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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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第58節 森の中の修道院 その2

長くなってしまいました。9千字弱です。

いよいよ、魔物との対決があります。

今月も宜しくお願いします。

「では、参る。戦闘の可能性もあるので、警戒しよう」


 オットー様が手斧を構え、盾とともに中に入っていく。

ブルーノ様が後ろから祝福をしている。レオン様は、後ろ振り返り、襲撃がないかを確認して最後に入ってきた。


 中は滅茶苦茶に破壊されていた。祭壇の近くに白骨化した遺体がいくつか倒れていた。

「最期までここを守ろうとしたのか・・・全員が修道服を着ているな・・・」

ブルーノ神父様は死者のための祈りを唱えていた。ご聖体の入っていた壺を抱きしめている遺体があった。中身を覗くと空だった。


「悪者君、安心しろ。ご聖体は、そこで殉教した司祭達が全部頂いたようだ」


 司祭達は、悪魔やその手先に、ご聖体が汚されることのないように、非常時には、全て残さず拝領するのだといった。ご聖体を狙って汚すことを目的とした、悪魔やその手先が多かったらしい。ご聖体の次に狙われるのが、聖遺物だそうだ。そういえば、ロンギヌスの槍とか聖杯とか、聴いたことがあるな・・・


 僕は修道士様達のご遺体を、ちゃんと見ることができなかった。チラッと見たら、頭蓋骨の額のところが滅茶苦茶に潰れてしまっているのが目に入ってしまったからだ。

 レオン様が、十字架の印をして、つぶやいた。


「これはオーガにやられようだな」


「額を握りつぶすなんて、すごい握力だ。悪者君もおでこを掴まれないように逃げないといけないぞ」オットー様が僕に言った。

 それ脅かしだよね・・・怖いよ。

「今日は無理だが、絶対、機会を作って、殉教された方々をちゃんと埋葬しよう」ブルーノ神父様が呟いた。オットー様もレオン様も頷いていた。かなり兵を派遣しないと厳しいよね。


 僕たちは教会だったところを出た。ブルーノ神父様が聖書だとか大事なものが隠されてないか残って探していたが、何も見つからなかったようで、出てきた。何かを見つけても、すぐに触ってはいけないらしい。悪魔が罠をしかけていることが多いらしい。しかし、卑劣だよね。悪魔って。


 僕たちは、外にでてきた。その光がまぶしくて、目が痛い、


 さて、次の建物だ。恐らく僧坊だったところだろう。


「気配がする。何かいるぞ」オットー様が言った。

「さっきのあの8人かもしれないから、焦って攻撃するなよ・・・」レオン様が言った。

「おいおい、誰かと違って、扉ごと殺してしまうような怪力は俺にはないぞ・・・」オットー様が答えた。


 オットー様が抜刀した。すぐに剣が振動しだし、光輝いてきた。

「なんだ、祈ってないのにもう励起したのか・・・」レオン様が驚いている。

「いや、悪者君が側にいると常にこの状態だ」オットー様がすこし呆れ気味だ。

「そういえば、さっきまで、ずっと手斧を使ってたな・・・」

「ああ、長剣を抜くとこうだからな・・・雑魚相手に抜く気になれんよ」

そういって僕をみてニヤリと笑った。


すごい威圧感を放っているようだが、僕にはなんか懐かしい感じがする剣だ。


「これの威圧には、普通の魔物なら耐えられないだろう。聖波動がこれ程とはな・・・」ブルーノ神父様も呆れ気味だ。オットー様は、僕の目を見て、何か話そうとしている・

「・・・悪者君、私は大天使聖ミカエル様から、この剣を授かったのだ・・・そのうち、機会がきたら話すつもりだが・・・この波動は、ミカエル様独特の波動なんだ・・・しかし、悪者君は、同じ波動を出している・・・だからこの聖剣がシンクロするのだよ・・・ということは、君は・・・」


 なんのことか分からないよ・・・僕のせいなの?オットー様は、思い直したように皆に言った。


「いやなんでもない。さあ参ろう」


 僧坊らしい建物に入った。廊下がずっと続いている。オットー様が、最初の扉を剣の切っ先で軽くに押して隙間から覗いた。テーブルとイスが整然と並んでいる。食堂のようだ。こちらの建物は使われているからか、左程痛んでいない。扉を軽く蹴るとすぅっと音もなく開いた。剣を先導とするようにオットー様が入っていく。


