19 極貧な生活
「うぅ~~ん!よく眠れた!」
久しぶりに良く寝たような気がする。身体が水浴びでさっぱりしたし、何よりお腹が美味しい料理でいっぱいになったのが大きいと思う。
豚肉には疲労回復に重要な役割を持つビタミンB1が豊富に含まれている!それに良質なたんぱく質に鉄分も!
なんてね……
『んん……お早う。ユキ』
黒髪の少女は、目をこすりながら朝の挨拶をした。
「お早う。ナインティーン。今日はどうする?取り敢えず魔石の換金と弾薬の補充かなぁ」
『そうだな。射撃訓練用の弾丸も無いし……』
「魔石、幾らくらいになるかな。大きさはグールやゾンビの三倍くらいあるんだけど……体積は4/3πr^3だから九倍くらいの価値があると良いな!」
お金が、お金が欲しい!!
買いたい物はたくさんある。歯ブラシや石鹸、解体用の鉈、ブービートラップを設置するのに使うスコップ、バイクに荷物を積むためのキャリアー。
スコップを何に使うかと言えば、穴や溝を掘って、そこに手榴弾を仕掛ければ殺傷範囲をコントロールできるので、バイクの直ぐ傍や自分の近くにトラップを設置できるようになる。それ以外にも野営をするときポンチョで屋根を作るだけだと床がビチョビチョに成るので寝床の周囲に溝を掘る必要があるのだ。まあ今は寝床については、廃墟を利用しているから良いけど……
町に行って早速、魔石をエルフのレイラさんのお店で換金した。換金額は百五十ドルになった。その後、【田中銃砲店田中】で7.62×39mmFMJ二百四十発を七十ドルで、.45ACPFMJ二百五十発を八十六ドルで購入した。
「SKS用に色々とアクセサリーを仕入れてるんだけど買っていかねえか?」
弾丸を購入する際に、正造さんが声を掛けてきた。
「アクセサリー?」
「おうよ。SKSはM4程じゃねえがアクセサリーがAKシリーズと並んで豊富なんだぜ。追加のマズルブレーキ、強化プラスチック製直銃床の伸縮式ストック、バイポッドに注文すればプルバップ改造キットもあるぜ」
「いえ、今お金無いんで……」
「そうなのか?じゃあそのガバメントモデル用に.45ACPのAP弾とかはどうだ?スチールコアのハイベロシティー弾を揃えてるぜ。値は張るけどよ」
紹介された弾丸の値段は、三倍近い価格だ。
『買えねぇ……』
結局、買い物は弾丸だけになった。残りのお金で僕はナイフや剣を扱っている店に向かった。鉈を買うためだ。雑貨屋にもあったような気がするが刀剣類を扱っているお店に興味があったので寄ることにしたのだ。
「なんだか、他の種族の人が多いね」
お店の中は、エルフや狼男、猫顔の人、犬と人の中間の様な人など、俗に言う亜人が多かった。
『人間は刃物を武器としてあまり使わないからな。亜人より身体能力で劣る場合が多いし……だけど一番の理由はこうだろうな。人間は魔術を使いこなせないから銃を選ぶだろ?そうすると、その時点で剣や刀を武器として選択し無くなるからな』
「そうかもしれないね」
魔術が使えない→銃で対抗→剣なんていらない。という流れだ。
『だけど、ファントム系の魔物の場合は魔術が便利なんだけどな。お前、火をいつもマナグッズで着けてるだろ?』
「うん」
『一番初めと比べて、扱える炎の火力が上がって来てないか?』
「そういえば……、結構楽に薪の火を起こせる様になったかも」
『だろ?慣れて来たのさ。まあそのアイテムじゃ今より少し炎が大きくなる所で終わりだろうけどな。金がありゃ、強力なマナグッズを身に着ける事も出来る。そうすりゃ戦術の幅も増えるぜ』
「へぇ……。まあ取り敢えず今は鉈を買うので精一杯だけどね」
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「お買い上げ、ありがとうございましたー」
四十ドルの鉈を購入して僕等は店を出た。お店には立派な剣や刀があったけど、かな~り安い鉈を購入した。そして残った四ドルを持って雑貨屋に向かい、歯ブラシと歯磨き粉、タオルと石鹸を購入し、また一文無しになった。重曹の粉は臭い消しに使えても、石鹸の代わりとしては正直粉なので使いにくい。
買い物の後はまた実弾を使った射撃訓練だ。だけども銃弾の数が少ないので節約するために僕の身体をナインティーンと交互に使い、動く目標に対する射撃の感覚を掴むことにした。ターゲットはそこらに落ちている石だ。それを拾って空に投げそいつを撃つ。その訓練で弾丸を百発消費した。
『午後は、また町の西側に行こう。昨日川に浸けた肉を出来るだけ回収するんだ』
「そうだね。それにまたオークとかを見つけられるかもしれないし」
『…………』
僕達はバイクでオークの肉を浸けた川に向かい、ビニール紐を使ってバイクに肉をくくりつけ町に運んで売るという作業を行った。
一度では運びきれなかったので途中ガソリンを補給し(十二ドル消費)、もう一度川に向かうことになった時だった。
「あれって、オークじゃないかな?」
