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魔界の少女  作者: YossiDragon
第六章:七月~八月 夏休み編
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第六十三話「女体化の一日」・2

「さて、思わぬ事実を知っちゃったのは別にして……我ながら完璧ね。体型もほぼ……“ほぼ”同じだったし!」


 やけにほぼという言葉を強調する姉ちゃん。


「ね、ねぇ……やっぱりこのスカート、丈短くない?」


「そんなもんよ! さっ、服は選び終えたし、次は髪ね」


 そう言って、姉ちゃんがどこからか取り出した櫛を握る。


「そ、それくらい自分で……」


「だーめ! お姉ちゃんに任せときなさいって! う~ん、どの髪型がいいかなー? 響子暑いって言ってたから……ツインテ? それとも、ポニテがいいかな? それとも……お団子? う~ん、チャイナっぽいのもいいかも」


 などと、いろんな髪型を口にする姉ちゃんに、俺は髪でも遊ばれそうな気がしてあたふたした。


「も、もう! 人の髪の毛で遊ばないでよ!」


「中身が響ちゃんのせいか、何故かいじりたくなっちゃうんだよね」


「はぁ……全く」


 やれやれと、俺は嘆息して時間を確認した。もう一時間が経過する。と、ピピッと炊飯器の音が鳴る。


「あ、ご飯炊けたみたい。お姉ちゃん、悪いんだけど、ご飯混ぜてくれる? ちょっと、みんなを起こしてくるから」


「ふふ、お母さんは大変ね」


「だから、からかわないでってば!!」


 確かに、朝ごはんの準備をしたり寝起きの悪い子供みたいな魔界の少女(あいつら)を起こしたりなど、専業主婦の母親がやってそうな事をしているが、別段俺は母親というわけではない。まぁ、今は女体化してるけど。


「ほんっと、響ちゃんは面白いね」


 不意に、姉ちゃんが俺の愛称を口にする。それだけで、何故か俺は異様に昔の事を思い出すのだった。




 時刻は八時半。こいつらを起こすのに三十分も費やしてしまった。というのも、寝起きが悪すぎるのが原因だ。全員がというわけではないのだが、その一部の寝起きが悪いだけで時間を浪費してしまうのだ。

 例えば露さん。もうお分かりだと思うが、それはもう俺に猛烈なアタック(もろセクハラ)をしてくるのである。また、霊も大変だ(主に霰に襲われて)。

そんな二人の変態を相手にするだけでごっそり体力を削られる。

他のメンバーは大した問題はない。さすがにこの暑さでは、全員が俺のベッドで寝てるなんて事はないけれども、それでも幾人かは俺のベッドで寝ている。最近なんか、シフト制だったり予約制めいた事までやってる。俺のベッドの何がそこまでこいつらを引き寄せるのか分からない。

 と、そんなこんなでようやく朝ごはんにありつけた。本当は炊きたてが美味しいのだが、三十分経ってもご飯はやっぱり美味しい。

学校のある日は大半パンなのだが、夏休みだとか休みの日はご飯を食べている。


「ふわぁ、こんな早くに起こさなくてもいいのに~」


 瑠璃が、欠伸をして目じりに涙を浮かべながら愚痴る。

 そんな彼女に、俺はムッとして言ってやる。


「生活リズムが悪いわよ、瑠璃! ちゃんとした食生活を心がけないと、健康にも悪いんだから! ちゃんと早寝早起き!」


「うぅ~、麗魅~! 響史が世話係みたいな事言う~!」


 俺の説教に、瑠璃が双子の妹である麗魅に助けを求めた。


「はぁ……お姉さま? 今はこいつの名前は響子よ?」


 え、言うトコそこ!?

思わずツッコんでしまった。


「それと、早寝早起きは確かに大事だと思うわ」


 いや、お前も寝坊してたろ!


