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魔界の少女  作者: YossiDragon
第六章:七月~八月 夏休み編
160/275

第六十二話「王様ゲーム」・5

「お兄ちゃん、どうしたの?」


「ああ、なんでもない。次だよな」


「うん!」


 霖が少し心配そうに俺を見てくるので、俺は急いでゲームの進行役(?)に戻る事にした。退場した分の箸を減らし、人数調整。

 これで準備完了だ。


「せーの」


 俺は二番だった。


「王様だーれだ?」


 そう問うと、手を挙げたのは霖だった。


「次は霖か。命令は?」


「えーと、じゃあ……二番の人は王さまといっしょに今日の晩ごはんを作って?」


 その命令の内容を聞いて、俺は一瞬なんとも霖らしいなと思った。


「えと、二番はだれ? 霄お姉ちゃん?」


「? いや、私ではないぞ。私は一番だからな」


 そうか、霖は料理が出来ない霄と一緒に晩御飯を作る事で、料理の腕をあげさせようとしたんだ。うぅ、霖お前はどんだけいい子なんだよ!


「そっか。じゃあ、二番って?」


「俺だよ」


 恐る恐るというわけではないが、俺はゆっくり手を挙げながら霖に番号を引いた人物が俺である事を伝えた。


「お兄ちゃんが二番なの!? やった、嬉しい♪」


 どうやら俺でも嬉しかったようだ。まぁ、俺も今晩の料理の負担が減るし、ありがたいけどな。


「お兄ちゃん、何作る?」


「そ、そうだな……とりあえず、晩飯のメニューよりゲームを進めよう」


「あ、そだね」


 しまったという風に口元に手を運ぶ。その何気ない自然な仕草が可愛くてついつい見とれてしまう。だが言わせてもらう、俺はロリコンではない!


「じゃあ次な?」


 筒を中央に置き、再び一斉に箸を引く。俺は、十番だった。


「おっ、王様はうちやな」


 赤い印の入った箸を振りながらそう発言したのは、霞さんだった。


「せやなー。よし、決めたで。命令の内容」


「命令は何ですか?」


「にひ。六番、八番、十番! この三人に命令や」


 やっべ、俺入ってるじゃん。

俺は少し嫌な予感を感じつつ、霞さんの命令内容を待った。


「六番と八番は四つんばいになって、十番はうちが用意した紙に書かれたセリフを読んでもらう。せやな……一人十分や」


 時計をチラリ一瞥してから時間を指定する霞さん。


「ひ、一人十分? どういう意味ですか?」


「これをサイクルでやってもらうんよ。分かるかー?」


「いや、分かりますけど……」


 でも、いくらなんでも十分は長くないか? しかも、俺以外の二人は四つんばいって、明らかにこいつらの中の誰かがだよな? おいおい、霖と雪だったらシャレになんねぇぞ?


「ほな、番号のやつは前に出たってや」


 霞さんに命じられ、俺はその場に立ち上がって霞さんの下へ。と、ふと他の二人を見れば、それは瑠璃と麗魅だった。

 ……これはこれでマジかよ。よりにもよってお姫様二人を四つんばいにさせるとか、何考えてんの!? 本来王様に最も近いのはあの二人なのに。


「これでいい?」


 瑠璃が確認のためと霞さんに尋ねる。うう、こいつ素直にいう事聞いてやがる。

 一方、麗魅はというと、とてつもなく嫌なようでずっと無言の拒絶をしている。が、さずがに姉がやっているのを見てやらざるを得なくなったようだ。一応こんな姉でも尊敬はしているみたいだからな。だが、四つんばいになる寸前、俺をキッと鋭い視線で()めつけたのは何故だ!?

 そこだけがどうにも俺は理解し難かった。


「ほら、好きなようにしなさいよ! 好きなんでしょ、こういうの」


 突然麗魅が根も葉もない事をぬかすので、俺は慌てて弁明した。


「待て! いつからそんな趣味を持ってる事になってんだ、俺!!」


「は、違うの?」


 何だよ、その嘘だぁ~みたいな疑いの目は! しかも、四つんばいの姿勢でお尻をこちらに向けているせいか、少し劣情を煽られるんだけど。いかん、このままだとホントに俺がそっち系の人だと思われる! 霖や雪の手前、それだけは何としてでも控えないと、悪影響が!


「そもそも、根拠は何だよ!」


「あんたの部屋のクローゼットの、上から二段目の引き出しを開けて、重ねられている洋服の上から三つ目の隙間にある本に、あったわよ?」


 しまったぁ~!! 以前姉ちゃんに隠し場所がバレている事が判明したから、隠し場所を変えたのにッ!! もう見つかったのか!?


