魔誘餌
帰路へと歩を進めるロゼルたち。
セイレーンの涙も無事に手に入れ、捕らえていた個体も湖へと返した。あとは来た道を戻り、迷宮を出るだけだ。
広大な地底湖の岸辺をしばらく歩いていると、やがて前方の暗闇に、見慣れない光が浮かんでいるのが見えた。
迷宮の夜石とは違う。
揺らめく、人工的な灯り。
そして、その周囲から何やら騒がしい声が聞こえてくる。
ロゼルは足を止めた。
「2人とも、ストップだ」
前を歩いていた二人も、すぐに立ち止まる。
リアが緊張した面持ちで、暗闇の先へ目を向けた。
「……あれは何なの? 魔物?」
アゼリアも目を細め、前方の様子を探る。
「……あれは……人ですね」
少し間を置いて、さらに目を凝らす。
「二十人弱……でしょうか。人だかりのように見えます。何をしているのでしょうか?」
ロゼルは返事をせず、その場で腰を落とした。
「?」
リアが不思議そうに見る。
それに気づいたアゼリアも、すぐにロゼルと同じように身を屈めた。
リアも慌てて腰を低くする。
ロゼルは前方から目を離さないまま、小さな声で告げた。
「冒険者を狙った盗賊かもしれない」
その言葉に、リアの表情が引き締まる。
「盗賊……」
「まだ決まったわけじゃない。だが、迷宮の中であんなに堂々と灯りを焚いて、人を集めている。警戒するに越したことはない」
ロゼルは周囲を見回し、それから前方を指差した。
「慎重に近づいて様子を窺うぞ。二人とも、俺についてきてくれ」
「わかったわ」
リアが小さく頷く。
「了解しました、ロゼル様」
アゼリアも静かに答えた。
三人は身を低くしたまま、岩場の影へと移動する。
ロゼルが先頭。
その少し後ろをリアとアゼリアが続く。
足を置く場所を選びながら、一歩ずつ距離を詰めていく。
幸い、地底湖の広さと岩場が視線を遮ってくれていた。
正面から近づかなければ、向こうからこちらを見つけるのは難しい。
十メートル。
二十メートル。
さらに進む。
人工的な灯りが、少しずつ大きくなっていく。
それと同時に、人の声もはっきり聞こえるようになってきた。
「――だから、姫様! これ以上は本当におやめください!」
「大丈夫だと言っているでしょう!」
「大丈夫なわけがありません!」
「声が大きいぞ! 静かにしてくれ!」
「お前たちの聞き分けがないからでしょう!」
複数の男女の声。
ロゼルは足を止めた。
どうやら、盗賊というわけではなさそうだ。
少なくとも、聞こえてくる声には妙な緊迫感がある。
ロゼルは岩陰からわずかに顔を出し、前方を窺った。
そしてすぐに身を戻す。
後ろを振り返り、口元に人差し指を当てた。
「……しっ」
二人にも静かにするよう合図する。
リアとアゼリアが頷く。
ロゼルは再び岩陰から顔を出した。
今度は、声の主たちを直接見るために。
その先には、複数の松明やランタンに照らされた一団がいた。
武装した者たち。
その中央には、周囲の冒険者たちとは明らかに雰囲気の違う、一人の女が立っている。
そして、その視線の先――。
暗い湖面の向こうには、巨大な何かの影があった。
ロゼルの目が細くなる。
「……何してるんだ?あれは…」
その呟きは、二人にも聞こえないほど小さかった。
ロゼルは岩陰に身を潜めたまま、そっと耳を澄ませた。
聞こえてくる声は、先ほどよりもはっきりしている。
そして、もう一度岩の隙間から前方を覗き込んだ。
そこにいたのは、迷宮には明らかに不釣り合いな女だった。
身に纏っているのは、上質な布地で仕立てられた高級そうな衣服。
こんな場所で着るにはあまりにも華美で、泥や岩で汚れることなど最初から考えていないような格好だった。
その女のすぐ側には、数名の男女が付き従っている。
身のこなしや服装を見る限り、どうやら従者らしい。
そして、その周囲を取り囲むように、十二、三人ほどの冒険者風の男たちが立っていた。
全員が武装している。
どうやら、あの女を守るために雇われた護衛のようだった。
ロゼルは目を細める。
――貴族か?
