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魔界の少女  作者: YossiDragon
第六章:七月~八月 夏休み編
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第六十三話「女体化の一日」・1

六部構成です。

 今日は七月二十三日。俺の記憶が戻って二日が経つ。自然に目が覚めてふと目の前に視線をやれば、そこにはこんな蒸し暑い七月下旬にも拘らず、すやすやと気持ちよさそうに寝ている瑠璃の姿が。と、上半身を起こしてベッドに両手を突き、瑠璃の反対側を見てみる。そこには、麗魅――と思ったら、ルナーの姿が。え? 何でだ? と、そこで今度は下半身に違和感を感じる。何かが足の上に乗っかっている感覚だ。ふと、タオルケットをどかしてみれば、そこには涎をだらだらと流して下品な姿を晒している露さんの姿が。人の足の上になんてものを垂らしてるんだと憤慨するのはひとまず置いといて。……きっと、さぞやいい夢を見ているのだろう。夢の中くらい、暴走させてもいいだろう。ただ、現実ではやめてほしい。心底そう思う。

俺は頭をかき、とりあえず露さんの体をどかしてベッドから降りた。それから軽く伸びをして、口元に手を当てて小さく欠伸をし、一階へ。

 まだ完全に起きれてないようで、俺は着替えるついでに目を覚まそうと洗面所へ。

軽く蛇口を捻って水を出す。どうやら、この暑さで水道水が熱くなって……という事はないようだ。ふと安心して、俺は手をスッと手前に差し出し水を汲もうとする。

 と、そこで俺はふと違和感を感じた。おかしい、やけに女の子みたいなしなやかな手をしてる。結構竹刀振ってたり家事とかやってたから、ゴツゴツしてて手のシワとか結構あったような気がしたんだが。

 さらに、俺はやけに頭が暑い事に今更ながら気づいた。いつもならうなじ辺りがすぅすぅしているのだが、今日はうなじに風が当たらない。その上、やけに今日は体が軽いのだ。そう言えば、ここに来るまで舟漕ぎながらで鏡確認してなかったな。

 俺は両手で掬った水で顔を洗うと、顔が濡れた状態で目の前の鏡を確認した。


「きゃあああああああ!?」


――うわぁあああああああ!?



 思わず少女と俺の意識の声が重なる。え、誰この銀髪美少女。 サラリと長い後ろ髪に、ぴょこんぴょこんと左右にハネた、俺のツンツンクセっ毛に良く似た横髪。で、これまた俺と同じ髪の毛の分け目を持つ前髪。で、さらにさらに瓜二つと言わんばかりの双眸。異なる点といえば、それが男でなく女の体つきをしているという事だろう。

 と、その時、ダダダッ! と、誰かの駆ける音が階段方面から聞こえ、直後に洗面所の扉が開け放たれる。


「どうした!? 敵襲かっ!?」


 霄が焦燥感に駆られている様な(喜んでいるようにしか見えない)表情で俺に問う。


「霄、聞いて! 今そこの鏡に、私に良く似た女の子がいたのよっ!!」


 俺は洗面台に備え付けられた鏡を指差し言った。


「……は? 何を言っているのだ、響史? あ、いや……今は響子だったか」


「いや、だから……鏡の向こうに女の子が――って、え? 今なんて?」


「ム? だから、今は響子だろう? ルナーによって女体化された事、忘れたのか?」


「ああっ!?」


 そうだった、夏バテのせいか、はたまた寝ぼけていたせいか、その事を一瞬忘れていた。そうだ、いやはや、お恥ずかしい限りだ。

俺は昨日、王様ゲームの罰ゲームで今日一日女の子でいるように言われてたんだった。にしても、ホント髪の毛が長いとこんなにも暑いんだな……。いっそ髪の毛切ってしまいたい。でも、こんなに綺麗なんだから切ってしまうのはもったいない気が……。


