第63節 スタンピード その4
すみません。体調不良で、遅筆になっております。
なんとか書きましたので、よろしくお願いします。
前回とか内容見直しますので、すこし変わると思います。体調悪いと精神的な活動も影響を受けますね。
「炭を持ってきたいがのぅ・・・飛んでも時間がかかるからのぅ・・・」
ぶつぶついっているけど、結局、おじいちゃんは、何のために現れたのだろう。僕らの後についてくる。次から次と、ゴブリンの死体が持ち込まれてくるので、燃やすのも大変だ。ブルーノ神父様がフオィアーと火を放つと、おじいちゃんは、うんうんと頷いて、ええのぅとかいっている。
「ブルーノ神父様、ちょっとよいかの?ワシにちょっと腕を見せてくれないかのぅ?」
「はい、どうぞ。こんな粗末な腕でよろしければ」
珍しくブルーノ神父様が緊張して、なんかぎこちないよ。おかしいね。腕に粗末とかないと思います。
おじいちゃんは、腕にキスしそうな勢いでみている。ブルーノ神父様は、近い近いですって顔をしている。やはり、聖人が天から降りてきていたら、緊張するよね。アポロニアさんは、目にハートが浮かんでいるよ。なんか、自分の腕も見てもらうつもりで、腕の誇りを払ったり、匂いを嗅いだりしている。
おじいちゃんが、按手をすると、手から眩い光がでて、ブルーノ神父様の腕に吸い込まれるように消えていった。
「どうじゃ?もう一度フォイアーを放って見てくれないかのぅ?」
ブルーノ神父様は、はっ、かしこまりましたと言って、手を構えて、フォイアーと唱えた。
さっきまでとは比べ物にならないほどの凄い炎が放たれて、どんどんゴブリンが灰のように変わっていく。
「ボニファティウス様、これは一体?」あの豪胆なブルーノ神父様が震えてガタガタしている。
「気に入ってもらえたかのぅ?ちょっとエーデルスブルートの詰まりを取ったのじゃよ」
「有難き幸せ・・・このブルーノ、より一層神のみ旨に添えるよう、精進致します」
「神もお喜びになるじゃろぅ。もしかすると、また地上で大攻勢が近いのではないかと心配しておる。私も、今一度人間の体を授けられて、こっちでも働けるよう降りてきたのじゃよ。あ、秘密ね。ここにいる三人だけよ。まぁ、新しい体ってやつじゃ。
三人の能力を底上げしておかないと、なにかあったら、砦がもたないからのぅ。天でも、人間にとっての、この砦の重要性は理解しておるのじゃ」
アポロニアさんが、期待して腕をゴシゴシふいている。おじいちゃんは、仕方無いのぅって言って、アポロニアさんにいった、
「いいか?ワシはお主の守護聖人だから、どこが悪いのかわかっておる。腕を貸してみよ」
そう言って、アポロニアさんの二の腕をモミモミした。あーんって、変な声を出したので、ボニファティウス様もブルーノ神父様も、真っ赤な顔をしている。
「おいおい、そんな変な声を出すなら治療せぬぞ」
「でも、くすぐったいんです」
モミモミしている間に、腕全体が光りだしてきた。
「よし、こんなもんじゃろぅ」
「では、放ってみよ」
なんか、アポロニアさんはニコニコだ。
「はい。フォイアー!」
ブルーノ神父様ほどではないが、かなり凄い炎だ。みるみる、ゴブリンが灰になっていく。これなら、下に敷いている石炭はいらないかも。
「効率は良くなったが、能力が上がったわけではないから、聖性の枯渇には、注意するように」
二人が一緒に返事をした。なんか、先生と生徒達みたいだね。
「精進して、魔力量を増やして欲しい。あと、祈りを忘れないように。小さな犠牲を聖母様に捧げるようにして欲しい。無理をしなくて良いからな。
特に病気にかかったりして、苦しい時などは、この苦しみを聖母様に捧げますと、祈りに追加すれば良い」