少なくとも、普通の冒険者ではない。
すると、中心にいる女が苛立ったように声を荒げた。
「水竜が見られると聞いて、こんな場所まで来たのよ!」
その声は地底湖全体に響きそうなほど大きい。
周囲の冒険者たちが、慌てて女へ視線を向ける。
「こんな遠くから眺めるだけだなんて、納得がいかないわ!」
女は湖の方を指差した。
「もっと近くにおびき寄せて頂戴!」
その言葉に、側にいた壮年の男が困り果てたような顔をする。
「エリナお嬢様……どうかお静かに」
男は周囲を気にしながら、声を落として続けた。
「危険でございます。雇った冒険者たちも、これ以上は無理だと言っております。遠くから見られただけでも、十分ではございませんか……」
「爺は黙っていなさい!」
エリナと呼ばれた女が、即座に言い返す。
「ここまで来るのに、どれだけの金貨と時間がかかったと思っているの!」
女は苛立ちを隠そうともせず、腕を組んだ。
「遠くからぼんやり眺めるだけなんて、私は認めないわ!」
「そうは言われましてもね、お嬢さん……」
今度は冒険者の一人が口を挟んだ。
年季の入った革鎧を着た男だった。
「水竜をおびき寄せるなんて、いくらなんでも無茶だ」
男は湖の方へ視線を向ける。
「自殺と変わりませんよ、それは」
「なによ。あなたたちは冒険者でしょう?」
「冒険者だからこそ言ってるんですよ」
男はため息をついた。
「とにかく、静かにしてください。こんな大声を出してたら、他の魔物まで呼び寄せちまう」
周囲を見回しながら、男は続ける。
「一旦、墓所まで戻りましょう。そこで改めて話し合いましょうや」
「嫌よ!」
「お嬢さん……」
「私は水竜を見に来たの! 遠くから眺めて帰るためじゃないわ!」
女と冒険者の間で、また言い争いが始まる。
ロゼルは黙ったまま、その様子を見つめていた。
そして――。
ゆっくりと視線を湖へ向ける。
静かな水面。
その遥か向こうでは、夜石の光を遮るほど巨大な影が、水面下をゆっくりと横切っていた。
時折、巨大な背びれが水面から覗き、すぐにまた水中へと沈んでいく。
その巨体が通り過ぎるたび、湖面が大きく揺れていた。
ロゼルの表情から、わずかに険が消える。
代わりに、嫌な予感を覚えたように目が細くなる。
「……おいおい」
小さな声が漏れた。
リアが隣から顔を寄せる。
「どうしたの?」
ロゼルは女と、その周囲にいる冒険者たちを見ながら、小声で答えた。
「貴族かなんかが揉めてるようだな」
「貴族?」
「ああ。あの身なりに、あの人数だ。たぶん間違いないだろ」
ロゼルはもう一度、湖へ視線を向ける。
水竜はまだ遠い。
こちらに気づいている様子もない。
「盗賊や犯罪者じゃないなら、厄介なことになる前に抜けたいな……」
「うん。あたしたちには関係ないもんね」
リアも小さく頷く。
アゼリアも岩陰から様子を窺いながら、静かに言った。
「そうですね。あの方々が何をしているのかは存じませんが、あまり関わらない方がよさそうです」
ロゼルは頷いた。
できれば、このまま気づかれずに通り過ぎたい。
そう思い、岩陰から出るタイミングを窺っていた――その時だった。
「……そうだわ」
エリナと呼ばれていた女が、何かを思いついたように声を上げた。
そして突然、自分の懐へ手を入れる。
「?」
近くにいた従者が首を傾げる。
エリナが取り出したのは、拳ほどの大きさに丸められた、団子状の何かだった。
「お嬢様、それは……?」
従者が尋ねる。
しかしエリナは答えない。
そのまま湖の方へ身体を向けると――。
「えいっ!」
ぶんっ!
