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2 冒険の始まり


『おいっ!おいっ!!起きやがれ、このチンカス童貞野郎!!』


 耳元でなにやら品の無い罵声が聞こえる。

女の子の声だ。


『死にたくなかったら起きやがれ!!』


 甲高い耳障りな叫び声に僕は目を覚ました。


「うう~頭がガンガンする。んん~、なんだ此処は?」


 周囲はコンクリートがむき出しの崩れたビル群とひび割れた道路、そしてむき出しの大地が合った。そしてまばらだが緑がある。


 目の前には黒髪のツインテールの少女が僕に向かって今も叫んでいる。

その顔は大きな瞳と長い睫毛、すっと通った鼻筋、見たことも無いような美少女だ。そしてゴシックロリータ風の白いドレスを着ている。だが彼女の口から出てくる言葉は非常に下品だった。


『やっと置きやがったか、このマスカキ野郎が!起きたならさっさと、その瓦礫の影に隠れやがれ!!』


 そう言って僕のお尻を蹴っ飛ばし、崩れたコンクリート壁の影に僕を追いやった。


「なんだよ君、いきなり!」


 この子、僕より年下だろう。いきなり罵声を吐いたかと思ったらお尻を蹴っ飛ばすなんて失礼だな。 


『黙れ!死にたくなかったらな!来たぞ!!』


 なにやら物騒な言葉を吐くので、彼女に従い身を伏せると遠くから何かのエンジン音が聞こえてきた。

そしてその音はどんどん近付いて来て、僕はその音の正体を知った。

それはライフルを持った男たちが荷台に乗ったピックアップトラックだった。


 なんだアレは、僕はいつの間にソマリアにやって来たんだ?それともサバゲーが趣味の人達だろうか?サバゲーのアウトドアフィールドにでも迷い込んだのか?


『ふぅ、もう行ったな。おい、お前。もし、あいつ等に見つかってたら今頃、そのバブルヘッドが7.62弾で真っ赤なザクロみたいになってた所だぜ!』


 やれやれと行って彼女は首をすぼめる。


「真っ赤なザクロってどういう事だよ。それに君は一体誰だ?それに……此処は?」


『おいおい、アタイの事を神様に聞かなかったのかよ?お前は異世界から此処に飛ばされたって訊いたぜ?』


「異世界?ここが?」


 そう言えば……僕は思い出した。この奇妙な場所で起きる前の事を、あの白い世界を。


「何言ってるんだ。異世界なんてあるわけ無いだろ。それに異世界にトラックやアサルトライフルが在るなんておかしい。さっきのあれAK47だろ?」


『チッチッチッ。ありゃあ中共から流れてきた56式だ。AKなんてレアをチンピラが持ってるわけ無いだろ?』


「何がチッチッチッ、だよ!鉄砲の詳しい話は良い!どっちにしろ銃がある時点で異世界とかいうファンタジーなおめでたい設定には無理があるだろう。ここは一体何処なんだ?」


『これだけ言ってもまだ信じないのか?困った餓鬼だぜ。ちょっと俺の胸に触ってみな。そうすりゃあ少しは状況を認識できるかもな』


「何を言ってるんだ。そんなこと……出切るわけ無いじゃないか!」


 いくら相手が子供だからって、僕はもう14歳だし、ロリコンに厳しいこの昨今、しかも相手はこんな美少女だ。へんな噂が近所で立ったら困る。


『近所?じゃあその近所を思い出してみな。何にも覚えていないくせにさ』


「!?」


 どうして考えてる事を……!?そして僕の驚きはそれだけじゃ無かった。彼女の言う通り自分の事を思い出せない。


 それは夢で見た白い空間で説明された通りだった事も思い出した。


「嘘だろ……」


 自分に起こっている異常に僕は気付き始めた。


『ったく、世話の焼ける餓鬼だぜ』


 目の前の少女は僕の手を取り彼女の胸に導いた。


「うわあああ!」


 どうなってる!?


 僕の手は彼女の胸を突き抜けて彼女の背中から飛び出していた。

手が肉体を貫通したというより実体の無い幻を突き抜けたという感じだ。手になんの感触も無い。


 おっ……お化けか!?


『さっきお前を蹴ったのも、今、お前の手を取ったのも、アタイがお前の精神に干渉して行ったんだ。アタイの実体は、お前の腰にあるソレだからな』


 そう言って少女が指差したのはいつの間にやら僕の腰のベルトに取り付けられたホルスターに収められた拳銃だった。


『アタイの名前はナインティーン。ナインティーン・イレブンだ』


「ナインティーン・イレブン?」


『そうだ。その銃をホルスターから抜いてみな。おっと、まだトリガーには指を掛けるなよ』


 彼女の言うままにホルスターの留め具を外し、その黒い鉄の塊を抜いた。

ずっしりとした重さが手の平にかかる。


「これっ、金属で出来てるじゃないか!もしかして本物!?」


『ああん!?なんだその言い草は、まるでアタイが偽者みたいじゃないか!!』


「これっ、銃口がBB弾のサイズじゃない!!モデルガンみたいに塞がっても無い!!」


『おい!!危ないだろ銃口を覗くな!!』


 そう言って再び僕のお尻を蹴っ飛ばした。


『ったく!!銃の基本的な扱いも知らないのかよ?』


 どうなってるの?


 失われた記憶、突如飛ばされた廃墟の町、目の前の幽霊、そして手の中にある実銃?


 僕は本当に一体どうしてしまったんだ?此処は本当に異世界なのか? 


M1911モデルの彼女は、何処のメーカー製かは不明です。

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