↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/35

魔法の授業

滝壺「今日は魔法の訓練は休みにしようかな。」

祇梨蓮斗が訓練開始前のストレッチをしていると、滝壺間宮が社に来て一言目にそう言った。祇梨蓮斗と書類整理をしていた新島杏は突然の発言にどう反応すればいいのか分からず2人してその場で固まってしまう。

蓮斗「た、滝壺さん?どうして今日は休みなんですか?どこか具合でも悪いんですか?」

祇梨蓮斗は混乱する頭で滝壺間宮にそう質問する。すると滝壺間宮は数瞬置いてから大きく笑った。

滝壺「いやいや、俺は全然元気だよ。ただ今日は魔法について勉強してもらうだけさ。」

新島「勉強?」

滝壺「そう。魔法の階級や相性、種類なんかを覚えてもらうと思ってね。結構訓練とかにも役立つと思うよ。」

蓮斗「なるほど...分かりました。じゃあ、今から準備しますので、少し待って貰っても良いですかね?」

滝壺「OK。30分後位に始めるからそれまで準備して待ってて。あ、新島さんはどうする?」

新島「そうですね....私も受けてみたいです。」

滝壺「了解。じゃあ2人とも準備よろしく。」

2人「はい。」

祇梨蓮斗達がそう言うと滝壺間宮はいそいそと社に入っていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

30分が経ち部屋に滝壺間宮の他に月柳が一緒に来ていた。月柳も授業の手伝いなのかと思っていると滝壺間宮が喋りだした。

滝壺「えー、では魔法に関する授業を始めたいと思います。皆さん準備はできましたk、アダッ」

滝壺間宮が話し出した途端月柳が滝壺間宮の頭を思いっきりひっぱたいた。その音はまるで銃の発砲音のような破裂音、滝壺間宮は綺麗な姿勢で壁へとめり込んだ。祇梨蓮斗と新島杏は突然起きた事象に戸惑い、その場で固まる。困惑で固まっていると叩かれた衝撃で吹っ飛ばされていた滝壺間宮が壁から這い出してきた。

月柳「間宮よ、おぬし、何をふざけた事をしておる。なんじゃその喋り方と格好は。」

月柳がそう言いたい気持ちは分かる。現在の滝壺間宮の格好と言うと先程まで着ていなかった黒のワイシャツに白衣を纏い黒縁の伊達メガネを着けた風貌。喋り方は学校の教師のようだった。

滝壺「月柳は分かってないね。こういうのはまず形から入らないと。2人もそう思うでしょ?」

滝壺間宮からいきなりの祇梨蓮斗達に向けたキラーパスが飛んできた。なにか言おうとオロオロしていると滝壺間宮は再び月柳にひっぱたかれていた。

月柳「2人を困らせるんじゃないよ。2人とも済まないねぇ。こやつには妾からキツく言っておく。」

2人「ハ、ハハ。」

祇梨蓮斗たち二人は苦笑いする事しかが出来なかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

滝壺間宮はあの後部屋の外で正座させられた状態で10分ほど説教されていた。部屋に戻ってくるとどことなくしょぼくれている様にも見えた。

滝壺「えー、気を取り直してまずは魔法の種類から説明しようか。魔法には大きく分けて4種類の分類が存在しているんだ。蓮斗君、分かる?」

蓮斗「4種類ですか?そうですね、すみません分かりません。」

私がこう言うと月柳が付け加えるように説明を始めた。

月柳「間宮、お主は聞き方をもう少し考えたらどうじゃ。妾から分かりやすく説明しよう。まずこの四種類には自身、他者、増減、攻撃の大きく分けて4つがあるんじゃ。例えば強化系統魔法の身体強化。これは自身の力を増強させるという括りで一つ、自己完結型。2つ目に他者に環境的不利を押し付ける他者妨害型。3つ目は他者に攻撃するもので他者排除型。そして4つめが味方を支援する他者援護型の4つに分けられる。と言ってもこの4つに当てはまらんものも多くある。ここはしっかり覚えておけ。」