団子状の物体を、水竜がいる方向へ思い切り投げ飛ばした。
ぽちゃんっ!
水面に落ちる。
その瞬間。
周囲の時間が止まったようになった。
従者たちも。
護衛の冒険者たちも。
誰一人として言葉を発しない。
そして岩陰に隠れていたロゼルも――。
「…………」
唖然としていた。
リアも口を半開きにしている。
「…………え?」
アゼリアですら、珍しく言葉を失っていた。
やがて、一人の冒険者風の男が震える声を絞り出す。
「な、何を投げたんだ、あんた……?」
エリナは何でもないことのように答えた。
「餌よ!」
「……は?」
「魔物が集まってくる餌と聞いたわ!」
エリナは胸を張る。
「これを湖に投げれば、水竜がこちらへ寄ってくるんでしょう?」
「…………」
冒険者たちは互いの顔を見合わせる。
そして――。
「いやいやいやいや!」
一人の男が慌てて湖へ駆け寄ろうとする。
「何考えてんだ! あれは水竜だぞ!?」
「だから近くで見たいと言っているのよ!」
「そういう問題じゃねぇ!」
その怒鳴り声を聞きながら、ロゼルは思わず額を押さえた。
「ば、バカかあいつ……!」
思わず声が漏れる。
リアが隣で震えながら尋ねる。
「ロゼル……あれ、まずい?」
「まずいどころじゃない」
ロゼルは湖を睨む。
先ほどまで静かだった水面。
そこに、ゆっくりと――。
大きな波紋が広がり始めていた。
「……あの馬鹿女、魔誘餌を撒きやがった!」
ロゼルが思わず声を荒らげる。
「魔誘餌……ですか?」
アゼリアが聞き返す。
リアも不安そうに湖へ視線を向けた。
「やばいの、それ?」
「やばいなんてもんじゃない!」
ロゼルは即座に立ち上がった。
「二人とも走るぞ!」
その声には、普段の落ち着いたロゼルからは考えられないほどの切迫感があった。
アゼリアとリアは顔を見合わせる。
だが、ロゼルがここまで慌てる理由を聞き返すことはしなかった。
「……はい!」
「わかった!」
二人は短く返事をして頷く。
ロゼルは岩陰から飛び出した。
その瞬間――。
ぞわっ。
まるで湖そのものが膨らんだような感覚が、全身を駆け抜けた。
巨大な何かが、水面下で動いた。
それだけで湖面が大きく盛り上がり、夜石の光が大きく揺らめく。
「なっ……!」
リアが息を呑む。
だが、ロゼルは振り返らない。
「止まるな! あいつらを抜けて、別の階層まで避難するぞ!」
三人は一斉に走り出した。
その動きを見た冒険者たちも、ようやく異変を悟った。
「まずい、もう気づかれた!」
「全員逃げるぞ!」
「武器なんか捨てろ! あんなもん相手にしてどうする!」
一人の男が湖を振り返り、顔を青ざめさせる。
「そいつらはもう放っておけ!」
そう叫ぶと、冒険者たちはエリナたちを置き去りにして、一斉に走り出した。
「ちょっと!」
エリナが声を上げる。
だが、誰も止まらない。
十数人いた護衛の冒険者たちは、我先にと湖から離れていく。
「お、お嬢様!」
残された従者が慌ててエリナへ駆け寄った。
「逃げましょう! もう雇った冒険者は一人も残っておりませんぞ!」
「落ち着きなさい、爺」
エリナは動じる様子もなかった。
逃げていく冒険者たちにも目を向けず、ただ湖だけを凝視している。
そして――。
「ほら! 見て!」
エリナの顔に、嬉しそうな笑みが浮かんだ。
「水竜が近づいてきたわ!」
「お嬢様ぁぁぁっ!」
従者の悲鳴が、広大な地底湖に響き渡った。
地面が、揺れた。
「……っ!」
ロゼルの足元の岩が、細かく震える。
一度。
二度。
そして次の瞬間――。
ザァァァァッ!!