「そうだね、この長い銀髪を切ってしまうのは、もったいないと思うよ?」


「きゃっ!?」


「ふふっ、可愛い反応だね響史……あっ、間違えた。……響子」


「もう驚かさないでよ……って、ちょっとお姉ちゃん! 人の心を読むのやめてよ!」


 俺の姉である唯姉ちゃんが、綺麗な銀髪の後ろ髪を手で掬い上げながら読心術めいた物を使用して言うので、俺は何だか小恥ずかしくなって声を荒げた。


「羨ましいわねぇ、この綺麗な髪。元は男なのに……」


 皮肉な言葉を耳元で呟き、髪の毛から手を離した姉ちゃんが一歩後退する。

 それから軽くターンして後ろ手を組んで口を開いた。


「ねぇ、昨日の件……覚えてるよね?」


「……荷物持ち、だっけ?」


 少し曖昧に俺は答える。姉ちゃんは正解という風に、片手でOKサインをしてウィンクした。


「正解! ……ま、厳しくするなら部分点かな? はい、これ」


 スッと紙切れくらいのサイズの何かを手渡してくる。それを受け取り紙面を覗けば、そこには何やら呪文の様な文字がズラ~ッと綴られていた。


「……これ、何?」


 理解したくないという表情を浮かべながら、俺は姉ちゃんに質問した。すると、姉ちゃんは恐ろしいくらい満面の笑みを浮かべてズイッと顔を近づけてきた。距離にして、およそ5cmあるかないか……。相手の鼻息がかかり、妙にくすぐったい。


「お、お姉ちゃん……ち、近いよ?」


「じゃあ、それに書いてある所……行けるよね?」


 まるで脅すような問い。この紙に書かれた文字を理解しなければ離れないみたいな口ぶりだ。俺はこめかみから冷や汗を流しながら、確認するように口を開いた。


「えと……荷物持ちって、私だけ?」


 問い返す私に、こくり姉ちゃんが頷く。


「ム……それで、私の愛刀はいつになったら返してくれるのだ?」


 と、そこで、ずっと蚊帳の外にいた霄がふとそんな質問を口にする。姉ちゃんは霄の方に顔を向けると、口元に笑みを浮かべて言った。


「忘れたの? 今日一日、返さないよ?」


「そ、そんな……! 今日一日……だと!? それまで私は、残空刀を握れぬのか!?」


 まるで世紀末にでも出くわしたかのように、霄が目を見開く。そこまでショックなのか。まぁ、昨日もめちゃくちゃ落ち着かない様子だったし。そういや、よく見たら眼の下に隈がある。まさか……寝れなかったとか? ぬいぐるみを抱きしめてないと寝れない子供かよッ!


「まぁ、一日なんてあっという間だから心配ないって。ちょっとした訓練だと思えば?」


 訓練……か。確かに、霄はすぐに残空刀を抜刀する癖があるからな。これを機会に、少しは抑制してくれると嬉しいんだが。

 そんな切なる願いを胸に抱きつつ、俺は嘆息してもう一度紙面に目を落とす。


「これ、一日で回れるかな?」


「回れるかどうかじゃない。回るのよ!」


 え、これ全部を一日で? ちょっと難しくないか? 第一、お昼とかどうするんだ? これを全部回るなら、晩御飯もどこかで食べるかしないと回り切れないような……。


「お姉ちゃん、本気?」


「うん、至って私は大真面目に言ってるよ?」


「お昼と夜はどうするの? まさか、どっちも食べに行くの?」


「そうね、なるべく夜までには帰りたいけど、最悪の場合は外食にするつもり」


 俺が出す質問に対し、姉ちゃんは丁寧に答えてくる。


「……それに、これはあなたのためでもあるんだから」


 そういう姉ちゃんに、俺はふとした疑問をぶつけてみる。


「そういえば、これ幾つか洋服店の名前も入ってるけど、何か欲しい服でもあるの?」


「ふふっ」


 まるでその問いを待ってましたとばかりに、姉ちゃんが不敵に笑んだ。


「響子の服を買うのよ?」


「え?」


 思わずきょとんとなってしまう俺。そりゃそうだろ……俺の洋服を買う? でも、別にそんなたくさん私服なんていらないんだけど。

 って、ちょっと待て。そもそも、姉ちゃんはなんて言った? 響子の服を買う。それって……俺のじゃなく、響子の……女体化した俺のための服って事か!?


