第六十四話「やってきた、最後の護衛役」・2
「これ、どうするの?」
「ちょっと貸してみろ」
瑠璃から一旦うちわを返却してもらい、実際に仰いで覚えさせてからもう一度渡す。すると今度は自分で仰ぎ始めた。
「わぁ、涼しい~♪」
極楽という風に、瑠璃が気持ちよさそうな表情を浮かべる。
「それ貸してやるから、服着ろ。頼む!」
軽く頭を下げて、俺は瑠璃にお願いした。瑠璃は最初渋ったようだが、少し体の熱が冷めて思考回路が上手く機能し始めたのか、少し顔を赤らめてキョロキョロと辺りを見渡す。
「ん? どうかしたか?」
「よ、洋服どこ?」
涙目で俺に訊いてくる瑠璃。いや、俺が知るわけないだろ。と、そう思いつつ、とりあえず周囲を見渡すと……あった、薄着のシャツと短パンが。しかも、これまた適当に脱ぎ散らかされた状態で。
「はぁ、丁寧に畳むとかしろよな……ほれ」
もしかすると、脱ぎ散らかした洋服なんかはお手伝いの人がやってたのかもしれないが、ここにそんな人がいるわけない。ならば、必然的に自分でやるしかない。その辺り、もう少しこいつに教えとく必要がありそうだな。
「ありがと、響史♪」
嬉しそうに笑みを浮かべた瑠璃が、両手で俺から服を受け取ろうとした、その時である。
ガチャ。
不意に俺の背後で扉が開く音がする。瞬間、俺の背筋に怖気が走った。凄まじい殺気が放たれているのか、俺の背後に何かを感じる。
「あんた、何してんの?」
怒気を含んだ声音。その声に俺は物凄く心当たりがあった。動きが悪くて機械油を差す必要があるロボットの様な動きで頭を動かし、俺は声のする方に顔を向ける。
「れ、麗魅……」
そう、そこにいたのは瑠璃の双子の妹である麗魅だったのだ。腕組みをして仁王立ち状態の彼女は、眉尻をあげ鬼の形相とも言わんばかりの表情で俺を睨んでいた。
「あんたが持ってるのって、お姉さまが着てた洋服よね? それをあんたが持ってて、お姉さまが下着姿って事は……この暑さに頭やられてお姉様の服を脱がしたのね!? なんて鬼畜!! そこに跪きなさい! ぶっ殺してあげるわっ!!」
拳の関節をボキボキと鳴らした麗魅は、殺気をビシビシ放ちながら俺へ近づいてくる。
「待て待て待てッ!! ご、誤解だ! 洋服を脱いでたのはこいつ自身!! 俺は逆に洋服を着るようにだな――」
「ふざけないで!」
俺の弁解を阻止するように麗魅が一言叫ぶ。
麗魅が続ける。
「もしそれが本当なら、お姉様はただの露出狂の痴女じゃないっ!! そんなのありえないわっ!!」
いや、確かにそうなんだけど……残念ながら本当なんだよな。
「お姉様もなんとか言ってよ!」
「う、うん……でも、洋服脱いでたのは本当……だよ?」
双子の妹の迫力が怖いのか、瑠璃はすっかり萎縮して小声になってしまっていた。
「は? 冗談……よね? そんなの……それじゃ、本当にお姉様は服を脱いで、その……し、下着姿でここに居たって言うの?」
「う、……ん」
「ぶ……」
「?」
「ぶぁっっっっっっっっっかじゃないの!!!?」
「ひぃっ!?」
「あのね! お姉様は魔界の姫君なのよ? いつかは下の者をまとめる立場になるの!! それなのに、そのお姉様がこんなだらしない生活しててどうするの!? しかも、こんなボサボサの髪の毛で!! 服もこんなシワシワ!! もっとしっかりしてよ!! お姉様がだらしないと、双子の妹である私のイメージまで下がるのっ!! そもそもお姉様は――」
それから何分が経っただろうか。こんな暑いのに、よくもまぁコレほどまでに怒れるものだ。まぁ、それほどまでに瑠璃がだらしないという事だろう。確かに俺から見ても、瑠璃はいろいろとアレだからな。
一方怒られている瑠璃はというと、今にも泣き出しそうなほど目尻に涙を溜めていた。あれじゃどっちが姉か分かったもんじゃないな。いや、姉妹というよりも母娘か?
