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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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第70節 砦拡張工事始まる その2

お久しぶりです。


身体の調子がどんどん悪くなって、机に座れなくて、

更にスランプになってました。なんだか頭も痛くて、ここんとこ

寝てばかりです。

「でさ、なんで使徒様になっているわけ?誰の許可をとったのよ?」

ちょっとまって。なんでアーデルハイトの許可がいるの?あれ、クリスタが首を縦に振っている・・・あ、なんかアウェイ感がすごくある・・・僕の部屋なのに。


 僕は、明星亭の裏庭にできた、僕の部屋にいたんだけど、なんか、急に二人が押しかけてきて、文句というか、絡んでくるんだけど・・・仕方ない、とりま、説明しておこうっと。


「アーデルハイトが、砦の牢屋に居た日じゃないかな・・・僕がたまたま歌った歌のせいで、皆がまるでゲルマン人の使徒のようだって言いだしてね・・・」


「そんなことを聴いてるんじゃないの・・・とにかく、むかつくのよ・・・」


そ、そんな、理不尽だよ・・・クリスタが、助け船を出そうと、なにか口をもぐもぐしているけど、チャンスがないようだ・・・


「え?どうしたの?アーデルハイト。何に怒っているの?」

「決まってるでしょう、悪者君によ、いや変態君によ」

「えええええ?どうしてよ?」

「そんなこと言えるわけないでしょう?自分の胸に訊いてごらんなさいよ」


クリスタが、はっとわかったって感じで、まずいよこれって顔をした。


「とにかく、さっきも言ったけど、自分の胸に訊くことね・・・私は怒っているんだからね・・・結婚できなくなったら、責任とってもらうから」


そういって、アーデルハイトは部屋から出て行った。


クリスタは、僕をじっとみて、言った。

「使徒様、ヒントは牢屋から出したものです」


ドアが急に開いて、アーデルハイトが叫んだ。

「クリスタ、行くわよ」

「は、はい」

クリスタはすこし飛びあがって気を付けをした。そして人形のように歩いて出ていった。左手と左足が同時に前にでている。


バタンと扉が閉まって、出遅れた猫たちも戸惑いながら、ドアの下についている、四角い猫用ドアをくぐってでていった。なんだか、僕の子猫ちゃんも出て行った。


あとで、クリスタが隣の部屋から自分の家に帰るときに、隣のアーデルハイトの部屋からこっそりと僕の部屋を訪れた。隣同志なので、結構音が聴こえてしまうようで音を立てないように慎重にだ。音もなくドアをあけるとすぐに、僕に近寄って、小声で耳打ちをしてくれた。


「なんか、砦の兵士さんの間で、噂があるの・・・女の子としては致命的なの・・・アーデルハイトさんって、実はお姫様だって聴いたでしょう?それでね、ベルタさんが、あの日、使徒様の手伝いで、なにか運んだでしょう? それでね・・・なんとか姫って言われているみたい・・・これって結婚できなくなりそうでしょう・・・」

あれ、あ、あの日、地下牢から樽を運んだけど、それか・・・凄い量だったので、使徒様の魔法でないと運びだせなかったということで、手伝ったんだけど・・・アーデルハイトは、女子としてプライドがズタズタになっちゃったわけね。


確かに、結婚には不利だよね。ていうか、お姫様って知らないのだけど・・・どういうことなの? あれ、責任とれって・・・どういう意味かな・・・え?結婚しろってこと?嫌だよ、人生真っ暗じゃん・・・ずっとこんな感じで支配されるんだよ・・・奴隷だよ。