「ふふっ、響子ちゃん、私服姿もかっわいぃ~♪」


「一応、褒め言葉として受け取っておきます」


 一口サイズに切り分けたベーコンを口に入れながら、俺は冷めた口調で露さんに返した。


「もうっ! ホントに褒めてるよ? 純粋に褒めてるんだよ~、うへへ。可愛すぎて食べちゃいたいくらい」


「全力でお断りしますっ!」


「うぇ~ん、霖ちゅわぁ~ん、響子ちゃんがお姉ちゃんをいじめるぅ~!!」


「いやぁあああ!?」


「がぁーーーーんっ!!!?」


 俺が片手を前に突き出してそう言うと、露さんは嘘泣きしながら妹の霖に襲い掛か――もとい、抱きついた。それに対し、霖は顔面蒼白で悲鳴をあげる。よって露さんは、多大なるショックを受けて食卓のテーブルに突っ伏したまま動かなくなった。

 うん、毎度の光景だな。


「すごく賑やかな食卓ね」


 姉ちゃんが微笑ましそうにこの光景を眺めつつ、この場をそう評する。賑やか……賑やか過ぎる気もするけど、それがまたいいのかもな。


「くっ、私の斬空刀……」


 霄はまだ悲壮感に打ちひしがれているようだった。いい加減立ち直れよ。仕方のないやつだな。

俺はいち早く朝ごはんを済ませ、食器を水を張った台に入れると、手を洗ってご飯を手に取った。程よく塩を塗し、手際よく形を整えノリを巻き完成だ。無論、例のアレを入れる事も忘れない。


「ほら、霄。これで機嫌直して?」


 そう言って俺があるものを差し出すと、珍しく涙まで浮かべていた霄が、一気に顔を明るくしてそれを受け取った。

俺が彼女のために作ってあげたのは、ツナマヨおにぎりだった。

コンビになんかで売られてるやつとはちょっと違うけど、それでも霄としては嬉しいようで、大きく口を開けてガブリと一口。瞑目してモグモグと味を確認するように咀嚼すると、幸福そうに顔を綻ばせた。

それだけで、作ったこっちも嬉しい気持ちになった。これが子供のために弁当を作ってあげる母親の気持ちなのだろうか?

って、いかんいかん! またも母性っぽいものを感じてしまった!! ホントに目覚めかけてるんじゃないかと危惧してしまう。

そんな危機感をうっすら感じつつ、俺は時間を再確認。そろそろ出ないとな。


「お姉ちゃん、食べ終えた?」


「ごくっ、うん。ご馳走様でした。美味しかったよ?」


 満面の笑みでそういう姉ちゃんに、俺は「お粗末様でした」と言って笑顔を返した。




 時刻は午前九時。俺は魔界の少女達に留守を任せ、紙面に書かれた店を回る事にした。俺の役目は一応荷物持ちという事になっているが、一人で運べるかが少し不安ではある。何せ、三十件近くの店を回るのだ。一箇所で一個だけならまだいい。しかし、そうはいかないだろう。仮に一箇所で十個買ったとなると、合計で三百――ぐほッ!! なんという数だ。とても運べない。しかも、女の体なんだぞ? 男の時の俺ならまだなんとかなったかもしれないが、この状態だと少し難しい気がする。

ちなみに、髪型を姉ちゃんにいじられてポニーテールにされた。それでも少し長いかと言われ、少し変形型ではあるが。


「う~ん、まずはこの店から行こうか!」


 そんな俺の事なんか気にも留めないで、姉ちゃんは楽しそうに行く先を指差す。その姿はまるで、無邪気な子供だ。けど、実際は二十歳。既に成人したいい大人だ。そんな姉ちゃんが、こんな姿を晒すのはどうかと思う。まぁ、悪いとは言わないけど。


「近場から回った方が効率よくない? それに、食品なんかも新鮮なものは後にした方が、悪くならないよ? 一旦帰って置いて来るとか、そんなまどろっこしい事はしないんでしょ?」


「そうだね。じゃあ、響ちゃんの言うとおりにする!」


 まるで俺が年上で、姉ちゃんが年下みたいだ。俺の言うとおりについてくる子供。なんでそんな感じがするのかはよく分からないが、姉ちゃんからはそんな雰囲気が漂ってる。ホント、俺が完全に記憶を取り戻してから姉ちゃんはすっかり変わったよな。確かに高校生時代の姉ちゃんに戻ったのは戻ったんだけど、もっと幼くなった感じがして、お姉さん的雰囲気が感じられない。