「でも、それって必要ないと思うんだけど……。別段外に出る訳でもないし……」


「ホントにそれでいいと思ってるの?」


「え?」


 なぜかお姉ちゃんがムスッとした顔で俺を睨む。


「えいっ!」


「ひゃああああああ!?」


 いきなり姉ちゃんが、俺のパジャマのズボンのゴムを掴んで下ろしてきた。思わず下着まで脱げてしまうのではと俺は危惧したが、何とかギリギリ下着のゴムが耐えてくれた。グッジョブ!


「もうっ! 何するのよ!!」


 俺は顔を鬼灯の様に真っ赤に染め、慌ててズボンをぐいっと上に上げた。


「いやぁ~。そういえば、体は女の子だけど服は全部男の子の物だったなぁ……と」


「何が言いたいの?」


 半眼の眼差しで眉尻を上げて俺は問う。


「響子って、結構足も長いしスラッとしてるじゃない? それだったら、結構足を見せた方が画的に映えると思うんだよねぇ」


「それは客観的じゃなくてお姉ちゃんの主観でしょ? 私は出来るだけスカートとかスースーしたものは履きたくないの! 風で捲れたり……するかもしれないし」


 ちょっとネガティブなケースを想像してしまい、俺は声のトーンを下げてボソリ呟いた。


「全く、またそんな悪い方向に考えて。公に出るためにも服は必須よ? 今日は私の洋服貸してあげるから、早く着替えなさい」


「ちょ、ちょっと待って!?」


「? どうしたの? ああ、サイズなら問題ないよ? 響子は響ちゃんの時と違って少し身長が低くなってるから、その分私の身長に近いと思うし。体型も……そこまで変わらないし」


 何故か、俺の体を下から上にかけて視線を這わす途中で顔をしかめる姉ちゃん。何か都合の悪い事でもあるのだろうか? と、そういう問題じゃない!


「そうじゃなくて……公の場に出るってどういうこと!?」


「恐らく……だけど、今後も響子はその姿で外を出歩くケースがあると思うのよね。乙女の勘ってやつ? その時、何を着て外を出歩くの? まさか、響ちゃんの時に使ってる洋服を使うわけにも行かないでしょ? サイズだって合わないだろうし。それなら響子用の洋服を買った方が得策じゃない?」


 ベラベラと、饒舌にそんな事を口にする姉ちゃん。そういえばそうだ。初めて女体化した時も、体育祭の時も、ルナーの発明品によって服を用意したから何とかなった。けど、今回や今後はそういう訳にもいかないだろう。それに、あの研究品を多様し過ぎるのは危ない気がする。

しかし、今後も女体化する事があるのか? てか、俺的に外を出歩くのはなるべく避けたいんだよな。亮太郎には一度出くわしちまったし、二度目はさすがにバレそうな気がする。何よりも、従姉妹四人や、琴音にバレるのも怖い。まさか、そっちに目覚めたのかとか言われそうだ。

うーん、でも……女体化だから体型そのものが女の子になるんだよな。声だって俺の声じゃないから、バレる恐れは格段に減る……って! 何を俺は言いように考えてるんだ!! これじゃあまるで、バレる事はないだろうから女体化して外を出歩くぞ! って言ってるようなもんじゃないか!


「う~ん」


 考えた末、俺は仕方なしに姉ちゃんの言うとおりにした。それに、いつまでもこの場にいるのも変な感じがしたしな。霄はというと、相変わらず悄気(しょげ)ていた。少し可哀想な気もするが、ここは心を鬼にしよう。霄のためだ。以前の家宅捜査もそうだったが、ここは日本で銃刀法という物が存在する。舞台の小道具とかならまだしも、モノホンの刀なんだ。やっぱり危険だよな。