「な、なぁ……麗魅、もういいんじゃないか? 瑠璃もきっと十分反省しただろうし、それ以上怒るとお前も熱いだろ? それに、怒りすぎると血管が切れるかもしれないぞ?」
これ以上はさすがに瑠璃が可哀想な気がした俺は、やんわりと麗魅を止めにかかった。
が――。
「はぁ!? お姉さまに変態行為を働こうとした男に命令される筋合いはないわね!! そもそもあんたが甘すぎるのよ!! そんなんだからお姉さまが堕落するの!! お姉様は元から頭のネジが緩いんだから、これ以上緩めないでよね!!」
おいおい、いくらなんでも双子の姉にそこまで言うか? こ、こいつ……ホントに尊敬してるのか? 実は滅茶苦茶軽蔑してるんじゃ……。
「ぐす……ごめんね、麗魅。これからは気をつけるから……許して?」
「――っ!」
瑠璃がシュンとしながら麗魅に言うと、麗魅は目を見開いて口を閉じた。
やばい、これでも許してくれないのか?
と、そんな事を思っていると。
「し、しょうがないわね。ほ、ホントお姉様は私がいないとダメなんだから……ほら、貸して」
麗魅はそっぽを向きながらその頬を赤らめていた。てっきり、更なる罵声が浴びせられるのかと思ったんだが……少し拍子抜けだ。
それから麗魅は、半ば無理やり俺から瑠璃の服を奪うと、ブツブツ言いながら瑠璃に洋服を着せてやった。
あれ、気のせいだろうか。甘いのは俺よりもこいつの気がする。
さっきまでなんやかんや言ってたのに、こいつが目を潤ませて謝った瞬間、急に態度を変えやがった。
ん? 待てよ……。
一瞬ちょっとした懸念が出た俺は、麗魅にちょっとした質問をした。
「なぁ、瑠璃って魔界の方でも洋服を脱ぎ散らかしてるのか?」
「はぁ!? んな訳ないでしょ! そんな事したらイメージが悪くなるじゃない!!」
「じゃあ、家ではちゃんと洋服を畳んでるのか?」
「ええ」
なんだ、ただの俺の杞憂――。
「私がね」
「……」
は?
「え、今なんて?」
「だから、お姉様が脱ぎ散らかした洋服を畳まないから、私が畳んでるって言ったのよ」
いやいやいや、それじゃ意味ねぇだろ! ちゃんと本人に片付けさせないと!!
「瑠璃、お前いつも洋服脱ぎ散らかしてたなら、変に思わなかったのか?」
「え? うん……確かにいつの間にか綺麗になってるから、気づかぬうちに自分で片付けたのかなぁ~って。偉いね、わたし! って思ってた、あはは」
いやいやいやいや! お前それはさすがにないだろ! どんだけ緩んでんだ頭のネジ!! 最早これは天然のレベルを超えてるだろ!!
「いや、それ笑い事じゃねぇだろ」
「ホント、お姉様のダメっぷりには呆れるわ」
肩を竦めて首を左右に振る麗魅。が、そこに俺はすかさず一言。
「いや、お前が甘やかすのも原因だろ」
「んなっ! べ、別に私はおねえさまを甘やかしてなんて――」
「以前、瑠璃が自分でボタンを外すのをメンドくさそうにしてたんだが」
「そりゃそうよ、私が付け外ししてるんだから」
やっぱり、元凶お前だよ。瑠璃を堕落させてるのは間違いなく、十中八九お前!
「はぁ、こりゃどっちもどっちだな」
眉間に手を当てやれやれと首を振る俺。とりあえず、ここでベラベラと喋り続けるのもあれだから、そこらへんに座るか。
「よっと」
テーブルの近くに陣取った俺は、誰かが点けたのであろうテレビの画面を眺めた。テレビでは、丁度天気予報が流れている。
『本日のお天気は、晴れでしょう』
見りゃ分かる。
『……本日の最高気温は三十五度と猛暑日で、熱中症が相次いでおります。お出かけの際は十分にお気をつけください』
なるほど、姉ちゃんが言ってた通りだな。にしても、お天気の晴れマークが異様に真っ赤なのは、そういう意味なのか?
