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3 初めての……


「取り合えず、この世界の事を教えてやるか……」


 目の前の幽霊少女はそう言って語りだし……


「誰が幽霊だ!!」


 スパッーンと頭をはたかれた。


「神に聞いた話では、お前はこの世界とは少しずれた軸の世界から来たらしい。この世界とお前の居た世界とは基本的な所は似ているらしいが、この世界はお前の世界よりも、もっと厳しい。周りを見れば解る通り荒廃しており、自分の身は自分で守らねばならん」


「自分の身は自分で……」


「そのための私だ!!45ACPを打ち出す絶大なストッピングパワー!そして長きに渡って使われている信頼性!!お前のような餓鬼には勿体無いがな」


 銃といえば男の子のロマンだ。僕は詳しくは無いが、ハンドガンに限るなら銃の人に対する威力は銃口エネルギーではなく弾頭による影響の方が大きいのでは無いだろうか?そのくらいの知識はインターネットで見た事がある。 


「良いか?人間を見れば基本的には敵と思え。いつでも撃ち殺せる気概で居ろ。でなければこの世界では生きていけない。先ほど此処を通ったピックアップだが、間違い無く野盗か何かの集団だぞ」


「ええっ!?なんですかその世紀末な世界は……」


「それだけじゃない。この世界には人間以外にも危険な生物が腐るほど居る」


 嘘だろ……


 僕は事態の重大性を認識し始めていた。


「まずは生き残る為にも私の使い方を覚えろ。まずはマガジンキャッチのボタンがトリガーの近くにあるだろう?」


「私の使い方って。どういう意味です?」


 なんか、いやらしい。


「お前が見ているこの姿は言わば幻のようなものだ。私の実体はお前の腰に在る銃だ」


「幻……?」


「言わばその銃の精と言って良いな」


 僕は頭がおかしくなったのか?


「お前を送り出した神に頼まれた。お前の面倒を見ろとな。取り合えず今は私の言う事を聞け、もう一度言うぞ。マガジンキャッチのボタンがトリガーの近くにあるだろう?」


 取り合えず、目の前の少女。確かナインティーンとか言ったか。彼女の声に従うことにした。


「こ……これですか?」

 

 彼女の言う様にトリガーの近くにボタンがある。そしてボタンがあると押さずにはいられない。ぽちっとな。

ボタンを押すと勢い良くマガジンがグリップから滑り地面に落ちた。


「あっ」


「「あっ」じゃないわボケェ!!」


 スパーンと頭を叩かれる。


「何勝手に押してんだ!それにマガジンキャッチを押す時はマガジンの底に手を添えろ!傷ついたらどうするつもりだ!!」


「いやっ……、御免なさい。まさかこんなにスルッと落ちるとは思わなくて」


「さっさとマガジンを拾わんか!」


 地面に落ちたマガジンを拾おうとすると、僕は自分の身体に違和感を感じた。なんというか屈み辛い。

そして気付いた、僕、学ランの上になんかごっついベスト着てるよ。なんか軍隊とか特殊部隊が身に付けているような。

 

「何をしてる?早くしろ」


「うん」


 無理やり屈んでマガジンを拾うと、ずっしりとした重みを感じる。マガジンには黄銅色に輝く弾丸が詰められている。


 これ、やっぱり本物?