「どうかした?」


「いや、なんでもない」


 不思議そうな表情を浮かべて俺の顔を覗き込んでくる姉ちゃんに、俺はそう返す。姉ちゃんのその仕草と大人びた相貌に、ドキリとしてしまう。やっぱり言動なんかは子供っぽいけど、体つきは大人なんだと再認識する。

よく、外見は大人だけど、中身はいつまでも純粋な少年のままです! みたいな事を聞くけど、これもその一種なんだろうか?


「早く行かないと、時間なくなっちゃう!」


 そう言って姉ちゃんは俺の手を引いて少し早足で歩いた。その手を引かれる感覚に、俺は不意に昔を思い出した。そうだ、俺が小さい頃、よく姉ちゃんに迷子にならないように手を引かれてたっけ。その大きくも柔らかい、包み込むような手に、俺はずっと着いていってた。もうこんな事を思うことはないとか思ってたけど、そんな事はなかったな。




一軒目のお店にやってきた。ここでは、ちょうどセールでお一人様二パックの卵が買える。卵が切れてたので、姉ちゃんと二人で買う事にした。そういや、財布持ってきたのか?


「お姉ちゃん、財布持ってるよね?」


「あ――」


「ま、まさか忘れたの!?」


「う・そ♪」


 口元に人差し指を添えられ、ウインクを向けられる。その何気ない動作に、俺はまたも顔を赤くした。


「だ、だからからかわないで!」


「いいじゃんいいじゃん、響ちゃんをイジるのは、お姉ちゃんの特権なんだよー?」


 そう言って楽しそうに笑う唯姉ちゃん。その笑顔を見てしまうと、つい許してしまう。これだから姉ちゃんがついつい調子に乗ってしまうんだ。

とりあえず財布がある事は分かった。無事卵を四パック買った俺達は、二軒目のお店へ向かった。




 二軒目にやってきた。ここは帽子なんかを売ってるお店で、結構いろんな人に向けて種類が取り揃えられている。本当はまとめて一軒でもいいのだが、キャンペーンで安くなってるとかでここへ赴いた次第だ。


「あっ、これなんか響ちゃんに似合いそう♪」


 そう言って姉ちゃんが、両手に異なる帽子を持って見比べている。しかし、どちらもなかなかいいデザインをしているためか、姉ちゃんは決めきれない様子だった。


「ねぇ、響ちゃんはどっちがいいと思う?」


「今は響子……なんでしょ?」


「大丈夫だよ。この場には響ちゃんと私しかいないんだし、響史も響子も、愛称は響ちゃんでしょ?」


「そりゃそうだけど……」


 うぐ、確かに言われてみればそうだ。どちらも愛称で呼ぶとなると、可能性は有り得るな。けど、その呼び方だと知り合いに見つかった時、下手すると厄介な事になりそうで怖い。


「ほら、響ちゃんはどっちがいい?」


 笑みを浮かべて両手を突き出す姉ちゃん。その両手には、結局決めきれずに俺に判断を委ねられた帽子が握られている。


「こっち……かな? お姉ちゃんの金髪によく映えると思うよ?」


「そ、そうかな? 一応、響ちゃんの帽子を選んでるつもりだったんだけど……」


 そういう姉ちゃんの困惑混じりの表情とセリフに、俺は半ば驚きを見せながら声をあげた。


「え!? わ、私の帽子を選んでたの? けど、私あまり帽子は被らないし……」


「ダメだよ? 夏場は特に紫外線が強いんだから、女の子として日傘代わりに帽子を被るつもりでいないと! それに、紫外線で髪の毛も痛むんだから」


「そうなの?」


 少し疑るように疑問の声をあげる俺に、姉ちゃんは腕組をしてうんうん頷いた。


「じゃあ、響ちゃんはこっちね!」


「え?」


 姉ちゃんが突き出す片手に視線を落とせば、それは先程、俺が姉ちゃんのために選んだ帽子の候補から外れた方の帽子だった。


「それを、私に?」


「うん♪ どうせなら、お互いに選んだ物を被ろう?」


 ここまで来ると、さすがに恋人めいてくるが、それはさすがにないだろう。相手は血の繋がった姉なのだ。そんな感情、抱いてはならない。


「……うん、分かった」


 だけど、その笑顔を見ると、無下には出来なかった。断れば、絶対にその笑顔が暗闇に沈む。せっかく俺の記憶が戻って喜んでるんだ。その延長線から来る喜びか何かだと考えればいい。