「ま、まさか……読んだのか?」


「えっ!? いや、その……スケベ」


 俺の問いにひどく驚愕の反応を見せた麗魅は、それから俯いて顔を真っ赤にすると、視線を逸らして小声でそう口にした。

おいおい、マジかよ。あれを読まれるとは……。


「いや、待ってくれ! お前は誤解してる!!」


「やっ、近づかないで! 正英みたいに、私を縛って明美が受けたのと同じ事をするつもりっ!?」


「おいやめろ!! さりげなく登場人物の名前口走るんじゃねぇ!! しかも、やっぱり読んでんじゃねぇか!!」


 ちゃっかり登場人物の名前まで覚えている麗魅に、俺はツッコんでいた。

にしても、顔をリンゴのように真っ赤にさせて怯えてる麗魅は、ホントいつもと雰囲気が違うよな。


「いや、あれは亮太郎ので俺のじゃないんだって!!」


「ホントかしら?」


「ああ!」


 ホントである。第一、俺はああいうのはそこまで趣味じゃない。あまりにも鬼畜過ぎると、俺的に女の子が可哀想に見えてしまうからな。


「じゃあ、あんたは……どういうのが、いいの?」


「え?」


 いやいやいやいやいやいやいや、その質問はアウトだろ!! ここで答えられるか!!


「コホン、ああ……ええか? そろそろ始めたいねんけど」


「あ、すみません」


 すっかり王様である霞さんを待たせていたと、俺は慌てて謝罪する。

 しかし、助かった。あの質問に答えたらさすがにマズイからな。



「麗魅、明美って誰?」


「そ、それは……」


「おい、麗魅! 瑠璃には教えちゃダメだッ!!」


 俺はいつになく声を張り上げて麗魅を止めた。


「な、なんでよ」


 少し怯んだ様子の麗魅が俺に理由を問う。

 そりゃそうだろ、瑠璃みたいな天然が知れば、それこそどんな事なのかを追求して実行しそうだからだ。そんな事をしてみろ、終わりだよ。


「とにかく、ダメだ!」


「ぶぅ~、なんか響史私だけのけ者にしてない?」


「してない、してないから!」


 頬を膨らませてぷりぷり怒り出す瑠璃を、俺は首を振りながら抑止した。


「霞さん、お待たせしました。はじめてください!」


 これ以上時間を引き延ばすのも他の面々の迷惑だろうと、俺は霞さんを急かした。


「せやな、ほな響史はこれに書いてある事を二人にしてもらおか?」


「は、はぁ……」


 霞さんに渡された紙を広げながら曖昧な返答をする。そして、文面を確認し理解して、俺はボッと顔面発火した。もちろん物理的意味ではない。


「ちょ、これって危なくないですか!?」


「ええって! ちゃんとうちが責任持ったるさかい!」


 手を招くようにしながら笑顔でいう霞さん。いやいや、大丈夫か?


「ホントですか? 下手したら俺、殺されますよ!?」


「そん時はそん時やで! あないべっぴんな美少女と調教(あそべる)んやで? 嬉しいやろ?」


 いや、ここで肯定したら俺、変態確定だよ! まぁ、亮太郎ならしそうだけど……。


「いえ、そんな事は」


「おもろないな~。まぁええ。やってる内に楽しゅうなってくるわ!」


 もしなったらヤベェよ。


「ほな、開始や」


 霞さんが柏を打ち、それが合図となって命令実行の時間になる。俺は覚悟を決めて紙に書かれてある内容を実行に移す事にした。


「え、ええと……や、やいお前達! お前達は奴隷の分際で主人であるこの俺――じゃなくて、私の所有物を壊しおったな?」


「え? ど、どれい?」


「や、やっぱり私は明美に……」


 瑠璃が意味が分からないという風な顔をし、麗魅が恐怖に戦き顔面蒼白となる。余程あの本の影響を受けてるな。


「悪い子であるお前達にはお仕置きが必要だな。さぁ、尻をこちらに向けて並べよ!」


「え、うん」


「『うん』じゃない! 『はい』だ!!」


 ここはアドリブだ。一応役になりきっておかないといけないだろうしな。


「は、はい! うぅ……響史、どうしちゃったの?」


「響史じゃない! ご主人様と呼べッ!!」


ぺちっ!


