな)
脱落者たちはそう思った。
感想、アドバイス等ありましたら、お知らせ下さい。できる限り改善して行きます。




