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1日の休日と桜の花びら

祇梨蓮斗達は邪神との戦いの疲れを取るため1日の休日が与えられた。新島杏はここに来てからも国防軍の仕事が来ているらしく休む事なく事務作業をしていた。かという祇梨蓮斗はと言うと先日起きた邪神との戦いがあった戦闘跡地に来ており、凄惨な戦闘痕を眺めながら一人歩いていた。

蓮斗「どんなに善の心を持っていても、精神をすり減らす事が起きて壊れれば皆に恐れられる怪物に成り果てる、か...あの神が善神だった時に、会いたかった物ですね.....」

祇梨蓮斗はそんな事を呟きながら歩いていると近場にあった岩に腰掛ける。祇梨蓮斗が見る景色は邪神となった桜陽との戦いで地面が抉れ、木々が大量に倒れていた。正しく凄惨という言葉が合う風景だった。

蓮斗「最後のあの時、聞こえた声って...やっぱり桜陽さんのものだよな...彼女も、桜陽さんもきっと、狂いたくはなかったんだろうな...。」

祇梨蓮斗は戦闘が終わった時に聞こえた声を思い出しながらそんな事を考えながら感傷に浸る。すると背後から誰かが歩いてくる音が聞こえた。祇梨蓮斗がゆっくりとそちらに目を向けると滝壺間宮が何かを持って歩いてきていた。

蓮斗「滝壺さん...」

滝壺「やっぱり、ここに居たのか。一昨日の事を考えてたのか?」

蓮斗「...えぇ。たとえ堕ちた神であっても、彼女は月柳さんの大切な友人だった神です。どうしても、泣いている姿を見て、私の決断は正しかったのかって、思っちゃうんです。」

祇梨蓮斗の発言を滝壺間宮は煙草を吸いながら聞いている。その目はとても落ち着いていて、静かに戦闘跡地を眺めていた。

滝壺「...一昨日言ったけど、あいつは君に感謝してたよ。自分の親友を苦しみから解放してくれた君に、とても、感謝していたよ。」

蓮斗「それでも、悲しいなって.....」

祇梨蓮斗が拭いきれない罪悪感を抱きながらそう言うとその場を数秒程沈黙が支配した。その沈黙を破ったのは滝壺間宮だった。

滝壺「やっぱり君、優しいな。」

その一言だけだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

しんみりとした沈黙が終わりを告げ滝壺間宮が話し出した。

滝壺「蓮斗君、今の君は因子を6つ主有している。残りの因子は月柳の持つ生命の因子だけだ。」

蓮斗「言われてみれば、もう神々の試練も残りは月柳さんだけでしたね。試練の日程はどうしましょうか。本来の訓練もありますし...」

滝壺「いや、もうその必要は無い。」

蓮斗「えっ?」

祇梨蓮斗は滝壺間宮の発言に面食らう。予定ではあと1ヶ月以内に基礎訓練を終わらせた後、残りの3ヶ月で本修行を始める事になっていたからだ。

滝壺「俺がしようとしていたのは黒王戦鬼の怨念を闇魔法と完全に1つにしてコントロール出来る様にしようと思って立てた計画だったんだが...君もう根源魔法まである程度は扱えてたからもう修行はいらないんだよ。」

蓮斗「な、なるほど...?」

祇梨蓮斗は少し動揺してしまったが、滝壺間宮がそう言うならば、それで良いのだろと無理矢理自分を納得させた。

滝壺「さてと、話も終わった事だし...そろそろ出てこいよ、月柳。」

祇梨蓮斗は今後の流れを擦り合わせる話も終え、用が無くなった滝壺間宮は街に戻ると思った。が、いきなりその場に居ない筈の月柳の名を呼んだ。すると滝壺間宮の頭上の空間が歪み、穴が空いた。するとそこから少々目元が赤くなった月柳が姿が現れた。