 そう言って俺は瑠璃の丸いお尻を手で叩いた。服の上からなのでそこまでの痛みはないだろうが、それでも少々痛いのか、瑠璃が「あうぅ」と呻いた。


「き、響史……何するの?」


「だからご主人様と呼べっての!!」


 いかん、早くもキャラ崩壊が……いや、この時点でキャラ崩壊か。


「ご、ご主人様なんでこんな事するの? 痛いよ」


「痛いのは当たり前だ、これはお仕置き……罰なのだ。罰に痛みは伴うもの。当然だ」


 あぁ、何で俺がこんな事を。あんまり女の子をいじめるのは趣味じゃないんだけどなぁ。


「お、お姉さま……大丈夫?」


「うん」


 姉の瑠璃を心配して妹の麗魅が不安そうに問うと、瑠璃は平気そうに笑みを浮かべた。どうやら、そこまで痛みはないみたいだな。よかったよかった。

 叩く側である俺としては、なるべく痛みの加減をしてやらないと、下手したら痣になりかねないし。


「ええと……次は麗魅、お前の番だ」


「きゃっ!? ……く、来るなら来なさいよ!」


 何か考え事でもしていたのか、麗魅は俺に名前を呼ばれて小さな悲鳴をあげた。それから普段の自分になって偉そうな発言をしてくる。


「おい、ご主人様に対してなんだその口の利き方は!! これはもう少し強めのお仕置きが必要のようだな!」


「え? な、何するつもり!?」


 俺の普段とは違う口調に、焦燥感に駆られ出す麗魅。


「ほら、お仕置きだ!」


ぺちん!


 口調は少しキツめだが、それでも力は加減してお尻を叩く。


「あうんっ!? い、いたぁ~……。もぅ、何すんのよ!」


「ほぅ、まだ口答えをするか……」


「うっ……ごめんなさい」


 お、素直になった。どうやらお尻を叩かれた事で、反抗すると痛い事をされると学んだのだろう。ん? いかん、ホントにこれだと調教してる事になんじゃん!


「分かったらこう言え!『申し訳ありませんご主人様! ダメダメな奴隷の私は、ご主人様に二度と逆らわないと誓います!』さぁ、復唱!!」


「そ、そんなの言えるワケないじゃない!」


 反抗したな? はぁ、叩かなきゃいかん。


べしんっ。


「ひゃあんっ!? いっつ~、さ、さっきよりも……痛い?」


 自身のお尻を撫でさすりながら、麗魅がきょとんとなる。


「当たり前だ、いいか? これ以上逆らえば、さらに強い痛みを伴うことになるぞ? どうする? 全てが終わる頃にはお前の可愛らしい桃尻が、リンゴの様に赤く色づくことになるぞ?」


「ひっ、そ、それだけは嫌っ!!」


 どうやらお尻が赤く腫れ上がるのが嫌なようだ。まぁ、誰でもそうだろう。それに、麗魅は胸だけじゃなくてお尻の事も気にしているみたいだしな。


「嫌なら復唱せよ!!」


「は、はい……。申し訳ありません、ご主人様……。ダメダメな、奴隷の私は……、ご主人様に二度と、逆らわないと……誓います」


べしんっ!


「きゃんっ!? い、痛い……何で? 私、ちゃんと言ったのに……」


 涙目になりながら麗魅が訳が分からないという顔をする。


「声が小さいんだよ!! もっと大きな声で、聞き取るに相違ない声量で復唱しろ!!」


「うぅ……分かったわよ」


「分かりました、だろうが!!」


ばしんっ!


「きゃあんっ!? うぅ、わ、分かりました……」


「よし、復唱せよ」


 やべぇ、俺完全に鬼畜だよ。てか、これ後々が怖いんだけど。


「申し訳ありませんご主人様! ダメダメな奴隷の私はご主人様に二度と逆らわないと誓いますっ!!」


「よぅし、いいだろう。よく出来たな」


「ひゃあんっ!? あっ、んっ……ちょっと、何してんのよ!」


「ん? ちゃんと復唱出来た褒美だ」


 そう言って俺は麗魅のお尻を優しく撫でてやった。が、それが麗魅にはどうにもこそばゆいようで、俺の手から逃れる様にお尻を振った。だが、それが余計に扇情的で、俺は変な汗を掻く羽目になった。


「ちょっと、あっ……ふぅ、んっ……! ……っはぁ、やめてよ。くすぐったい、ってぇ……ひぅん!」


 別段脇をくすぐっている訳でもないのに、くすぐったがっている麗魅。いかん、面白くなってきた。こいつはマズイ傾向だ。このままだと、俺のサディスティックな何かが目覚めてしまう。それさけは阻止せねば!!