そう自分に言い聞かせた俺は、会計を済ませて三軒目のお店へと向かった。




「すっごい! こんな服あるんだー! ねぇねぇ、響ちゃん見てみて! これすっごくエロくない?」


 きゃっきゃと、とても二十歳に見えないはしゃぎ様。

俺と姉の唯姉ちゃんは、三軒目のお店へと赴いていた。ここは、洋服や靴なんかを特に扱っているお店で、有名ブランドが扱っているらしい。服なんかには詳しくない俺は、ピンと来ない名前ばかりだが、恐らく姉ちゃんは知っているのだろう。

何でも、今日はちょっとしたセールで服が多少安くなっているらしい。


「ちょ、ちょっと他のお客さんも見てるんだから、あまり大声あげないでよ~!」


 俺は悲鳴めいた声で顔を赤くしていた。そりゃそうだ。こんな公の場ではしゃいでいる二十歳の女性なんかといたら、俺まで変な目で見られる事間違いなしだ。


「え~、あっ、こっちの洋服カワイイ♪ ねぇ、響ちゃん! 着てみてよ!」


「え!? ど、どうして私が……」


「忘れたの? 今回の買い物は、主に響ちゃんの洋服を新調するためだって」


 そういえばそんな事言ってたな。けど、やっぱり自分の部屋で着替えるのと、こういった場で着替えるのとではハードルが異なる。男の姿なら問題ない。ああ、問題ないとも!

だがしかし!! 今の俺は神埼響子! 女なのだッ!! そんな俺がこの場で着替えるだなんて、何かあったらどうするんだよ!


「ほら、ブツブツ言ってないで着替えた着替えた!」


「あ、ちょ――」


 有無を言わさず姉ちゃんが俺に洋服を握らせて背中を押してくる。そのまま俺は誘導されて試着室に押し込まれた。


「着替えたら教えてね? でないと、勝手に開けちゃうから♪」


 サラリと恐ろしい言葉を口にする姉ちゃんに、俺は苦笑いをしながら観念した。いざとなったらあの暴力を行使されそうで怖いのだ。

 いつ何時、俺は忘れてはならないのだ。そう、あの姉ちゃんは以前我が家の玄関ドアを破壊した。その事実を俺は忘れかけている。そりゃそうだ。こんなポワポワしてる人物が、あんな荒っぽいやり方で玄関ドアを蹴り飛ばすなんてありえないからな。


「着替えたー?」


「ま、まだっ!!」


 いかん、考え事してる間にも少し時間が経ってしまったらしい。急がないとホントに姉ちゃんなら開けかねない。

俺は急いで上着を脱ぎ去った。渡されたのは夏場に相応しい薄い生地のワンピース。フリルがあしらってあり、確かにカワイイ。だが、若干裾が短くないだろうか?

履いてみて改めて気づいた。鏡で見ると、明らかに裾が短い。だって膝より数センチも上だもの! これ、下手したら下から見えちゃうんじゃないか?