とりあえず、クリスタの提案で、次の日の朝から砦に調査にいくことにした。人生がかかっているからね・・・クリスタも一緒だ。まずはベルタさんのところにいってみた。


地下牢へトントンと下りていくと、ベルタさんは机の前に座って書き物をしていた。階段を下りていく音に気づいて、こっちをニコニコ笑って見てる。

「どうしたの?珍しいじゃない。しかもクリスタも一緒なんだ」

「おはようございます。ベルタさん」

「おはよう。そんな思いつめた顔しちゃって。6歳の子供が人生を考えちゃだめよ・・・」

「いや・・・本当なら考えたくもないです。でも、アーデルハイトが責任をとれって迫ってくるんです・・・」

「え?あなたたち、もしかして・・・そんな、そんなことはないよね?」

クリスタはベルタさんの言わんとしていることを察したようで、即座に否定した。

「ベルタさん、さすがにそれはないですよ。使徒様は純真無垢ですから」

「え?あ?そうよね・・・ごめん・・・焦っちゃったわよ」


僕は二人の会話が分からなくて、困った。口ごもっていると、クリスタが代わりに訊いてくれた。すごいなぁ、クリスタ。助かるよ」


「ベルタさん、アーデルハイトは、なんか噂を聴いたらしいんです。牢屋から、アーデルハイトの桶が持ちだせなくて、使徒様の魔法をつかうぐらいだって」

「ああ、聴いたわよ。否定しておいたけど・・・噂は怖いわね。すごい大きさの桶だったとか男が喜ぶような法螺話になっていたわ」

「え?どんな大きさの桶なんですか?」僕は思わず突っ込んだ。樽の大きさは知っているからね。なにしろ浮遊を掛けたのは僕なんだから。

「よくは知らないけど、処理屋のヨハネに確認してみて。彼が捨ててくれたから、噂の出所は彼の周辺ね。彼自身は否定してたけど・・・だって、姫様の悪い噂とか流したら、斬首でしょ?結構焦ってわよ」

「姫様って、どういうことなんですか?」僕は昨日から気になっていることを聴いてみた。

「アーデルハイトは、ブルグンド王女だったのよ。正当な王位の継承者なの。しかもイタリア王も兼ねているのよ・・・だから、もしかしたら、城塞都市にいくことになるかもね」

「・・・」僕は何もいえなかった。なんだか知らないうちに大変なことになっていたんだ。その、斬首って?怖いな・・・どうして僕の周囲には予想できないようなことが起きるんだろう。兎も角、ヨハネさんのところに行こう。


処理屋ヨハネは、砦や鉱山街の塵芥処理屋さんだ。砦のトイレとかは、上から下の溜めているところに落とされてくるのだけど、それをくみ取るのも仕事だ。勿論厨房から出る残飯なども集めてくれる。鉱山街でも同様だ。で、それを豚を飼っている人に分配したり、あと、壊れた壺だとか、いろんなものを集めて処理してくれるから、処理屋と言われているんだ。ベルタさんが、言ってたけど、斬首刑をした死体もヨハネさんが処理してくれるから、いなくなったら困るって・・・平気で人の首を刎ねるくせに、処理は嫌だとかおかしいよね・・・ぶつぶつ・・・ベルタさんには言えないけどね。


僕らは、このまえ、例の桶が置かれているところにいってみた。


あ、すごい大きな桶が荷車に置かれている・・・その横にこの前使った小さな桶が並べられている。綺麗に洗ってあるよ。大変な仕事だね・・・いや、今はこれを調べないとな・・・


クリスタが僕に訊いた。

「使徒様が、牢屋から出したと言われているのは、もしかして、この桶でしょうか・・・」

「いや、僕が浮遊を掛けたのは、こっちの小さな桶だよ」


「ですよね・・・でも、ここに、こうして置いてあると、誤解しますよね」

「いや、誤解もなにも・・・こんなに○○○しないでしょ・・・」


砦の裏口が開いて、ヨハネさんらしき人が出てきた。ヨハネさんは僕が誰だか知っているようで、目礼をして過ぎ去ろうとした。確信はなかったけど、後姿に、呼びかけてみた。


「あの、ヨハネさんですか?」


ヨハネさんと呼びかけられた男は、びくっとして、観念したように、振り返った。

「へい、私がヨハネです。なんかゴミでもありますかい?」

「いや、アーデルハイトの桶が大きいって聴いて見に来たんです」

「あ、それは誤解です。おいらは、この小さいのがそうだって言ったんですけど、こっちの残飯入れがそうだって話になってたんです・・・だって地下牢に入らないでしょ?こんな大きいの・・・お願いします。命だけはお助けください。うちには妻も子供もいるんです」