「おっと、ここまでだ。瑠璃!」


「……」


 あれ、おかしいな返事がない。


「返事をしろ!」


「……」


「返事しろつってんだろ!?」


べしっ!


「きゃうんっ!? は、はい」


「何故返事をしなかった?」


 瑠璃に何かあったのかと思い、俺はそう尋ねた。


「だって、面白くないんだもん」


 そう言って頬を膨らませてふて腐れる瑠璃。ホント、リアクションが子供みたいだ。


「ほぅ、お仕置きに面白さを求めるとは、お前もなかなかのマゾっぷりだな」


 俺は冗談半分にそう言った。これで少しは怒るかな?


「まぞ? なにそれ?」


 ダメだこいつ、マゾの意味も知らないのか。純粋無垢というか、これは最早ただの順応無知だな。意味も知らず、ただ受け入れるみたいな感じ。多分、何を命令されても受けそうな気がする。


「瑠璃、お前はもう少しいろんな事を学んだ方がいいかもな」


「?」


 俺のアドバイス(?)に対し、瑠璃は不思議そうに小首を傾げるだけだった。


「さて、そんな無知のお前にもお仕置きだ。膝立ちになれ」


「う、うん」


 瑠璃は言われるがまま、これから俺が何をするのかも知らずに膝立ちになる。


「で、両手を頭の後ろで組め」


「こ、こう?」


 やり方が合っているか確認しながら瑠璃が問う。


「ああ、それでいい」


 腰に手を当て俺は頷く。


「な、何だか……恥ずかしい」


「ふっ、恥ずかしさなんて気にしていられなくなるさ」


「え、それってどういう――」


 瑠璃が俺にそう問おうとした刹那――俺は行動に出た。


「きゃははははははは!? ちょ、ちょっと響史何するの!? や、やめてそこは!」


 俺は瑠璃の脇腹をこれでもかというほどくすぐってやった。


「や、やめ……く、くすぐったいよぉ~きゃはははは!!」


 伊達に小さい頃から兄弟でくすぐり攻撃をやってないからな。そこそこ技術は優れてるつもりだ。どこをどのくらいの力加減、指の動きでくすぐるか。研究に研究を重ね、唯姉ちゃんと亮祐に連勝している。まぁ、さすがに最近はやってないけど。


「ほら、参ったか?」


「ははは、ま、参った! 参ったからぁ、ひゃははははは!」


 余程くすぐりに弱いのか、瑠璃は涙を流しながら笑い転げる。俺の攻撃からなんとかして逃れようと身をよじるが、なかなか逃れる事が出来ない。当たり前だ、そう簡単に逃してなるものか。第一、命令に書かれているんだ、仕方ない。でも、霞さんよく俺がくすぐりが上手いの知ってたな。それとも単なる偶然か? にしても、ホントこの命令長いな。しかも、これが後二人分あるんだろ? 問題は、次は俺がされる側ということ。二人の仕返しが怖くてならない。ま、まぁ霞さんに渡される紙の通りにやるだけだから、なんとかなると思うけど。その紙の内容が心配だ。どうか、死ぬような内容ではありませんようにッ!!

 そう思いながら俺は瑠璃の脇腹をくすぐり続けた。

と、その時だった。俺は誤って瑠璃の豊満すぎる胸を鷲掴みにしてしまった。というのも、瑠璃が俺の攻撃から逃れようと必死に身を捩ったのが原因だった。


「あ」


「い、いやぁあああああああああああああああ!!」


 俺が気づいた時にはもう遅かった。瑠璃は悲鳴をあげて俺から遠ざかると、両手で胸を庇うような体勢になって俺を見た。


「いや、あの……これはだな」


「……響史のえっち」


「うぐッ」


 何でだろう、悪い事をしたはずなのに、瑠璃の言い方が可愛くて思わずニヤけそうになる。

 そして――。


「は~い、十分経ったでー? ほな、次は六番以外が四つんばいになりや。紙はここに用意してあるさかい」


 そう言って霞さんが笑顔で命令してきた。

まだ、十分しか経ってないのか……。

そう思いつつ、俺は四つんばいになった。

というわけで、五部です。いやはや、命令内容がだんだんとドぎつくなってきました。しかも、これ最早軽いプレイですよね。さらに、お宝本の隠し場所が麗魅にバレるという事態に。今回の話は、執筆しながら自分でも笑ってました。

てなわけで、引き続き六部をお楽しみに。

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