本物なんて見たこと無いと思う。だけどこれは、本物にしか見えない。


「マガジンには45ACPが七発入る。マガジンの横に穴が五つ開いてるだろう。その五つの穴から弾丸が全て見える状態でフル装弾されている。解るか?」


「はっ……はい」


 彼女の声は真剣で、僕は彼女の言うことに自然と従った。


「銃を手にしたらまずはマガジンを抜いて弾数を確認しろ。次はそのマガジンを左手の人差し指と中指ではさんで保持しろ」


「こうかな」


「そうだ。そしたら銃のグリップを握りながらスライドストップを親指で押し上げろ」


「スライドストップ?」 


「ここにある部品だ。前段発射されたときにスライドを後退位置で保持する機能がある」


「指で押しても動かないけど?」


「良いから押し上げるように押さえて置け。そしたらマガジンを持った左手でスライドを後ろまで後退させろ。スプリングは固いから気をつけろよ」


「こうかなって、何これ凄く固いよ」


 なかなか動かない。


「スライドの後ろのほうに滑り止めがあるだろう。そこに引っ掛けて腕全体を使ってスライドを後退させろ」


「よいっしょっと。あっスライドが後ろで止まった」


「スライドが後退してチャンバーが見えるだろう?そこの穴だ。エジェクションポートと呼ぶ排莢するための穴から見える場所だ。そこを覗き込め」


「うん」


 指示に従って覗くとグリップが空洞なのでそのまま地面が見える。


「銃の筒。バレルのほうを覗き込むんだ」


「筒?バレル?」


 僕は初めにやったように銃口を覗きこもうとした。


「違う!!エジェクションポートからバレルの尻を見るんだ。そこに銃弾が装填されているかどうかを確認するんだ。今度、銃口を覗き込んだら蹴りでは済まさんぞ」


「覗けって言ったから覗いたのに……何にも無いよ」


「ならスライドストップを元の位置に戻せ、スライドが勢い良く前進するから気をつけろよ」


 親指でスライドストップを押し下げるとガシャンとスライドが前進した。


「おお!なんかカッコ良い」


 ガシャンだって!銃って感じがする!!


「そしたらマガジンを戻して、起きているハンマーを親指で押さえながらトリガーを引いてゆっくりとハンマーを戻せ」


 先ほどスライドを後退させたせいで銃のハンマーが後ろに引かれた状態になっていた。ナインティーンの言う通りにすると……


「あれっ、なんか途中で戻らなくなったけど?」


 なんだか最初の状態と位置が違う。


「トリガーを途中で離したからだ。後で説明するがハーフコックの状態という」


「ハーフコック?」


「後で説明する。もう一度ハンマーを指で起こしてトリガーを引きながらハンマーを戻せ。そうだ。これで初めの状態に戻ったな。新しく銃を持ったら基本的には今の動作を行え。マガジンとチャンバーの状態を確認するのは一番初めに行うことだ。特にチャンバー内に銃弾があるかどうかは非常に重要だ。同時に銃の機構がきちんと動作するか確認できるしな」


「へぇ」


「そ・れ・と!!弾丸が装填されていようと無かろうと、殺す気でなければ絶対に銃口を人に向けるな。当然だが自分に対してもだ。銃口の位置は弾が装填されているつもりで常に気をつけろ。もし銃口を不用意に向けて暴発したり、相手に誤解を与えて撃ち殺されたくは無いだろう?銃口を向けるということは刃物を突きつけるよりも危険だと認識しろ」


「は……はい」


 なんだか彼女の吐くその言葉の力強さに圧倒される。相手は小学生みたいななりなのに……


「次は射撃だな、実際に撃ってみるか。お前、玩具で良いから銃を撃ったことはあるか?」


「ううん……記憶があいまいだけど、あると思う。うん。コッキング式のエアガンを撃った事があるよ!」


「そうか、なら早い。基本的には一緒だからな。違うのは殺傷能力の有無くらいだ。さっきの動作で私の大まかな構造も解っただろうし」


「エアガンと実銃は違うでしょう!?」


 何を言ってるんですか、この少女は?さっきはあんなに慎重だったのに!

エアガンと実銃が一緒とか!


「はぁ、はぁ……良いぞ!!実弾を発射するのは!気持ち良いぞ!!」


 なんだか息が荒いよ~~この女の子、恐いよ~~。


「ふぅ……少し興奮したようだ。因みに実銃はエアガンよりも的に当てるのは簡単だ。照準を合わせて撃てば狙った所に弾は飛んでいく。特に私はバレルもフレームもきっちきちだからな。凄い締りだぞ」 


 本当に何を言ってるんだ?