湖の水が大きく盛り上がった。
岸辺から水が溢れ出し、乾いた岩肌を一気に濡らしていく。
夜石の淡い光を反射した水が、足元を這うように広がっていく。
「な、なんだ……これ……」
リアの声が震えた。
ロゼルは答えなかった。
答えられなかった。
湖の向こう。
先ほどまで巨大な影が見えていた場所から、何かがゆっくりと浮かび上がってくる。
最初に見えたのは――背中だった。
巨大な鱗に覆われた背が、水面を押し上げながら現れる。
一枚一枚の鱗は、まるで巨大な鎧の装甲。
夜石の光を受けても輝くことはなく、濡れた黒鉄のような鈍い光を放っている。
その巨体がさらに持ち上がる。
水面が大きく割れた。
そして――頭部が現れた。
龍。
そう呼ぶには、あまりにも異形だった。
長い首を持つ巨大な爬虫類。
四肢には、船のような巨体を支えるためなのか、鋭く巨大な爪が並んでいる。
口元から覗く牙は一本一本が剣のように長い。
そして、その顔にある二つの眼。
そこには瞳孔らしいものがほとんど見えない。
ただ、真っ黒な眼球が――。
夜石の光を受けながら、不気味にぬらりと輝いていた。
まるで深海から獲物を見つめる鮫の眼のようだった。
「…………」
リアは息をすることさえ忘れていた。
巨大な頭部が、ゆっくりと持ち上がる。
そのたびに湖面が揺れ、岸へと水が押し寄せる。
そして、さらに後ろから巨体が姿を現した。
胴体。
後肢。
そして――尾。
水中で揺れるその尾には、大きなヒレが備わっていた。
しかし、それは魚のような美しいものではない。
尾の先へ向かうほど鋭く尖り、巨大な刃物を思わせる形状をしている。
その尾が水面をわずかに払っただけで――。
ズバァンッ!!
湖面が大きく裂けた。
「……嘘だろ」
ロゼルの口から、かすれた声が漏れる。
あの尾なら――。
岩程度なら、容易く切り裂くだろう。
いや。
あれほど巨大な質量を持つものが振るえば、岩など問題にすらならない。
目の前にいるのは、ただ巨大なだけの魔物ではない。
長い年月を、この地底湖の底で生き続けてきた――。
圧倒的な捕食者だった。
アゼリアが小さく息を呑む。
「……ロゼル様」
その声には、珍しく明確な恐怖が滲んでいた。
ロゼルは答えない。
ただ、水竜を見つめながら拳を握る。
戦う。
そんな選択肢は、最初から存在しなかった。
「あれは……」
ロゼルが低く呟く。
「……魔物じゃない」
リアが振り向く。
「え?」
ロゼルは水竜から目を逸らさない。
「災害だ」
その言葉と同時に、水竜の巨大な頭部がゆっくりとこちらへ向いた。
「すごい……! すごいわ!」
エリナが歓喜の声を上げた。
目の前に現れた巨大な水竜から、恐怖など微塵も感じていない。
「これが水竜なのね!」
興奮したように身を乗り出す。
「あの吟遊詩人が歌っていた通り……いえ、それ以上の姿だわ!」
エリナは隣にいる従者へ振り返った。
「爺も見なさい! こんな姿、一生に一度しか――」
「お、お嬢様……!」
従者は腰を抜かしていた。
地面に尻をついたまま、震える指で水竜を指差す。
「お逃げください……!」
その声が響いた直後だった。
水竜の尾が――動いた。
「――ッ!」
ブォンッ!!