蓮斗「分かりました。」

滝壺「ありがとう月柳。じゃあここからは俺がするよ。」

月柳「ふざけるなよ?」

滝壺「はい。」

新島「(完全に手網を握られている。)」

滝壺「まず攻撃魔法はそのほとんどが3つ目の他者排除型に含まれる。しかし攻撃魔法の中にも相手を直接狙わずに環境そのものに干渉する物があるから気をつけて。例えるなら土系統上位魔法の奈落沼がいい例だね。これは相手を攻撃する魔法だけど相手には当たらず大地に巨大な沼を形成するんだ。これは排除型の中でも限りなく妨害型に近い魔法だね。」

新島「なるほど、そう言う分け方もあるんですね。国防軍の講習で使うのもアリかも。」

蓮斗「滝壺さん、四つ目の他者援護型と言うのは具体的にどう言った魔法を指すんでしょうか?」

滝壺「他者援護型は主に回復魔法や大型結界なんかを指す括りだね。他に質問は?」

月柳「特に無さそうじゃな。では次に行くぞ。次は魔法の階級についてじゃ。童、お主の知る魔法の階級を言ってみい。」

蓮斗「分かりました。下位、中位、上位、最上位、根源の5段階です。」

月柳「ふむ、概ね正解じゃ。」

蓮斗「え、概ね正解って、なにか抜けてるんですか?」

滝壺「そうだね、1つ抜けてるね。」

滝壺間宮はそう言いながら魔法を使いながら説明を始めた。

滝壺「まずこの1番小さい炎が下位魔法。そして次に小さいのが中位魔法。そしてこの3つの中で最も大きいのが上位魔法。ここまでは分かるかな?」

新島「はい。魔法は階級が上がるにつれ消費魔力が上がる一方、その分威力も上がります。この3つの場合だと上位魔法が1番魔力消費が激しく、その分威力も高い、という訳です。」

月柳「うむ、満点の回答じゃ。ではここに四つ目の炎を出すとしよう。間宮。」

滝壺「了解。」

そう言うと滝壺間宮はいきなり先程の3つより遥かに大きい炎を出した。それも赤色では無く青色の炎を。

蓮斗「ちょ、危ないですって!」

月柳「心配せずとも良い。燃えはせん。」

滝壺「この炎はいわゆる最上位魔法と言われるものを表しているんだ。この炎を見たら分かるように最上位魔法は上位魔法よりも桁違いに魔力を消費する。だがその恩恵は凄まじく、一撃放つだけでも上位魔法の数十倍から数百倍の威力になるし、上位魔法と比べて特殊性が増すんだよ。」

蓮斗「最低値が数十倍って、伸び幅が凄いですね。ちょっと感覚がおかしくなりそうです。しれに...特殊性?」

新島「アハハ、頑張って蓮斗くん。」

滝壺「最上位魔法の特殊性って言うのは蛇炎で例えるなら、自動追尾の事なんだ。それに加え、蛇炎は下位の魔法と比べ熱量が段違いに高くて通った道は赤熱化...つまり、生身でその赤熱エリアに足を踏み入れれば魔法効果とは別の環境型のダメージを受けるようになるんだ。」

蓮斗「地面が融解するほどの熱が突進して来るって考えると余計に厄介な魔法ですね。」

滝壺「とまあ、このように最上位魔法はこの特殊性から「2つの型の複合型」なんて呼ばれ方もするんだ。それが故、対処が難しいと言う事だ。じゃあ次が根源魔法だね。」

そう言うと滝壺さんは先程まであった4つの炎を消してしまった。祇梨蓮斗はてっきり5つ目の炎を出すと思っていたのだがそうではないらしい。

滝壺「根源魔法って言うのは簡単に言ってしまえば人が神に近づく事だね。」

新島「人が...?」

蓮斗「神に近づく...?」

滝壺「そう、根源魔法とは厳密に言えば人間が誰しもが持つ根源をその属性の神に近づけ制限を無くすというのが本質なんだ。そして根源魔法の利点は魔力が切れても発動は止まらず、自分の意思で発動と解除を選択できるという事。使用中はどの階級の魔法でも大幅に魔力消費を抑えて魔法を放つ事が出来るという事。これが根源魔法の利点だね。まあ例で見せるならこうだね。」