 部屋の隅に人と思われる男性数人が、頭を抱えて座り込んで背中を見せている。だれもこちらを見ない。皆震えている。僕は、彼らの首に、金属製の首輪がつけられていることに気づいた。


「オットー様、これは・・・みんなの首をみてください・・・」


 僕は見覚えのある首輪を指差した。オットー様は僕を見て、静かにするようにというジェスチャーをした。そうか、皆震えているものね・・・


 オットー様は、すこし時間をとってから話しかける。


「おい、大丈夫か?心配するな、おれは人間だ。デーモンじゃないぞ」


 オットー様の呼びかけに、何人かが恐る恐るこちらを少しチラッと見た。僕は、皆の首についていたのが、自分につけられていたものと同じであることを確信した。


「オットー様、やはり、皆、僕がつけられていたものと同じ、隷属の首輪を付けられています」


「なるほど、先に契約の主を探さねばなるまいか。全員攻撃するつもりはないようだし、ここはこのまま放置しよう。次の部屋を検分するぞ」僕らは次の部屋へと見て回ったが、数人の人があちこちにいるだけで、皆同じ姿勢でじっとしているだけだった。


「おや、これは修道院長室のようだな」オットー様がドアの前に立ち、大きな声でそう言った。

 そのあと、すっと、体をドア前から外して、手を伸ばしてノブを回そうとした。その時、吠えるような雄たけびと共にドアがバラバラに壊れ、中から斧とともにオーガが出てきた。その瞬間に斧を持った腕をオットー様が切り落としていた。


「〇$×△$§~」訳のわからない言葉を叫ぶと、オーガは素早く床に落ちた腕から斧を拾い、反対の手に持ち替え狭い廊下に仁王立ちになった。目が血走っている。右手からはまだ鮮血がしたたり落ちるままだ。身長2メートルはあるオーガは、オットー様に面と向き合った。僕はオットー様の後ろに隠れながらちらっとオーガを見た。すると、いきなり、オーガのビール腹のようなお腹の表面から、武器が血潮とともに飛び出してきた。


 オットー様は盾を構えて躱そうとしたが、すぐに武器は腹へ引っ込んでいった。オーガは一旦膝を突き、崩れるように前に突っ伏した。後ろには新たなオーガが・・・いや、レオン様が、恐ろしい表情でポールアームのような斧を手に構えていた。


「かたじけない。レオン卿、助かった」オットー様が感謝した。


「いや、一瞬であの太い腕を落とすとは・・・ベルタの剣より怖いぞ・・・というか、お主本当は一人でやっちまうつもりだったろう?」レオン様が笑った。


 オットー様は、いやいやそんなことはないと笑いながら、淡々とオーガの首を落とし、とどめをさした。それから聖剣を鞘に納め、腰にぶら下げていた手斧に持ち替えた。


 もう、検分する部屋はないようだ。ブルーノ神父様が食堂から回りわりなおそうと言った。


 食堂にいくと、何人かが立ち上がっていた。何が起きたか分からないようで、しきりに首や手首や足首を触っている。長年にわたって付けられていた手枷のせいで、手首だけ、そして足首だけが細くなってしまっているようだ。


「だれか話ができるものはいるか?」ブルーノ神父様が優しく問いかけた。


 皆が、一人の男性の顔を見て、なにか言いたげだ。皆に視線を送られていた、男性が諦めたように応えはじめた。



「はい。皆、もともとここで生まれたものですから、人族の言葉を話します」


 良かった。どこからか連れて来られたとしたら、言葉が通じないかもしれないからだ。僕や神父様はラテン語を話せるが、スラブ人の言葉はよくわからない。


 さっき代表して話してくれた人が何か言いたげだ。

「すみません。今、首領様のお印が取れてしまったのですが、大丈夫なのでしょうか。それに何故あなた方は人族なのに、お印をしていないのですか?」

話の内容からして、お印とは首輪のことだろう。


「人は、もともと首輪は付けないものだ。それにそちが付けていた首輪はもう付ける必要はない」ブルーノ神父様が説明している。


「すみません。なんだか分からなくて。私たちは、成人になった時に、生き残っていれば、成人の印として首輪を頂きます。頂けないものは、首領様やそのほかの方に食べられてしまいます。畑でもそうです。印のないものは魔物の餌になってしまいます。私たちを守ってくださるものなのです」奴隷のリーダーだろうか、とても困惑しているようだ。