蓮斗「つ、月柳さん?どうしたんですか?」

月柳「童...いや、祇梨蓮斗よ、桜陽を救ってくれた事、心より、礼をする。ありがとう...!」

そう言いながら月柳は深々と頭を下げた。その姿にはどことなく悲しみと、夜明けの様な清々しさを含んでいた。だが、頭を下げられた祇梨蓮斗は咄嗟に止めに入る。

蓮斗「頭をあげてください!私はお礼をされる様な事は何も...!桜陽さんを倒したのだって、自分の為に...!」

月柳「いや!言わせてくれ...!お主が奴を止めてくれた事、本当に感謝しておるのじゃ!だから、言わせてくれ...!」

祇梨蓮斗の言葉を聞いても月柳は下げた頭を上げようとしない。それを目にする祇梨蓮斗どうすれば良いのか分からず滝壺間宮の方へ目を向ける。すると滝壺間宮が口を開く。

滝壺「礼を受け入れてやってくれ、蓮斗君。月柳にとってあいつを暴走という地獄から解き放った君は、紛れもない恩人なんだ。」

滝壺間宮もそういい頭を下げた。祇梨蓮斗は混乱する頭で思考を巡らせる。そして

蓮斗「分かりました...!礼を受け入れます!」

月柳「そうか、ありがとう...!」

祇梨蓮斗の礼を受け入れると言う発言を聞いた時、そう再び感謝を口にしながら月柳は一筋の涙を流した.....

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

月柳が泣き止み話し始めた。

月柳「見苦しいところを見せて...すまんな蓮斗よ。」

蓮斗「いえ、全然見苦しくなんてないですよ。...あれ?今私の事なんて...?」

月柳「今から妾はお主の事を蓮斗と呼ぶ。異論はあるか?」

蓮斗「...いえ、ありません。」

月柳「そうか。では礼の品を渡さなくてはな。」

そう言い月柳は何かを取り出そうと懐に手を入れようとする。

蓮斗「え、ちょ!お礼って感謝の言葉だけじゃないんですか!?」

月柳「当たり前じゃ。礼をする者が相手に何も渡さんのはおかしいじゃろ。」

蓮斗「そ、そうですか?」

滝壺「ははっ、受け取っときな蓮斗君。月柳は1度決めると絶対に考えは曲げないよ。」

蓮斗「えぇー...」

祇梨蓮斗は滝壺間宮の対応の仕方を聞き半ば諦めた。月柳は自身の懐、おそらく胸部の上あたりに手を当て、そこから小さな光の玉を出した。それは因子だった。

蓮斗「え、それって...!」

月柳「あぁ、お主の想像通り、これは妾の所有する因子〝生命因子〟じゃ。ほれ、受け取れ。」

蓮斗「でも、私まだ月柳さんの試練を突破して...」

月柳「いいんじゃ。お主のお陰であやつは救われた。それに見合う品なぞ、今の妾にはこれしか無いのでな。」

そう言い月柳は祇梨蓮斗の体に手を当てる。すると、因子が玉から粒子に姿を変え祇梨蓮斗の体に宿る。つまり、正しく譲渡されたのだ。

滝壺「おめでとう、蓮斗君。これで君は晴れて、ここ妖人街での目的を果たしたわけだ。」

蓮斗「いきなり全部の目標を達成して、あんまり実感が湧きませんけど...嬉しいです。」

滝壺「まぁそうだよな。でもあと4日は稽古つけるから安心して。」

蓮斗「はいっ!」

そう言うと滝壺間宮と月柳柳は神社に戻って行った。祇梨蓮斗は二人を見送ったあと戦場跡地に手を合わせその場を後にしようとした。その時...

???「君が歩む運命に祝福がありますように...」

そう聞こえ祇梨蓮斗はすぐに振り向いた。しかし、そこには誰の姿も無かった。だが、1枚の桜の花びらが瞳に映った。

蓮斗「.......また、お参りに来ますね、桜陽さん。」

私はそっとその場に花を供え、神社に戻った。

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