そんな危機感さえ覚える。これでは裾を気にしすぎて他の事に構っていられない。


「もういいよね?」


「あ――」


 俺が元の格好に戻る前に姉ちゃんがカーテンを開ける。


「きゃー! かわいいっ! さっすが私の妹っ!!」


「弟よっ!!」


『え――』


 いきなり姉ちゃんが頬を赤らめて俺を妹として褒め称えるので、俺は訂正するように叫んだ。

が、それが裏目に出た。周囲にいた客全員が驚愕と不審の眼差しでこちらを見てきたのだ。


「あ、いや……」


「響ちゃんは妹よね?」


 姉ちゃんが笑顔で俺にそう確認する。


「う、うん」


 こう答えるしかないじゃないか。最早選択の余地なし。言わざるを得なかった。

 結局、気まずい空気になったので、他数種類の洋服などを買ってそそくさと退散した。また、一緒に靴が少し小さくなっていたので大きめの靴を一足買っておいた。




 それから数軒を回り、十一軒目。ここまでで、洗剤やら食器やら、お菓子、本、トイレットペーパーなど幾つもの品物を購入した。で、その度に俺の手荷物が増えて行った。本来ならこういった役目は男が担う。が、今はどちらも女。なら、分担くらいするだろう。

が、俺達の場合は違った。そのためか、商店街を歩いていると地域の人々が不思議そうにしながら、すれ違いざまにこちらを見やった。ただ単に金髪と銀髪という日本人にはありえないような髪の色を持つ二人に興味があったというだけかもしれないが。


「次は……パン屋さん」


 腕に買い物袋をいくつか提げ、箱を小脇に挟んだ状態で、どうにかこうにか紙面を確認しながら次の目的地を口にする。


「あ、ついでに隣のお店に寄って?」


「え、うん」


 回るお店が増えるのは正直少々キツいが、隣であれば然程問題はないと考えた。

にしても、隣って何のお店だったっけ?

そんな事を考えながらパン屋の場所までやってくる。と、ふと隣のお店に視線をやれば、そこにはケーキ屋の文字があった。


「ケーキ? 何か頼むの?」


「ふふっ、帰ってのお楽しみ♪」


 人差し指を口元に添えた姉ちゃんが、笑みを浮かべてそう言った。


「ちょっと行って来るから、響ちゃんはパンお願いね? すぐ戻ってくるから」


「え、でも荷物は!?」


 そうだ、この状態でパンを買うなんて、無理難題すぎる。


「店内に荷物置き場があるから、そこに一旦置いて買い物して」


「でも、盗られるかも……」


 俺がもしもの可能性を口にすると、姉ちゃんが不敵に笑んで言った。


「そんな事するやついたら、ぶっ殺すから……問題ないよ♪」


 一瞬、明らかに殺気めいたものを感じ取った。声のトーンも途中低くなった気がする。が、その事を追求すれば俺の何かも危ない気がしたので、質問するのは遠慮しておいた。


「そ、そうだね。それじゃあ、行って来る」


 なるべくこの場から早く退散したい衝動に駆られた俺は、笑顔を引き攣らせながらパン屋へ向かった。

俺がパンを頼んでから数分後、姉ちゃんが嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、鼻歌混じりに戻ってきた。


「そんなに嬉しいの?」


「うん♪」


 先程の殺気が嘘であるかのように、その笑顔は晴れ晴れとしていた。




商店街を抜けると、俺達はデパートへ赴いた。ここにはゲーセンだのレストランなど、様々なお店がある。時刻は十二時を回っており、昼食には丁度良い頃合と言える。

昼はこのデパートから攻めていく事になっているが、問題はそれよりどのお店で食べるかだ。


「どうする? 洋風? それとも和風? それとも、中華?」


 俺は、とりあえず姉ちゃんにどういった食べ物が食べたいのかを問うた。


「う~ん、私は響ちゃんが食べたい物なら何でもいいよ?」


 顎に人差し指をあてがいしばし思案した後、姉ちゃんは笑顔でそう口にした。

というわけで、二部です。お姉ちゃんに着せ替え人形のようにいろいろ扱われた響史は、罰ゲームで斬空刀を手放すハメになった霄を慰めるために、大好きなツナマヨおにぎりをあげます。いやはや、この時の霄は珍しくかわいかった気がします。

そして、ようやく買い物へ。ほんと、お店を回る順番について会話する響史を見ていると、主婦っぽいですね。しかも、買い物中の唯は、まるで妹のように響史に甘えてる気がします。まぁ、あながち気のせいではないんですが。余程記憶を取り戻したのが嬉しいんでしょう。

そんなこんなで、お昼の時間になったのですが。

三部に続きます。


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