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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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第59節 ドミニクの覚醒 その3

すみません。寝てしまいました。

現在、最初の部分から見直しと差し替えをしています。

節番号が変わっていきますので、ご了承ください。

ベルンハルトはどんどん先に歩いていく。司教館に向かっているようだ。ドミニクは後を付いていく。ベルンハルトは年齢の割に頑強だ。やはり、騎士だったからだろう。

 司教館に入ると護衛騎士が立っており、顔見知りの若者だった。司教様からは既に二人がくることが知らされており、すぐに部屋に案内された。

 扉を開けると、補佐司教や司祭達と打ち合わせ中だったが、司教様は会議を中断し、人払いをされた。全員が部屋をでていき、3人だけになると、司教様は口を開いた。

「ザイフリート、聞いたぞ・・・まさか、こんなことになるとはな・・・」

司教様は、ドミニクの修道名ではなく、本名を呼んだ。

「喜んでいいのか悲しんでいいのか分からないのですが・・・」

「おいおい、喜ばしいことではないか。修道院長様はいかが思し召しか?」

 司教様はすこしふざけているようだ。

「まだ、お話しいたしておりません。当日は、不在でした故、一から丁寧に説明しませんとなりませぬ」


「あいつが何を言おうと、巡礼の旅に出てほしい。癒しの力だけでなく、他の力も得られるかもしれないぞ。公爵軍の大きな力となるだろう。異端の軍とも戦う可能性があるからな・・・」

 ドミニクは困っていた。一応、修道会に所属しているのだから、勝手なことはできない。総長様や管区長様のお許しがなければ、思ってだって動けないのだ。修道士である以上、目上に従順に従うことが掟なのだから。貴族が自己中心的なのはわかってはいるが、私は神に仕える身。しかし、困った。

 横から見ていたベルンハルトが、私の顔を見て話してきた。

「神父様、神の望まれる道を選ぶべきです。何故、あの少年があなたの前に現れたのか。そして、あなたはあの子を引き取ったが、取り上げられてしまった。

そして、取り戻そうとして、その手を得た。その手は、あなたを導く光かもしれません。

つまり、全ては神のご計画の一部なのかもしれません。神のみ旨であれば、あなたはその道を選ばなければならないでしょう」

ベルンハルトがドヤ顔でドミニクを見る。論駁したぞという感じだ。


「ザイフリート、ベルンハルトの言う通りだぞ。そちは神に背くのか?」

「司教様、まだ神の示した道かはわかりませぬ」

「そちも頑固よのう・・・神のみ旨かどうかは巡礼の旅にでないとわからぬではないか?それに、もしもその手の変化が、聖ミカエルによるものだとしたら、総長、管区長、修道院長の全員が確かめろと言うぞ・・・そちの修道会にとっても、ものすごく重要な話だからな。そちが死んだら、手を切り落とし、聖遺物として、各修道院を巡回し、お布施に寄進を・・・」

「うおっほん」ベルンハルトが咳払いをした。バツの悪そうな顔を司教様がしている。

「いかんな・・・どうしても教区の運営だとか教会の存続を考えていると、純心からは遠ざかる・・・しかし、そちがだ・・・その力を手に入れられるとしたら、それは、伯父として誇らしく思う。おばあ様や兄上は、狂喜乱舞しそうだ。城塞都市の商人たちも喜ぶぞ。ドミニク饅頭とか、ドミニク人形とか、そうだな、ドミニクのご絵もいいな・・・騎士達にはドミニクの籠手とか、ドミニクヘルムとか、そうそう、ドミニクの聖ミカエルの剣もいいな」

「司教様・・・」ベルンハルトがあきれ顔だ。


「冗談だ・・・すこし本気だがな・・・私たちの主を自分たちのために利用するつもりはない。むしろ、これは恵みだ。そちがもたらす神の恵みが零れたら、それを頂くだけの話だ。

ザイフリート、わしがそちなら、絶対巡礼にいくな・・・そして、聖ミカエル様の本心を教えてもらうぞ。さっき冗談っぽく申したが、修道会が反対するはずがない・・・根回しはわしがするから安心しろ。あと兄上に頼んで、護衛の騎士をつけてやるから、馬も貸すぞ。路銀も出す」