そう言うと、おじいちゃんは、僕の方に向き直った。
「さて、もうわかったじゃろぅ?ワシはお主の為に天から派遣されたのじゃよ。
しかし、決戦の時は近いのじゃ。やつらは、天を直接攻撃しようとしているらしいので、わしら天の軍勢で迎え打たなければならぬ・・・ここのところそれを調べるために東奔西走しておったのじゃ。本当は、お主と一緒にいて、もっと教えたいことがあったのじゃが・・・
まぁ心配することでない。天使達がおられるから大丈夫だ。
とは言え、天の軍勢全体に召集がかけられたから、かなり警戒しておるぞ。従ってお主を丁寧に見てやれんのだが、もともと、お主の力はわし以上じゃ。あとは、器の成長に合わせて、段階的に覚えると良い。お主の本に、その時が来たら新しいページを追加するので、必ずマスターするように」
そう言うと、ボニファティウス様は、急に薄くなって消えてしまった。
アポロニアさんが聖人の名前を叫んだ。
すると、急におじいちゃんは現れ、「アポロニア、そう、慌てるでない。頼むぞ。悪者君を通じて、お主にも、新しい聖霊魔法を伝授するからの。じゃ、また」今度は、空に浮かんでどんどん上に上がっていってしまった。
僕らは、ぼーっとしていた。はっと気付くと、目の前には、ゴブリンの死体がかなり増えていた。
「よし、燃やそう」ブルーノ神父様が言った。なんか固い決意を感じるよ。
「はい、頑張ります」アポロニアさんが頷いた。
それからの二人のフォイアー祭りは、凄かったよ。
オットー様がやってきて、物凄い炎に驚いていた。
「いや〜お疲れ様です。ちょっと前まで、黒い煙が上がって、かなり臭かったのですが、急に臭いが無くなったし、黒い煙もないし、どうしたのかと思って見にきたんですが・・・」
ブルーノ神父様が手から炎を出しつつ答えた。
「賢者様に手解きして頂いたのだ。凄いじゃろ?」あれ、おじいちゃんの口調がうつったみたい。
「ああ、あのお方ですね。頼りになりますな」
「オットー様、賢者様は、戦いに出られました。暫くは戻られないそうです。残念です」
アポロニアさんは、手から炎を出しながら涙を零した。なんか絵面が変ですけど・・・
「戦いとは、近いのか?」オットー様が心配そうな顔をしている。
アポロニアさんはわからないと首を振った。
ブルーノ神父様がニヤっとしてアポロニアさんにウィンクして言った。
「賢者様が招集されるのだから、ウェセックス王国あたりではないのか?」
「あっ、そうですね。そう仰っていたかもしれません」
大人は嘘つきだよね。オットー様が僕に話を振らなかったので助かったよ。
ゴブリン達は燃え尽きたけど、火が消えて冷めるまで数日かかるのではないかとの事で、その日は一旦作業終了になった。
僕は湯浴みをして、臭いを取ったつもりだったが、なんか煙臭いようだ。明星亭で、タダで食事ができると、聞いていったが、アーデルハイトが居なかった。女将さんに聞くと、あの日砦に向かってそのまま帰ってないらしい。取り敢えず、ご飯を食べてから、彼女を探しに砦に向かった。
アーデルハイトは、地下牢にいた。
僕が近づくと、アーデルハイトが鉄格子を両手で掴んで、がおーと吠えた。
「ねぇ、悪者君、ここから出して。ここにいれば安心とか言われて、大人しくいたんだけど。
ベルタさんが、戻って来ないのよ。もしかして外は大変なことになってるの?」
「そういえば、今日はベルタさんを見かけないよ。ちょっと、オットー様に聞いてくる」
僕は、まず、貴族の食堂に行ったが、誰も居ない。
次に隣のオットー様の執務室に行ったが、誰も居なかった。