「はぁ、三十五度なら熱いのも納得だな。昼は……素麺――いや、この間食べたし……蕎麦にするか」
頬杖をつきながらぼーっとテレビを眺めていた俺は、メニューをどうするかを独りごちった。
「そういや、他のみんなはどうした?」
同じくテーブルの近くに陣取っていた瑠璃と麗魅に訊く。
「えっと、叔母さんはラボだと思うよ? 後のみんなは、確か霖とどっか行っちゃった」
「霖と一緒? なら、買い物かな」
しかし、護衛役全員引き連れてか……何だか異様な光景だよな。しかも、全員青髪……ん? あれ、そういや誰かを忘れてるような気がするな。最近、全然会ってない……誰だろ? まぁいいや。
「そういや、クーラー点けてねぇな。えっとリモコンは……」
棚の上に置いてあったそれを手に取り、俺はクーラーに向けて電源ボタンを押す。
ピッという音がしてクーラーが起動した。
「うわぁ、涼しい♪」
「何よ、こんな機械があるんならとっとと点けなさいよね! 汗流し損しちゃったじゃない」
なんだよ、汗流し損って。
「霖達がこの猛暑の中外に出てるからな。帰ってきた時に涼しかったら喜ぶだろうと思ってな」
「ふぅん、相変わらず響ちゃんは優しいわね」
そう言って俺の背後から姿を現したのは、コップを手に持った姉ちゃんだった。
「そうか? それより、お昼蕎麦でいいか?」
「うん、響ちゃんが作る料理なら、何でも美味しいからね」
一応作る料理の許可をもらいはしたが、はっきり言って姉ちゃんが作る様子は微塵も感じられない。まぁ、作ったら作ったで大変な事になりそうだから、問題はないんだけど。
と、その時である。
ガチャ。
「ただいま~」
玄関の扉が開き、霖の声が聞こえる。どうやら帰ってきたらしい。
「おかえり」
もし買い物なのだとしたら荷物運びがいるだろうと思い、玄関まで出迎えに行く。
「あ、お兄ちゃん、起きてたの?」
「ああ」
「ぁ……涼しい、どうしたの?」
リビングから漏れる冷気を感じ、霖が尋ねる。
「ああ、クーラー点けたんだ」
「へぇ~! そんな便利なのがあるんだ。ありがとう」
「おう、それで……買い物行ってたのか?」
霖の後ろからぞくぞくと入ってくる護衛役が、その両手に買い物袋を提げているのを見て、俺はそう尋ねた。
「まぁね。ちょっと足りない材料の補充かな?」
疲れた様子ながらも明るい表情で、霖が説明をくれる。
「この人数だからな……食材がなくなるのも早いんだよな」
「ていうか、響ちゃん。今月分の支給費、足りるの?」
霖と俺が会話していると、いきなり姉ちゃんが背後から横槍を入れてきた。
「げッ! まさか――」
アルバイトなんかしていない俺が、一体どうやって生活費をやりくりしているのか。それが支給費というものだ。毎月銀行に、母さんと父さんから俺宛に一か月分のお金が振り込まれている。それを使ってやりくりするのだが、最近の俺の家の食生活はとんでもない事になっている。何せ、一家十数人。ご飯を炊く時だって量が多いため、最近では炊飯器をもう一台用意するか否かという計画まで立てられているくらいだ。
今月の終わりまで後数日ではあるが、このままでは限界かもしれない。
俺は引き出しから封筒を取り出した。それから中身を確認し、絶句する。
「おい、嘘だろ……?」
俺は最低限必要な分の金しか使わない。そういう風に癖付けている。そのため、金の使い方には少々うるさい。神童財閥の孫とはとても思えない発言かもしれないが、一応爺ちゃんには最低限頼らないと決めているため、仕方ない。まぁ、さすがに瑠璃達の件では頼るしかなかったが……。
「ほら、言わんこっちゃない。この大人数だもの、みんな食べ盛りなんだし食費がかさむのは仕方ないわね。まぁ、女の子だからそんなに食べないだろうって高を括った、響ちゃんの失策ね」
やれやれと、肩を竦めて姉ちゃんが呆れる。
「べ、別にそういう風に考えてた訳じゃ……くそ、どうすりゃ」
あまりにも突然の危機に、俺は頭を抱えた。すると、姉ちゃんが人差し指を立ててすまし顔で口を開く。