そう言うと滝壺間宮の腕が生身から炎の腕へと変化する。

蓮斗「腕が炎に...」

滝壺「こういった変化が根源魔法の特徴、従来の魔法では成し得ない肉体という壁を超える魔法だね。」

蓮斗「そんな利点があったんですね、知りませんでした。でも、それならなぜ使用者がここまで少ないんですか?やはり難しいからでしょうか?」

滝壺「理由は簡単。根源魔法ともなれば使用者に多大な負荷がかかるんだ。それに順応出来れば普通に生活できるけど、順応できなければその時点で死ぬ。いわば、諸刃の剣というやつだ。」

新島「今国防軍には各属性の根源魔法を扱う人は6名在籍してるんだ。根源魔法は本当に少数の人物しか扱えないからこんなに多く集まってるのはとっても珍しいんだよ。」

そう新島杏は得意げに言った。

蓮斗「その6名って誰なんですか?やっぱり、荒山総司令官もその1人なんですか?」

新島「残念ながら総司令官は根源魔法を使えないんだ。国防軍でもトップの実力を持ってる総司令官でも扱えない程から、真の才能の世界なんだよ。だから希少なんだよ。」

そう言いながら新島杏は苦笑いをした。それはさておき新島杏が再び話し出す。

新島「竹内団長が「土系統」、星見団長が「風系統」、天内団長が「氷系統」、西野団長が「火系統」、清水団長が「水系統」、小鳥遊副団長が「雷系統」だね。」

説明された全ての人物は国防軍の団長と副団長を務めるほどの優秀な人物達だった。祇梨蓮斗は錚々たる面々に驚きつつも納得していた。

蓮斗「なるほど、納得のいく人選ですね。私も、小鳥遊副団長にはボッコボコにされましたから、嫌という程その実力は分かってます。」

祇梨蓮斗はそう言い前回の手合わせを思い出しながら苦笑いをした。

蓮斗「私もいつか、根源魔法に至りたいものですね...」

祇梨蓮斗がそんな風に呟くと月柳が口を開く。

月柳「童よ...お主もう、根源魔法は使えるぞ。」

蓮斗「え?」

唐突に告げられた言葉に祇梨蓮斗は上手く反応出来なかった。今月柳はさも当然と言った様子で祇梨蓮斗が根源魔法を扱えると言ったのだ。

蓮斗「え、ちょ、本当にですか!?」

祇梨蓮斗が食い気味にそう聞くと滝壺間宮と月柳は首を縦に振った。

蓮斗「それって、どの属性か分かったりするんでしょうか!?」

月柳「あぁ、分かるぞ。知りたいか?」

蓮斗「是非、聞かせてください!」

祇梨蓮斗はそう言いながら月柳にひれ伏す。それ程までに喜ばしい事実だったようだ。だが、属性を聞くと同時に高鳴っていた胸は瞬時にして凍結する事になる。

月柳「いいじゃろう、お主が使える根源魔法は、闇じゃ。黒王戦鬼が闇系統の根源魔法の姿じゃ。」

蓮斗「えっ......」

祇梨蓮斗は再び固まった。今月柳の口から祇梨蓮斗が扱える根源魔法が黒王戦鬼と言われたからだ。

蓮斗「そ、それって、間違いとかでは無く...?」

月柳「あぁ、間違いない。

蓮斗「う、嘘だ....」

祇梨蓮斗はその場で両手を床につけ項垂れた。とてもだが、受け入れ難い言葉だったため、少々絶望した。

滝壺「あの、次進んでいい?」

蓮斗「はい、、、進んでください。」

新島「蓮斗くん、あんまり落ち込まないで。」

そう言いながら新島杏は優しく祇梨蓮斗の背中を慰める様にさすった。

滝壺「じゃあ最後の階級は極大魔法だ。」

2人「極大魔法?」

滝壺「あぁ、極大魔法っていうのは大きく分けて2つの条件をクリアしている者にのみ許された最上位魔法のその先の魔法だ。その条件を2人に答えてもらおう。じゃあ1つ目を新島さんに答えてもらおう。」