そこで砦の正門まで降りて行って、門番さんに確認したら、ベルタさんは、朝から結界馬車に乗って城塞都市に出掛けたらしい。勿論公務だそうだ。レオン様も同行したらしい。今回の襲撃の報告と、今後の相談らしい。
オットー様は、出掛けてはいないらしい。砦の中には居ないようなので、鉱山街に行ってみた。オットー様は、鉱山口の吊り鉄格子門の前にいた。隣にはブルーノ神父様もいる。そっと近づくと、鉱山内の明日の片付けの打ち合わせのようだ。
オットー様は、すぐに僕に気付いた。
「どうしたのだ、悪者君」
「アーデルハイトが砦の地下牢にいるのですが、何か悪いことをしたのでしょうか」
オットー様は、あれっという表情をした。
「いや、スタンピード対策で匿われたときいているが、まだ中にいるのか?」
「はい。出して欲しいそうです」
オットー様の眉間に皺ができた。
「あれ、ベルタは鍵を持って行ってしまったのか?」
急に思い出したように、ブルーノ神父様が言った。
「そうだ、オットー卿。アグネス様より相談を受けている件があるのだが」
「え、それは、アーデルハイトの件ですか?」
「うむ、すぐに出してあげぬとな」
それから三人で、砦に向かい、鍵を探したが、どうやら、ベルタさんが腰につけたまま、城塞都市に出掛けたらしい。
オットー様は、地下牢でアーデルハイトに謝った。ベルタさんは、明日の夕方でないと戻れないらしい。
オットー様達が、地下牢から出て行き、二人きりになると、アーデルハイトはまた、鉄格子に掴まって、がおーと吠えた。なんかの猛獣のつもりだろうか・・・すこし、かわいいと思った。
「もう嫌。ご飯は美味しいけど、汚物の横で食べるってありえないんだけど」
そうか、それは辛いよね。そういえば、ここにはトイレがないのか・・・なんか桶が鉄格子に押し付けられてあるだけだ。でも、蓋がないから、うわ・・・
「ちょっと、人の桶の中を見ないでくれる」
「いや見てないよ。見たくないもん。ちょっと蓋を探してくるよ」
「そうね。助かるわ。お願い」
砦には各階にトイレがあるが、上から小さな穴を通じて一番下に落ちるようになっている。定期的に下でくみ取る仕組みだ。これが野菜とか作物の肥料になるらしい。鉱山口のトイレは、下に川があるので、きれいだけど、もしも、下流に人が住んでいたりすると、やばいよね。
僕は、桶の蓋を探した。分からないので、門番の人に聞いたら、南側の角に物置があって、いくつか置いてあるらしい。取りにいったら、あるある。ぜんぶ同じ大きさだったので、一番きれいな感じのものを持っていった。
床のご飯のトレーを差し入れる配膳口から、桶の蓋を入れると、アーデルハイトは、なんだかなっていいながら受け取り、桶に蓋をした。ぴったりみたいで、そのうち、酷い臭いは薄れていった。そうしているうちに、巡回の警備兵がやってきて、ろうそくの灯りを消していいかといった。
アーデルハイトは、諦めた感じで、お願いしますといった。地下牢は一気に暗くなり、本当に地下牢という感じになった。まだ外が明るいので、地下牢の上部にある明り取りから、すこし明りが差し込んでくる。僕は、ここにいてあげようかといったが、彼女から断られた。トイレいけないでしょう・・・はやく出っていってと言われた。そうだよね・・・
その日は月が明るい夜だったよ。
いかがでしたか。ありがとうございます。
ドイツの石炭は、無煙炭ではなかったようですね。イギリスの石炭は煙もでなくてよかったようですよ。
ウェセックス王国は、イギリスの7王国で、最後まで残った王国ですね。サクソン人の国です。先住民はケルト民族のブリトン人です。アーサー王はブリトン人の王らしいですね。
また、よろしくお願いします。