「ま、残った食材だけでやりくりするしかないでしょうね」
「はぁ、しばらくは料理の品数と量を減らすしかないな」
ため息混じりに俺はそう口にする。すると、不満を持った一人が、颯爽と非難の声をあげる。
「えぇ~!? お料理へっちゃうの?」
「仕方ないだろ? そもそも、瑠璃がよく食べる三人の内の一人なんだから、我慢してくれよ」
「だって響史の料理、おいしいんだもん!」
「何でだろ、本来なら嬉しいんだが、今回ばかりはあまり喜べないな……」
「てゆーか、響史! 残りの二人の食べ盛りって誰の事だよ!!」
「そーだよ! 少なくとも私は食い意地張ってないよね!?」
俺の言葉に対し、今度は霙と霊が意見する。
「あのな、霙はいっつもご飯何杯食ってると思ってんだ!!」
「は!? 何杯って、五杯に決まってんだろ!?」
まるで開き直るようにそう宣言する霙。その発言に、俺はカチンときて声を張り上げる。
「それ! それが問題なんだよッ!! 普通っていうのはな、ご飯一杯でいいんだよ! しかも、霙の場合はご飯五杯の上に大盛りだからな? これが食べ盛りって言わずになんて言うんだよ!!」
「響史、霙はともかく私は大丈夫だよね!」
霙に比べれば自分は問題ないといいたいのか、霊が俺に訊いて来る。
「霊の場合は魚料理の時が問題なんだよッ!!」
「だ、だってぇ……美味しいんだもん」
胸の前で人差し指同士をツンツンしながら上目遣いに言う霊。
「可愛く言ってもダメッ!!」
今まで俺はこいつらを甘やかしすぎてた。あまりにも美味そうに食うからついつい食べさせすぎたんだ。
「うぅ~」
「五杯くらい食べねぇと調子狂うんだよ」
「俺に言わせれば五杯も食べた方が調子狂いそうだ。とにかく、しばらくは食費を詰めるから、そのつもりで」
腕組して俺は彼女達にそう宣告する。魔界の少女達の何人かは、ショックを受けているようだった。
――☆★☆――
ここは黄昏区、黎明区、真夜区の三つで構成された光影都市の中心に立つ塔。都市のシンボル的存在で、ここから電波が飛ばされている。
そこに、突如一つの人影が姿を現す。だが、それは人の形を成してはいるが、人為らざる気配を放っていた。
「ここが光影都市……。そして、ここが標的の住む家及び学校がある黄昏区……。ここに、おねえちゃん達が……」
青い髪の毛に青い瞳を持つ十歳くらいの少年。その頭と首には長すぎるマフラーを巻いており、例えるなら忍者のような態だった。
と、そこに不気味な声がどこからともなく聞こえてくる。
【どうやら目的地に着いたようだな……様子はどうだ?】
「敵は完全に腑抜けてる。倒すのは容易いと思うよ」
【油断はするな。とりあえず標的発見を最優先目標とする】
「発見次第どうする?」
【クック……好きにしろ】
「ふふんっ、……りょーかい」
口元に笑みを浮かべたその少年は、瞑目して了承すると、深呼吸しながら両腕を肩の位置まであげた。それから手のひらと頭を天へ向けると、瞑目していた目をカッと見開いた。
刹那――青白いビーム的な物が、天を貫かんが如く放たれた。直後、禍々しいオーラと共に、邪悪な暗雲が先ほどのビームを中心にとぐろを巻きながら発生した。
「出でよ、積もり乱れし雲よ……ここに雷鳴を轟かせ、豪雨と雹を降らしたまえっ!!」
そう少年が叫ぶと同時、突如とぐろを巻きながら発生した積乱雲が漆黒に染まり、ゴゴゴと不気味な重低音を轟かせながら紫色の光を発光した。稲光が発生し、雲間から次々と何かが降り注ぎ始める。それは、雨粒と雹だった。おまけに、その激しさは勢いを増し、ものの数分後には豪雨へと変化した。ゴルフボールくらいの大きさの雹がどんどん落下していき、道路や家屋などを襲撃する。
【クック……素晴らしい、さすがは最後の護衛役……ヒライス=デント=ルドラ。いや、人間界ではこう呼ぶべきかな? 『水連寺 雹』。その力……存分に振るうがいい。貴様の兄妹もろとも、思い知らせるといい。この我に歯向かうとどうなるのかを……な。クック……フッハハハハハハハハハ!!】
