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しばらくして、店を閉める時間になった頃、彼がやってきました。
「こんばんは」
「こんばんは
すみませんが、閉店作業があと少しで終わるので、少し待っていて下さい」
「急がないので、ゆっくりしてくださいね!
早く来すぎてしまったみたいで、、、」
少し照れたような彼の顔に、胸がドキンと高鳴りました。
ーーいけない!作業を早く終わらせないとーー
ドキドキと胸が踊る中、急いで閉店作業を進めたのでした。
「すみません!お待たせしました!」
「いえ、全然待ってませんよ」
「あの、、、お話はどこか別の場所でしますか?
もう閉店したので店の中でも大丈夫ですけど、、、」
「あ、では、ゆっくりお話ししたいので、ここでもいいですか?」
「もちろんです
今お茶を用意しますね」
「あ、すみません!お構いなく、、、」
お互いに黙っているため、辺りは静まり返り、ポコポコとお湯が沸く音だけが響いていました。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
、、、、、、
、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、、、
「あの〜、、、お話というのは、、、」
「っ!すみません!!
ちょっと緊張してしまって」
「ふふっ、いえ、大丈夫ですよ」
お互いに顔を見合わせ、思わず笑みが溢れたのでした。
笑って少し緊張がほぐれてきたのか、ポツリポツリと、彼が話し始めました。
彼は、平和になったこの世界で、自分は何のために生まれたのだろうと、ずっと疑問を抱き続けてきたそうです。
それは、何かに呼ばれているような、自分が欲し、欲されているような、、、
物心ついたときから、その衝動に背中を押されるように、自分を鍛え、ときには無茶なこともしたそうです。
そして、あの日は自警団の一員として、街道に出る盗賊討伐に出かけ、不意を突かれて大怪我をしたのでした。
怪我を負いつつも盗賊どもを蹴散らし、他の仲間が盗賊たちを捕らえている間に、不意に崖に足元を取られ、川に転落してしまったのです。
そして、目が覚めて、近くの街にたどり着いたときに、この村の『オンセン』のことを知ったのだそうです。
『オンセン』という言葉を聞いて、なぜかそこに行かなければならないと思ったのだそうです。
自分はそこに行くために生まれてきたのだと思うほどに、、、
しかし、この村までたどり着いたのはいいものの、『オンセン』を探す力までは残っておらず、彼は意識を失ってしまったのでした。
そして、偶然にも、彼が意識を失ったのがここ、『オンセン』の前だったのです。