「でも本当にエアガンより的に当てるの簡単なの?反動とかさ、凄いんじゃないの?」


「私のキックはそれほど強くない。それにショートリコイルがあるから反動は弾丸が発射された後で生じる。だから照準が合ってれば当たるさ」


「キック?」


「反動のことだよ。さあ銃口の位置に気を付けて、トリガーには指を掛けない。その状態で慎重にスライドを最後まで引いたら一気にスライドを離す!」


 僕は緊張しながらも、言われるままにスライドを引いて離すと、先ほどと同様にスライドが勢い良く前進した。


「今ので、マガジンの一番上の弾丸がチャンバーに装填された」


「はい」


「ふふっ、緊張しているな。良いかハンマーを起こしたらトリガーに指を掛けないうちは必ずセイフティーレバーを上げろ」


「ええっと、セイフティーレバーってこれ?」


 スライドを上から見て左側、ハンマーの直ぐ近くにソレっぽいものがある。押し上げるとスライドに引っかかるような位置に移動した。


「そうだ。その状態だとトリガーを引いてもハンマーは落ちない。ちょっとトリガーを引いてみろ」


「うん。あっ、ほんとだ。トリガーが動かないや」


「因みにグリップの後ろにプヨプヨ押せる場所があるだろ?」


「うん。何これ?握りやすくするための部品?」


「違う。そこもセイフティーだ。そこが握られていないと同様にトリガーを引いてもハンマーは落ちない」


「へぇ。いろいろあるんだね」


「因みにそこは私の“おっぱい”にあたる所だ。プニプニだろう?」


 …………  


「おい、何か言えよ。冗談に決まってるだろFNG?“おっぱい”じゃなくて“まんこ”って言った方が受けたか?」


 ……駄目だこの子。


「エフエヌジー?何それ」


「お前が童貞を卒業したら、その意味を教えてやるよ」


 本当に口が悪いな。きっとどうせ碌な事じゃ無いんだろう?その“エフエヌジー”ってのもさ。


「なんだ。その顔は!とっ……とにかくセイフティーを解除して、そうだな……あそこのブロックを撃ってみろ。距離は十五ヤードほどか」


 十五ヤード?間隔としてはバスケットのハーフコートくらいの距離だ。

結構遠いけど、ブロックのサイズはボックスティッシュほどはある。エアガンでも十メートル離れた一円玉に命中させられることから言えば、十分に狙える距離だ。ただし、本物の銃が、ナインティーンの言うようにエアガンよりも簡単に狙えるのならばだが……


「フロントサイトとリアサイトをしっかり合わせろ。グリップは両手でしっかり持って、脇を締めろ。身体は正面を向けてリラックス~リラックス~。膝は軽く曲げる感じで、そうだ。後はそのままトリガーを引けば良い」


「トリガーは引き絞るように引くんじゃないの?」


 良くそんな風に聞くけど?


「お前は拳銃で狙撃するつもりか?拳銃を撃つ度にそんな事していたらこっちが相手を撃ち殺す前に、敵に撃ち殺されるぞ?最終的にはサイトも使わずに撃てるようにして貰うからな」


「サイトを使わずに?」


「取り合えず撃って見ろ?玩具の鉄砲で当てられるのなら間違いなく当てられる!」


 その声に、僕はトリガーを引いた。乾いた破裂音と共にブロックが砕ける。

心地良い衝撃が腕に伝わり、火薬の匂いがする。


「これは……」


「どうだ?気持ち良いだろう?」


「……気持ち良い」


 癖になる感覚だ。


 その時だった、カラカラと小石が崩れる音と共にたった今射撃したブロックの右側の塀から人影が現れた。


「なんだあれ?」


 その人影はボロボロの姿で、露出した肌は血の気の無い薄緑色で腐っているように見えた。まるでゲームかスプラッタ映画に出てくるゾンビだ。


「ちっ、グールか……少々、お前と騒ぎすぎたようだな。だが、人間の頭を吹き飛ばす予行演習には丁度良い。くるぞ!!距離を取りつつ頭を吹き飛ばしてやれ!!」


「えええ!?」


 うろたえる僕に構わず、目の前の怪物は唸り声を上げながら向かって来たのだった。



実銃はアサルトカービンとオートローディングピストルとボルトアクションライフルを撃った事があります。

オートローディングピストル(ガバメントタイプ)の分解清掃を実銃で習いました。


銃が身近な国は日本人にとっては、恐ろしい。



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