「……何時から行くの?」


 リビングに移動した俺は、ふと時計の時刻を確認して姉ちゃんに尋ねた。


「そうね……やっぱり、結構あちこち行くからエネルギーが必要だろうし、九時くらいかな」


 顎に手をやりしばし思案した姉ちゃんは、人差し指を立てて時刻を提案する。


「分かった。じゃあ、まだ二時間あるし、ご飯炊いて朝ごはんにしよう」


「そうね、霖ちゃんだっけ? あの子には悪いけど、お昼ご飯は頼むしかなさそうだね」


 フローリングに置いた座布団にお姉さん座りしながら、姉ちゃんが霖へ気遣いの言葉をかける。


「心配してくれてるの?」


「ん~? まぁね。響ちゃんが倒れてる間も、あの子が家事を一通り引き受けてくれてたんでしょ? まだ小さいのによくやってるよ。将来はいいお嫁さんになると思うなぁ」


 悪魔でも家事の出来る女の子は優遇されるのだろうか? そんな想像をしつつ、俺は台所へ向かう。一番下のキャスター付きの引き出しから白米の入ったケースを引き出し、人数分の量の米を計量カップで掬う。

米を研ぎ終えた俺は、炊飯器のスイッチを入れた後、腕まくりした腕でふぅと額の汗を拭い、一息ついた。

と、背後に誰かが歩み寄る。


「お姉ちゃん?」


 この場には俺と姉ちゃんしかいないので、恐らく十中八九姉ちゃんだと思い俺はそう声をあげる。が、もしかすると残りの可能性で瑠璃達が降りてきたのかもしれない。


「随分暑そうだね」


 やっぱり姉ちゃんだった。


「まぁね。何故か分からないけど、女体化すると髪の毛も伸びるのよね」


「それって、男に戻ったら短くなるんでしょ?」


「う、うん」


 実際に体感してるからな。


「不思議ね。一体どういうメカニズムなんだろ?」


「さぁ」


 作ったのは俺ではなくルナーなので、俺は曖昧にしか答えれなかった。


「響子、ちょっとそこの椅子に座ってくれる?」


「え、いいけど」


 言われるがまま俺は食卓の椅子に座る。何だか妙に緊張してしまい、膝の上に乗せている拳に力が入る。


「……えっと、こうして……うんしょ……っと。これで――よしっ! 出来たよ、響子」


 何やら髪の毛を持ち上げられていろいろされていたが、何だろう? やけに首の後ろがスースーするな。


「はい、鏡」


 この状態では髪の毛がどうなったのか確認できない。その事を姉ちゃんも理解しているのだろう、用意周到に俺に鏡を差し出してきた。手鏡を持ち、髪の毛を確認すると、髪型が変わっていた。

 長い銀髪を纏め上げ、髪留めと数本のピンで固定されている。


「これ……」


「どう? これなら風が当たって涼しいでしょ? 響子の場合、髪の毛が長いから、ポニーテールでも少し暑そうだし……。家事とかの場合邪魔だからそっちの方がいいかなーって」


 後ろでに手を組んだ姉ちゃんが、前傾姿勢で俺にそう言う。


「あ、ありがと……。すごく嬉しい」


「そ。喜んでるなら良かった。これからはなるべく自分で出来るようになってね?」


「え?」


 ちょっと待て、その言い方だとホントに今後もやるみたいじゃないか! いい加減女体化はやめたいんだけど。


「……にしても、ホントにあの子達起きてこないね」


「まぁ、いつもの事だけどね。夏でこんなに暑いのに、よく寝てられるなーって思うわ。一応悪魔みたいなもんだから、朝が弱いのかもって思ってるけど」


「そっか……人間じゃないんだもんね。とてもそうは見えないけど……」


 姉ちゃんも一応瑠璃達の立場を知ってはいる。ただ、やはり俺と同じであの見た目ではとても魔界の人間だとは思えないのだろう。


「悪魔ってもっとどす黒いオーラ放ってて、尚且つ人型とは言っても、人間と同じ肌の色をしてるとは思ってなかったから……ちょっと意表突かれた感じ」


 確かにそうだ。悪魔って言ったらこう、全身真っ黒って感じだもんな。やっぱり見た事がないとそういう勝手なイメージが付くんだろうか?