「ヨハネさん、心配しないでください。今のところ、噂は砦の中だけですか?」

「いや、わからないです。しかし、トイレ用の樽がここにあるのを知っているのは兵士達だけでしょうから・・・恐らく・・・」

「わかりました。オットー様に話して、兵士たちに噂の禁止をお願いしてみましょう」

「ありがとうございます」ヨハネさんは両ひざで跪いて、胸の前で手を合わせた。

「ヨハンさん、直ってください。オットー様の決定に委ねられているので、まだわかりませんから」

ヨハネさんは、また青くなって、今度は地面にひれ伏した。

「い、い、命だけは、お助けください・・・」

「大丈夫ですよ。斬首なんてありませんから、そんなことで刑を科すなんて、ザクセン騎士に限ってないと思いますよ」根拠のない自信からそういったけど、大丈夫かな?

「さ、さすが、ザクセン王子様、ありがとうございます。では、この処理屋ヨハネ、私に与えられた仕事を精進致します。失礼します」

そういって、大きな樽を載せた荷車を引いて砦から出ていった。


あれ、ザクセン王子とか言ってなかった?ま、いいや、オットー様のところにいって話しなくちゃ・・・僕はクリスタと別れて、隊長執務室に向かった。


オットー様に話をしたら、噂が耳に入っていなかったようで、大笑いしてた。なんだか男子受けするネタだよなとか言ってたよ。横にいたレオン様も大受けしてた。

「あははは、使徒殿も大変だな。責任とれって?」

「笑いごとじゃないです。怖いんですよ、アーデルハイトは」

「でも、二人が結婚するのもいいかもな」ひどいです、オットー様。

「ワシもそう思うぞ・・・うぷぷぷぷ」レオン様、受けすぎです。

「酷いです。今は隣にアーデルハイトが住んでいるので、息もできないくらい気を使うんですよ」

レオン様が、うんうんといいながら、笑った目で話しかけてくる。

「結婚は墓場だよな。怖いよ。使徒殿のように相手がいなくてホッとするぞ」

「レオン様、僕の相手はまだいませんよ・・・」

「おお、ごめんごめん」

「使徒殿、わかった。兵士たちには話しておく。アーデルハイトが然るべき地位に着いた時に敵に回すことになるぞといっておくと、効果テキメンだろう」

「どういうことなのですか・・・ブルグンド王女とか・・・」

オットー様が説明してくれた。魔法の指輪の話とか。ブルグンド王国やイタリア王国の王位継承者だとかだ。僕は驚いてしまった。ますます、アーデルハイトの悪女王様キャラが確定だよ。鞭とか持ってそうだ・・・

 

 オットー様は、兵士たちに訓令してくれたようで、噂話は無くなったようだった。

クリスタにも、こういうことをしたと伝えてもらったけど、しばらく、アーデルハイトは口をきいてくれなかった。


7月も終わりそうな頃に、アーデルハイトの機嫌も直り、○○○姫の話も聞かれなくなった頃、石工さん達は砦にやってきた。


まずは、鉱山街の北城壁の外側に新しい城壁を造るところからスタートだ。


僕は、工事監督というか、スーパーバイザーに任じられ・・・いや、単なるクレーン代わりというか、あと、聖結界担当というか・・・実質、傍から見ると、その辺でウロウロしている子供みだいだった。


 というのも、浮遊を使うと、下すのが面倒だということに皆気づいたからだ。効果打消しの魔法を使える人が居ないから・・・しかも、城壁は東西に離れた2ケ所から作成を開始したけど、僕は一人しかいないから・・・無理があるよね。

だから石切り場から大きな石を運ぶ時だけ、僕の出番となった。

まぁ待遇が変わらないで、仕事が減ったから暇だ。でも、僕が居ないと魔物が出てくるので、常駐なんだ。結構つらい。僕は、結界の広さをある程度コントロールできるようになってきたから、一番いい立ち位置を選択するようにしている。不思議なもので、あんまり広げすぎると弱い魔物が逃げてしまうんだけど、逆に空いたその場所に、結界をあまり怖く感じない、もっと強い魔物が来るようになるらしい。弱い魔物が逃げるぐらいの広さをできる限り狭くするのがいいようだ。