「さすが司教様ですな。神父様、もう大船に乗ったも同然ですな」ザイフリートは太鼓持ちか道化師のようにうまく立ち回っている・・・驚いた。

あははははと、二人が笑うので、つられて愛想笑いをしてしまったドミニクだった。

「ザイフリート、そちのその手は、聖書に出てくる、タラントかもしれぬぞ。主がお戻りになられるまでに、タラントは増やさねばならぬだろ?」司教様はニヤっと笑った。 

結局、反論もできず、巡礼の旅にでることにされてしまった。


 司教様の根回しは物凄く、総長、管区長、修道院長全員が賛成となった。


 公爵様は、護衛騎士を10人程つけようとしたので、一人にしてもらった。騎士はオルドルフと従者2人となった。全員が馬で移動する。オルドルフ達は、皆公爵様の縁者で、親戚だ。ドミニクもそうだが・・・今日は司教様に言われて、ベルンハルトの部屋で作戦会議を開いている。

 

 オルドルフ達は、浮かれている。彼らは遠くに行ったことがないからだろう。冒険かなにかにいくような雰囲気で、興奮して頬を赤く染めている。

「神父様、どのルートでいくのですか?」

「オルドルフ殿、まだ分からないのだよ・・・ベルンハルト殿、貴殿ならどうされますか?」

「まぁライン河を渡り、ローマ街道を北上し、途中からパリにぬけるルートでしょう」

「おお、パリですか・・・始めてです」オルドルフは嬉しそうだ。


 ドミニクは、できれば、ベルンハルトに道案内をしてもらい、馬車の後ろで揺られていくぐらいの楽な旅がしたかった。一日、本がよめるではないか・・・残念ながら馬車は却下されてしまった。まず、街道が馬車に適していないらしい。ローマ街道の一部はまだいいのだが、ローマ街道から横にそれると馬車では無理だそうだ。

 宿は、各地の修道院に泊まる。巡礼の司祭とその護衛騎士ということで行くそうだ。紹介状は司教様が書いてくださる。


 ベルンハルトが行程を考え始めた。どこかから羊皮紙に書かれた地図を持ってきている。

「まずは、ライン川に沿って北上し、シュトラスブルクでライン川を渡りましょう。ここで1泊しますか?」

「なにかうまいもんはありますか?」オルドルフはもうわくわくしている。

「オルドルフ殿、物見遊山ではございませんぞ。といいつつの、実は会議でよくここにいくのですが、美味しい定食屋が・・・うおっほん」

ドミニクのジト目に気づいたベルンハルトは、話題を変えた。

「まぁ、初日から無理をしますと、よくないですからな」


「つぎは、サルブールで一泊。その次がナンシーか、トゥールですかな。そのあと、ローマ街道に出て北上。バールシュルオーブで一泊。そのまま北上し、ランスで西に進路をとり、そしてパリ。パリから、巡礼用の道を通って聖ミカエル山へいくか・・・これは直線に近いですが巡礼用の道ですな」

「さすが元十字軍兵士ですな」オルドルフが尊敬のまなざしでベルンハルトを見ている。ベルンハルトも少しくすぐったいようだが、満更でもないようだ。脳筋同志でうまくコミュニケーションしてほしいなごドミニクは思った。


ドミニクにとって、パリは憧れの街だ。パリ大学に学びたいと思っていた時期もある。騎士オルドルフのことは言えないなとドミニクは思った。しかし巡礼の旅だから、パリ大学によって学問について教授たちに教えを乞うような時間はないのだ。

 従者が蜂蜜水を持ってきてくれた。従者は騎士のすべての面倒をみるので、大変だろう。武装の準備だけではなく、身の回りの世話をしなければならない。戦闘に際しては、武器や盾を持ったり、いざというときには戦闘に参加しなければならない。彼らも幼い顔をしているが、剣を始め、槍術、弓、乗馬と一通りこなすことができる。一番大切なのは、推し量る能力とか、気配り、機転であるが・・・


 そんなことを考えている間に、出発時期まで決まってしまった。来月の初めに、ベルンハルトがエクソシストの会合で、シュトラスブルクにいくので、その時に途中まで、というか、一番最初の街まで一緒にいこうということになったのだ。聴いてないよ・・・いや、私が考え事してて、相槌を打ったのだろう・・・なんだか、心配になってきたドミニクであった。


お読みいただきましてありがとうございます。

実際に12世紀でも、巡礼は盛んだったそうです。

大天使聖ミカエルが出現した箇所は3か所ありまして、モンサンミッシェルを出発してイタリアの2か所を巡ったそうです。今回は、モンサンミッシェルだけの予定です。

次話は、あちらの世界の砦に戻ります。宜しくお願いします。

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