16
あれから三年の月日が流れました。
私は今、彼と二人で『オンセン』を切り盛りしています。
あのあとお互いのことを語り合い、少しずつ距離を縮めていき、私が16歳になった時に結婚しました。
彼は父にも挨拶をしてくれましたが、父は少し彼を見ただけで、特に大きな反応も見せず、また妄想の中のお母さんと過ごし始めました。
諦めていたところもあったので、仕方ないと思いますが、今でも彼には申し訳ない気持ちになってしまいます。
彼は気にしなくていいと笑ってくれました。
そして、自分にはもう両親がいないから、親孝行させてほしいと言ってくれた時には、声を出して泣いてしまいました。
あんな父ですが、私にとっては大切な家族です。
だからこそ、彼が受け入れてくれたことが心の底から嬉しかったのでした。
そしてその数日後、実の母のように見守り、支えてくれたメリダおばさんの立ち会いの元、私たちは晴れて夫婦となったのでした。
18歳になった今。
私のお腹には新しい命が宿っています。
これを機に、彼に泡沫の一族について話すことにしました。
本当は子どもが無事に生まれ、大きくなってから話すべきところですが、私のお母さんのように、いつ何が起こるかわからないと思うと、伝えておくべきだと思ったのでした。
もちろん、メリダおばさんや、他の祀る民の皆さんにも相談し、ユーノー様の像にも報告をしました。
ユーノー様は、結婚の報告をしたときもそうでしたが、あたり一面を金の粒子でいっぱいにして、賛成の意を示してくれたのでした。
「ねぇ、あなた。
大事な話があるんだけど、今夜時間あるかしら」
「時間なら大丈夫だよ。
何かあったのかい?」
「今は言えないの。
今夜、、、そうね、みんなが寝静まる頃にお話ししましょう」
彼は首を傾げつつも、では夜にと言ってオンセンの見回りに出かけていきました。
今夜ついに話すのだと思うと、緊張で心臓が口から飛び出てしまいそうでした。
そして夜も更けてきたころ、私は彼と共に、祠へと向かいました。
あたりは真っ暗で、人々は寝静まっています。そこにはフクロウの声だけが響いていました。
「こんな遅くにどこに行くんだい?」
「まだ秘密。もう少しだけ付き合って?」
「君一人の体じゃないんだから、無理はしないで」
彼は私のことを気遣いながらも、深く探ることはせず、心配そうにしながらもついてきてくれたのでした。