 さて、工事のほうだけど、北城壁の一番西側、つまり谷のある側で、崖があって、谷底の途中の岩石から石を積んでいくところからスタートしたのだけど、石工さん達は、クレーンを持ってきていたので、それを使ったほうがやりやすいということになった。

古代ローマ人も使っていた、木製のクレーンだけど、すごい技術だと思った。北城壁の上に設置して、石をブランコみたいな板の上に置いて、持ち上げるんだけど・・・

この持ち上げる動力が、なんか水車小屋の水車みたいな大きな丸い輪で、その中を人が歩いて回転させると石を載せた板が上がっているという仕組みだ。

石工さん達は、第2正門側からも工事を進めていた。そして、同時に計画地全体を囲むように、城壁の基礎部分を作っていた。先に足元だけ作って、その上に城壁を左右からつくっていくやり方だ。とにかく、初めてみることばかりで面白かった。


石工さんは基礎とか土台って言い方していたけど、重い城壁を載せる地面の部分に、大きな石を敷き詰めて、固めていくんだ。もともとここの地盤は岩だから、固めるのが楽だとかいってた。

そして、そこに切断した四角い石を敷いて積み上げていくんだね。石の上に石を積むときには、モルタルとかいうのを表面にぬって、平らになるように積んでいた。これが接着材なんだって。

城壁って結構厚みあるけど、石工さん達は、外側と内側の皮の部分だけ作ってんだよ・・・あれ、中身は空洞なんですか?ってきいたら、いや、これから砂利を入れていくんだよって。


あれよあれよと、左右の城壁はくっ付いてしまった。低い状態でだ。やっぱり、高くして少しずつ進めて繋ぐと高さが合わないらしい。なるほどね・・・


城壁は高くなっていった。一番大変だったのは、西側の谷底から立ち上げる擁壁のような壁だった。下から足場を組んで、くみ上げていっているので、時間がかかったようだ。でも、谷底からずっと崖の上までそのまま造っていってから、周囲の城壁を作ると時間がかかるので、時間を半分にするために、不思議な作り方をしていた。

上の城壁は木組みの上渡した板の上に作っているんだけど、下から立ち上げていった石壁を木組の下まで造っていって、木組みを分解して、最後に板を引き抜いて、上と下をつなげるんだ。かなり高度な技だってオットー様が言っていた。しかも上の石に穴をあけて、下の石にも穴をあけて、鉄の棒で串刺しにしていた。そして隙間をモルタルで埋めるんだ。この工法は、城塞都市の職人しかできない技らしい。


城壁はつながったので、魔物が出現しても城壁の中までは、入ってこられないわけで、僕の出番も無くなった。石工さん達は、あとは低い城壁を高くするだけだ。それでも、石切り場からの材料の供給は止まらなかったので、ご飯にはありつけていたよ。


その城壁がつながってから、一旦、城塞都市に帰宅していた大工さん達が戻ってきて、醸造所を作りだした。これには元奴隷の人たちも全員出てきて、あーだこうだと発言していた。でも、やはり、うまく伝わらないとのことで、現地を見に行こうという話になった。また、僕も出動だ。


いかがでしたでしょうか。


話中に出てくる木製のクレーンの動力は、ハムスターの輪のようなものの中に入って

人が動いて巻き上げるものです。40トンでも吊り上げてしまうような

能力だったそうですよ。ハンザ同盟の港でも荷卸しや積み込みに使用していたそうです。

ハンザ同盟は、この小説より後の時代ですが。


城壁の石組には、現在、モルタルと呼ばれるものを使っていました。ローマ人がよく使ってましたね。

ローマ人の土木や建築技術はすごいものがありますよね。


次話は明日投稿します。体を回復させることに専念したいと思います。

宜しくお願いします。

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