スコープで覗くとやっぱりオークだった。場所は昨日オークを狩った場所だ。ナインティーンからはオークの死体にモンスターが群がっている可能性があるので距離をとるように言われていたのでそうしていたけど、気になっていたので注意だけはしていたのだった。
『何匹居る?』
「今度は7匹くらいかな」
『そうか……今は止めておこう』
なぜかナインティーンは狩るつもりが無いようだった。
「どうしてなのさ?昨日はやる気満々だったのに、お金だってあんまり無いだろう?」
『昨日の狩で、四匹のオーク相手に最後五メートルまで近づかれた。もし五匹目が居たらどうなってたと思う?』
「それは……」
『勿論、お前自身の力でその五匹目も排除できた可能性はある。それに万が一のときはアタイがユキの身体を使って戦っていただろう。けどその行為は本当に万が一の時の為に残しておきたいんだ。訓練のときは殆ど動く必要も無いし、インターバルが入るから問題ないけど町から離れたいつ襲われるか解らない状況ではそうもいかない』
「…………」
『オークの群れが四匹以上のときは狩を当分は控えるつもりだ。その代わり鹿やウサギ、鳥なんかで狙撃の腕を磨こうぜ』
「解ったよ……」
僕が落ち着いて、狙撃出来なかったからナインティーンは心配して狩を控えるんだ……
『…………、ナニしょぼくれてやがんだ!!アタイはうじうじしている奴はだいっ嫌いだ!!金玉付いてんだろ、もっとどうどうとしろ!!昨日の狩、そんなには悪くなかったと思ってんだからさ』
「うん。……狙撃の方、直ぐに上達して見せるよ」
僕等にはお金が無い。モンスターを狩らないと言うことは、肉を売るしか無いことになる。それだと大きな稼ぎにはならない。それでも彼女がそれを選択したという意味を良く考えないいけない。
僕達はオーク達からそっと離れ、肉を積む為に川に向かった。そして肉運びを三回繰り返して、午前中になんとか全ての肉を売り払い、百ドルを手に入れることが出来た。
昼食はまたバーベキューを行い、昼一で町内の北にある車やバイクを扱っている一角に向かい、バイクにキャリアーを着けてもらう事にした。キャリアーを着けるのは狩った動物の肉を運ぶための物だ。
「このバイクにキャリアーねぇ。まあ良いけどよ、市販のリアとフロントキャリアーで百ドル貰うぜ」
こうして稼いだ百ドルが一瞬で消えてしまった。キャリアーの設置は直ぐに済んだので午後は町の西に向かって動物を探すことにする。
「世知辛いねぇ」
『全くだぜ』
結局その日、夕暮れまでに獲れたのは、鳥が二羽だけで売るための肉にもならないので町には戻らず廃墟を探して野営することになった。
鳥は羽を毟り翼を切り取った後に腹を裂いて、内臓をつぶさないように取り出してから廃墟に持ち帰った。足の肉と胸肉も塩を振って焼き食べる。元々の鳥の大きさからすると食べれる量は極僅かだった。
『やっぱり鹿とかじゃないと稼ぎにはならんな』
「そうみたいだね。でもここ数日お肉を食べられて僕は幸せだよ」
そう思うことにした。
いつものように食後、銃とナイフを素早く構える訓練と、そしてSKSのマガジンチェンジにまごついた反省から、マガジンチェンジの訓練、そして最近お肉を食べれるようになったのでナインティーンから筋力も鍛えるように腕立て、腹筋を各百回ずつ日課としてするように言われた。
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次の日も午前中は鹿を求めて町の西、つまり十一区と東十二区の間を見て回ったけれど鹿を見つけることは出来なかった。しかしオークの群れは見かける。
『オークは雑食でたくさんの子供を生むし、成長も早いからな狩にはちょうど良いんだけどよ』
「狩れる様に頑張るさ」
『そうだな』
午前中の獲物は、鳥が一羽とリスが一匹だった。リスは意外と大きく、お腹からお尻までナイフで裂いて、腸を抜いて血抜きをした後、四肢をカットしてお腹から皮を剥いて丸裸にして焼いて食べる。味は鶏肉と大差なかった。
午後は町の西での狩りをあきらめ、以前も狩りをしたゾンビのスポットに向かった。運良くゾンビが四匹居たのでこれを二百メートルほどの距離で狙撃を行った。
僕はナインティーンに狙撃を失敗する所を見せたくなかったのでかなり集中して狙撃を行い、見事ヘッドショットを決め、彼等を刈取った。
得られた魔石は四つ、そして二十ドルを入手できた。魔石は売り払い三十ドルと換金した。
目標:魔石納品500 残り265
魔石:1
腕輪:1
腕時計:1
指輪:0
携帯濾過器:1
予備フィルタ:3
H2Oペットボトル2L:3
携帯食料:7
鍋:1
フライパン:1
布テープ:1
ダガー:1
コンバットナイフ:1
F1対人手榴弾:3
.45acp:223
10rdsmag:2
15rdsmag:1
SKS スコープ搭載
予備マガジン:2
7.62×39mm:290
バイク125ccキャリアー搭載済み
水筒:1
鉈:1
フラッシュライト:1
単二電池:6
US$:56
円:10K




