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泡沫の約束  作者: mi
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7



 人々が寝静まった深夜。

 今日も人目を忍んで、温泉の地下深くの祠へ、ごつごつとした岩の階段を降りていきます。


 そこには、先に来ていたのか、メリダおばさんの姿もありました。





「シエルちゃんきたねー!」


「こんばんは、メリダおばさん」


「こんばんは。

 そういえば、例のイケメン!きたねーー!

 我が村に!!」


「えっ、あっ、あーー、なんだか賑わってましたよねー」


「なーーに言ってんだい!

 あんたんとこにも入ってくのみたんだからね!

 来たんだろ?例のイケメン」


 メリダおばさんはニヤニヤと笑いながら、とても楽しそうに聞いてきました。


「確かに、ものすごく綺麗な方はいらっしゃいましたよ?

 それがその「例のイケメン」かはわかりませんけどね」


 思わず変な言い方をしまいました。

 なんだかそわそわして落ち着きのない気持ちになるのです。


「やだよ〜そんな言い方しちゃって〜

 で、実際のところはどうなんだい?

 ちょっといいなーとか思ったりしたんじゃないのかい?

 シエルちゃんはかわいいんだから、きっとお似合いさね!」


 私はメリダおばさんに、なんと答えていいのかわからなくなってしまいました。

 だから、正直に話してみることにしました。

 この落ち着かない気持ちが、一体何なのか、どうして、よく知りもしない人のことが、こんなに気になるのか、、、



「おばさん、私にもわからないの。

 確かにとても綺麗な人だったわ。

 だけどね、その「いいなー」がよくわからないの。

 ただ、、、、、、」



「ただ、彼を見たとき、周りの景色も、周りの音も、彼以外のすべてのものが何もなくなったみたいになって、、、

 彼から目が離せなくなったの」


「そしてね、なぜか、、、

 なぜか、とても悲しかったの、、、」





「かなしかった?」



「そう、悲しかったの。

 胸がギュッと締め付けられて、どこか懐かしいような、寂しいような、、、

 嬉しい、だけど悲しい、、、

 そんな不思議な気持ちになったの。

 だから私、何だかよくわからなくって、、、」




 そう話すと、メリダおばさんは何やら難しい顔をして考え込んでしまいました。




「ごめんなさい!変なこと言って!

 今のは忘れてください!

 おばさん、彼がイケメンなのはわかったわ。

 でも、ほどほどにね!」



 いつもと違うおばさんの様子に、余計落ち着かなくなった私は、この話を終わらせ、お祈りを始めることにしました。




「では、はじめますね」





 私はいつものように、マラカイトでできた大きな女神様の像の前で、祈りを捧げ始めました。






ーーー女神ユーノー様、いつもお見守りいただきありがとうございます

今日もたくさんの方がオンセンの癒しを賜りました

ユーノー様のご加護に心からの感謝をーーー



 


 カッ!!!!!!!!!





 いつもと同じはずなのに、この祠に初めて訪れたときように、女神像が一際眩く輝いたのでした。



「えっ、、、」



 私は訳がわからず、ぼんやりと像を見つめていました。



『アァ、、、ワタクシノ愛し子、、、

 メルジーナ、オマエダッタのネ

 ワタクシノ愛し子、、、、、、』



 そう言うと、光は雲散し、ユーノー様の声は聞こえなくなってしまいました。



 そして、『メルジーナ』というユーノー様の言葉が、耳から離れず、私の胸をより一層締め付け、私の目からは、止めどなく涙が溢れたのでした。



 

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