そう言って不気味な笑い声をあげると、それ以降謎の声は一切聞こえなくなった。
「標的、神童響史……瑠璃姫様と麗魅姫様だけでなく、おねえちゃんやおにいちゃんまで……同じ護衛役として、ぼくが正してあげるよ。最後の護衛役にして、最強のぼくが……でも、まずはこの蒸し暑い気温を何とかしないとね。任務はそれからだ」
独りごちった雹は、青い双眸を一層輝かせ、雨と雹の勢いを強めた。
「さぁ、この事態どう動く……?」
――☆★☆――
「ちょ、何だよいきなり!!」
「お兄ちゃん、わたしも手伝うよ!」
「サンキュー!」
「わ、わたし達も!!」
俺――神童響史は、突然降ってきた雨から洗濯物を守るため、慌ててそれを取り込んでいる所だった。あれから昼飯の蕎麦を食って一息ついていたのだが、いきなりパラパラと変な音がしたので窓の外を見てみれば、さっきまで快晴だったとは思えないほど雨が降っていたのである。おまけに、その変な音の正体がゴルフボール程の大きさもある雹ときたもんだから驚きだ。何故かって? 今は夏。夏場に雹が降るなんて、聞いたこともない。これは、間違いなく異常気象だ。地球温暖化現象がここまでの影響を及ぼしたのか分からないが、ともかく今は一刻も早く洗濯物を取り込まなければ!
「響史、これで全部!」
「おう!」
「お兄ちゃん、これここに干していいの!?」
「ああ!」
瑠璃から残った全ての洗濯物を受け取り、霖がリビングルームの欄間(あくまでも位置)にかけていいかを尋ねるので、それに答える。
「ふぅ、とりあえず一段落だな」
額の汗を拭いながら一息つく俺。すると、テレビの画面を見ていた霄が声をあげた。
「……これは」
「どうかしたのか?」
俺がテレビの画面を覗き込むと、そこにはこう書かれていた。
『雹警報、大雨洪水警報、雷注意報発令につき、住民の皆様は至急屋内へ避難してください!』
「な、何だよこれ!?」
こめかみからツーッと冷や汗を流し、俺は驚愕の表情を浮かべる。
「うむ……どうやらとんでもないやつが来てしまったようだ」
「とんでもない……やつ? 異常気象とかじゃないのか?」
霄の発言に俺は首を傾げる。だが、直後俺は理解した。この明らかな異常。これは間違いなく人為らざる者によって行われたに違いない。そうなると、ここ数ヶ月の経験からこれしか考えられなかった。
「……護衛役」
「まぁ、十中八九それで間違いないやろな。ていうか、最早それで確定やろ。なんせ、ウチらこれ知っとるしな!」
俺が唸っていると、霞さんがそう発言する。
「じゃあ、やっぱり?」
「ああ。せやけど、また厄介なんが来たなぁ。まぁ、いつかは来る思っとったけど、最後に持って来おったか……。まぁ、トリに相応しいっちゃ相応しいけど、こりゃ勝てへんかもしれへんで?」
「な、何でですか!?」
いきなり霞さんが負け腰なので、俺はちょっと意外に思い問うた。
「あれ? みんなで何やってるの?」
リビングルームのドアが開き、この場に広がる空気を察したのか、露さんが首を傾げ尋ねる。
というわけで、二部です。はい、響史が麗魅に手痛い仕打ちを受けかけてます。まぁ、ほぼ瑠璃が悪いんですけどね。で、双子の妹に双子の姉が怒られる図が完成しちゃいました。でも、これ明らかに麗魅が瑠璃を甘やかしてるのも悪い気がしますw
いやはや、にしてもキャラが多すぎるせいで、誰かと会話させてると誰かがハブられてる気がしてなりませんね。なるべく、全員しゃべらせてるつもりではいますが、もしかしたら誰かが……なんてホラーめいた事になるかもしれません。
で、キャラが多ければ何がなくなるって……そりゃマネーですね。一ヶ月の支給費がなくなって神童家ピーンチ!
と、場面チェンジして雹がやってきました。果たして、響史たちは雹を倒すことが出来るのか。
と、戦闘の前に突然の豪雨に洗濯物とりこんでますw
まぁ、まだ雹がやってきたこと知りませんからね。しかし、護衛役の面々の雲行きが怪しくなってようやく気づきました。
三部に続きます。