新島「はい、えーっと、根源魔法が使える人物である事でしょうか...?」

滝壺「正解だ。極大魔法って言うのは厳密に言えば複数の根源魔法に至った存在が悠久の時を鍛錬に費やした上で、ひと握りの者しか使える奥義みたいな物だ。その威力は最上位魔法とは比較にならないほど絶大で、簡単に言ってしまえば極大魔法を扱う者が1人でも現れれば幾つもの国が争奪戦を始めるくらいにはね。」

蓮斗「複数の国がですか...!?とんでもないですね。」

滝壺「じゃあ2つ目の条件を蓮斗君に答えてもらおうかな。」

蓮斗「分かりました。それじゃあ、保有魔力が多い事ですかね?」

滝壺「ぶっぶー。不正解だ。正解は世界を歪ませる程の揺るぎない信念を持つ、でした。」

新島「世界を歪ませる程の揺るぎない信念...ですか?それってどういう事何ですか?」

滝壺「まぁ簡単に言うならば.....世界の法則を無視出来る存在じゃなきゃ使えないって事。」

新島「つまり...世界を屈服させれる逸材だけが、使える物って事ですか?」

滝壺「そういう事だね。」

祇梨蓮斗は今の説明を聞いて唖然とした。正直言って、難易度が高いなんて物じゃない。正直言ってその条件をクリアできる者はこの世界に存在するかも怪しいと思った。

蓮斗「えっと、極大魔法を扱う存在って今何人いるんですか?正直今の説明で該当者がいるとは思えないんですけど....」

滝壺「今の所、該当者は20名以上はいるよ。」

蓮斗・新島「20名以上!?」

祇梨蓮斗はその言葉に耳を疑った。ただでさえ複数の根源魔法に至るのにも類稀な才能が必要なのにも関わらず、それに加え世界を歪ませる程の信念が無ければ使えないという鬼畜難易度。しかし、その条件を満たす存在が現在20名以上居るという言葉に祇梨蓮斗と新島杏は驚愕せざるを得なかった。

蓮斗「それって、誰なんですか!?」

滝壺「それはみんな知ってると思うよ。」

新島「みんな、ですか?」

滝壺「あぁ。極大魔法を扱える20名強はこう呼ばれてるんだ。大災害ってね。」

蓮斗「大災害...!確かに、冠位に災害と認定された存在であれば、可能ですね...!」

滝壺「この大災害達は1人で複数の国を滅ぼせるだけじゃなく、その全てが圧倒的強者。まずこの大災害が極大魔法を発動しよう物なら...人はおろか、国家は容易く壊滅するだろうね。」

新島「冠位に認められた存在なら国を消し飛ばしても、納得がいくね、蓮斗くん。」

蓮斗「そうですね...」

祇梨蓮斗と新島杏は少し疲弊していた。正直言って大災害がどれだけ化け物なのかこのタイミングで思い知るとは思ってもいなかった。しかし祇梨蓮斗は疑問が1つあったので滝壺間宮に質問をする。

蓮斗「なぜ極大魔法は、複数属性を高い水準で扱えなければならないんですか?」

滝壺「それはね、極大魔法が複数の属性を掛け合わせた複合魔法に近しい性質を持ってるだからだよ。」

新島「なるほど、だから複数属性の超技巧が必要なんですね。」

月柳「さて、今日の授業はここまでじゃ。数刻後、訓練を再開するがゆえ、準備を怠るな。」

蓮斗・新島「はい!」

こうして、唐突に始まった魔法の授業は幕を閉じたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。