そんな事を思いながら、俺はダイニングから離れてリビングへ歩いた。姉ちゃんの座っている場所の向かい側に座り、テーブルを挟む形になる。


「響子って、自然にそうやって座るの?」


 ふと姉ちゃんにそんな質問を投げられて、俺は目を丸くする。


「え?」


「いや、普通自然にアヒル座りなんてしないと思って……。普通なら、男の時のクセで胡坐だったり正座だと思ってたから」


「あぁ、なんかこう……正座って足が痛くなるから嫌なんだよね。かといって胡坐だと、ちょっと行儀悪いかな……って」


 頬をポリポリとかきながら、俺はそう説明した。


「ふぅーん、嫌がりながらもちゃんと努めてるんだね」


「もう、茶化さないでよ!」


「ふふ、ごめんごめん。そだ、洋服持ってきてあげるね」


 未だにパジャマ姿の俺の姿を見て、姉ちゃんがその場に立ち上がる。


「ええ、まだいいよ。恥ずかしいし……」


「準備だって必要でしょ? それに、髪の毛ちゃんと()かないと。そうね……いっそのこと、軽くお化粧してみる?」


「そ、それだけは嫌っ!!」


 俺は是が非でも化粧する事を拒絶した。そこまで行ったら本当に戻れそうにない気がしたのだ。本能的拒絶だろう。

姉ちゃんは少し不服そうに唇を尖らせると、ぶつぶつ言いながら自分の部屋へと向かった。


「はぁ……これ全部回るんだよね」


 改めて紙面を覗き込む俺。書いてある店の数はざっと三十近く。そんなにたくさん回る必要があるのかは別として、中にはゲームセンターだのの娯楽施設もあった。一体、何しに行くんだ? これだとまるで……。


「……デートみたい、だよね」


 確かに、傍から見れば女子同士だからデートにはならないのだろうが、事情を知ってる人間からしてみれば、異性が買い物に行って娯楽施設で遊んでと聞くと、一種のデートに思えるだろう。

だが、よく考えてみろ。相手はあのガサツな姉ちゃんだ。それはないと思う。問題は、道中知り合いに会わない事だ。特に一番危険視するべきなのは亮太郎だろう。あいつだけは厳重注意だ。


「お待たせ、持って来たよ」


 そう言って姉ちゃんが声をあげる。そちらを見れば、両手にいくつか洋服を抱えていた。


「何でそんなにたくさん……」


「実際着てみてサイズ合うか確かめないといけないでしょ? それに、響子のイメージに合う洋服着せないと、変になるよ?」


 そういうものなのか? 普段洋服なんかに気を使わない俺からすると、全然ちんぷんかんぷんだ。


「ま、お姉ちゃんにどぉんと任せときなさい!」


 やけに自信たっぷりに姉ちゃんが自分の胸を叩く。同時、その反動で揺れる胸に少しドキッとしつつ、俺は姉ちゃんに手を引かれてその場に立ち上がった。


「じゃ、まずはこれからね」


 そうやって俺が姉ちゃんに着せ替え人形の様に遊ばれる事数十分後……。


「うん、これでいいね」


 腰に手を当てうんうん頷きながら姉ちゃんが満足そうな声をあげる。対する俺は既に少し疲れていた。たかが洋服を着るだけで体力を使うものかとも思うだろう。問題は服を着る事じゃない。下着を女物に変える事だ。そりゃ抵抗するだろう! 女装ではなく女体化なんだから別にいいじゃないかと思うだろうが、そういう問題じゃない! 普段と異なる物を着けるのは、なんというかこう……落ち着かないのである。

まぁ、結局着けるハメになったのだが。でも、ちょっと胸がキツい気がする。けど、その事について意見しようとした瞬間、姉ちゃんからただならぬ威圧感を放たれたため、遠慮した。

というわけで、ギリギリ今月中に投稿する事が出来ました! ふぅ……。

えー、今回は前回の王様ゲームの次の日というわけで、響史が罰ゲームで一日女体化になった話です。姉の唯と一緒に買い物に駆り出される響史――もとい、響子。

元々中学くらいからの料理の苦労があって家事全般はなんなくこなせる彼が、女の子になると、最早お母さんにしか見えないという状態に。まぁ、寝ぼすけな魔界の少女達を起こす役も担ってますから、なおさらですね。

そんなわけで、二部に続きます。

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