あまりにも巨大な尾が、水面を薙ぎ払う。
次の瞬間。
ドォォォンッ!!
凄まじい水しぶきが巻き上がった。
湖岸にいた者たちへ、大量の水と無数の小石が叩きつけられる。
そして――。
「え……?」
エリナの目の前にいた従者の一人が、消えた。
いや。
吹き飛ばされた。
そう認識するよりも早く、その身体は水圧と衝撃によって砕け散っていた。
肉片すら残らない。
そこにいたはずの人間が、一瞬で消し飛んだ。
「…………」
エリナの顔から、笑みが消えた。
「え?」
小さな声が漏れる。
隣にいた爺が、震えながら口を開いた。
「ひ……」
声にならない。
その瞬間、エリナの身体から力が抜けた。
ストン。
高級そうな衣服をまとった身体が、その場に座り込む。
土と水で汚れた地面に、白く上質な布地が触れた。
真っ白だった衣服が、見る間に茶色へ染まっていく。
「……あ」
エリナは自分の手を見る。
指先が震えていた。
「……あ、ああ……」
先ほどまでの興奮は、もうどこにもない。
「わたくし……」
声が震える。
「体が……動かない……」
エリナは隣の従者へ縋るように手を伸ばした。
「爺……」
「……」
「どうにかして……」
声が掠れる。
「どうにか……どうにかして……!」
その時。
「アゼリア!」
ロゼルの怒鳴り声が響いた。
「囮を出せるか!?」
水竜から目を離さないまま、ロゼルが叫ぶ。
「ありったけだ!」
「承知しました!」
アゼリアが即座に答えた。
その身体が、青い炎に包まれる。
ボッ――!
全身から青白い炎が噴き上がった。
美しい女性の姿が、炎の向こう側で揺らぐ。
白い肌。
白銀の髪。
青い瞳。
その姿が――崩れた。
肉が消え、皮膚が消え、髪も消えていく。
やがてそこに立っていたのは、純白の骨。
眼窩の奥では、赤い炎が揺らめいている。
そして――。
「――参ります!」
アゼリアの両手に、これまでとは比較にならないほど巨大な青い炎が灯った。
ゴウッ!!
両腕を振り上げる。
そして、その炎を地面へ叩き込んだ。
ドンッ!!
地面が震える。
青い光が地面を走り、巨大な紋様を描き出していく。
魔法陣。
その中心から――。
ズズズズズ……。
何かが這い上がってくる。
最初に現れたのは、巨大な頭蓋骨だった。
続いて長い背骨。
肋骨。
四本の巨大な脚。
そして長大な尾。
骨と骨が噛み合い、巨大な身体を形作っていく。
やがて――。
二体の骨龍が、地面からその姿を現した。
「グォォォォ……!」
生き物ではない。
肉も血もない。
それでも、その姿は龍そのものだった。
巨大な顎を開き、青白い炎を眼窩に宿しながら、水竜へ向かって立ちはだかる。
だが、それだけでは終わらない。
アゼリアは再び両手へ炎を集中させた。
「まだです……!」
両手から青い炎が、雫のようにぽたり、ぽたりと地面へ落ちていく。
一滴。
二滴。
三滴。
炎の雫が地面に触れるたび、小さな青い紋様が浮かび上がる。
そして――。
ズルッ。
紋様の中心から、白い手が這い出した。
続いて腕。
頭蓋骨。
胴体。
一体。
また一体。
次々とスケルトン兵が地面から這い出してくる。
カタカタと骨を鳴らしながら立ち上がり、剣を握る者。
盾を構える者。
槍を手にする者。
その数は瞬く間に増えていった。
アゼリアはただ一人。
その場で両手を広げ、青い炎を燃え上がらせていた。
ロゼルはその光景を一瞬だけ確認する。
「よし……!」
視線を水竜へ戻す。
「時間を稼ぐぞ!」
二体の骨龍と無数のスケルトン兵が、一斉に水竜へ向かって駆け出した。