オットー様は困惑しながら言った。

「そちが首領と呼んでいるオーガは、既にこと切れておる」


「え、首領様が・・・」奴隷人間のリーダーのような人が驚いている。他の人達もそうだ。


「その首輪は、隷属の首輪といって、悪魔軍が、奴隷や捕虜につけるものだ。それを付けられると、その主人の言うことをきかねば、首が締まって死ぬ。また、とくに聖性の高いものや魔力の高いものの力そのものを封じることができる」


説明しても、なかなか伝わらないようだ。


「おい、荷車を見つけたぞ」レオン様が入ってきてそういった。


「オットー卿、悪いが見てきてくれ。ワシはまだ彼らと話さねばなるまい。悪者君もみてきなさい。それに砦に持って帰るなら、浮遊を使えばよい」


 僕は、そうすることにした。荷車は修道院長室にあったそうだ。


 修道院長室の前には、まだ、オーガの首のない体が廊下の端に寄せられて転がっていた。僕は動き出すのではないかと冷や冷やしながら血だまりを避けつつ横を通った。


 修道院長室に入ると、隣のドアが開いている。続き間があったのだ。ドアを通ると臭い匂いが充満していた。豚小屋のような匂いだ。

部屋の隅に荷車はあった。中に藁が大量に敷き詰められている。オットー様が言った。

「そうか、なるほどな、あいつの体にとっては良い大きさのベッドになるのか・・・」

「これは、もう捨ておくしかないな・・・」レオン様がそう言った。荷車の角は一か所土がついたままだった。さっき落としたような後のところか・・・


 僕らは他の棟を見て回ることにした。檻のような部屋がいくつかあり、そこには子供たちが入れられていた。みんな怯えている。他に厨房のようなところがあり、そこには女性たちが閉じ込められていた。


「そろそろ、ここをでなければ9時課に間に合わないな・・・」

「いや、もう9時課ぐらいじゃないか・・・」レオン様が答えた。外にでて日の傾きをみないとなと呟いていた。


「よし全員、中庭に集まってもらおう」オットー様が集合の命令を出した。


 全員、中庭に集められた。始めて中庭に出る人ばかりのようで、皆、恐々だ。中庭の中央ではなく、回廊の壁にぴったりと背中をくっつけている。


 ブルーノ神父様が促すと、さっきのリーダーのような人が、全員に話し始めた。

「みんな、聞いてほしい。男たちは、首領様のお印がとれて驚いているかもしれない。女たちも、エールづくりと食事以外の部屋は見たことがないだろう。だが、首領さまは、この人族の勇者たちによって滅ぼされた。私達は、自由になった。外の魔物は、勇者様がやっつけてくれるそうだ。それに、体が弱いからとか、働けないからといって、食われてしまうことはもうない。勇者様は約束してくださった。

一呼吸置くとリーダーは言った。


「我ら人族は、神に仕えるもので、魔物に仕えるものではないと。これから私たちは、人族の砦で、人族に守られて生きるのだ」


 え、食べられちゃうって・・・怖いなぁ・・・さっき、厨房の鍋の中みなくてよかったよ。何が入っているか想像したら恐ろしい・・・しかし、ブルーノ神父様はよく説得したよ。すごいな・・・あ、ところで、勇者って何?僕も勇者なのかな・・・


「では、我らの砦に向かうとする。歩けないものはいるか?」


 全員が不安そうだ。栄養が足りてない感じだし、裸足だし。


「あの、私の赤ちゃんを連れていってください」女性が一人叫んだ。

「まだ、いたのか・・・よし、連れてきてくれ」オットー様がその女性に頼んだ。


 女性が2人連れだって、走ってさっきの棟に入っていった。そして身重の女性2人と、赤ちゃんを抱えた女性を2人連れてきた。子供も更に数人いる。さっき檻にいれられてた子達だ。


「オットー卿、これは荷車を悪者君に浮かしてもらって連れていくしかないな」


僕は、また修道院長室の続き間にいって、荷車を浮遊させて持ってきた。全員が目を丸くして、浮いている荷車に驚いている。


「さあ、赤ちゃんや、お腹に赤ちゃんがいる人、歩けない人はのってください」


僕らは出発しようとした。しかし、レオン様の姿が見えない。


オットー様が大声で呼んでいる。僕らに緊張が走った。その時、奥の棟から大きなジョッキを抱えたレオン様が現れた。


「おい、オットー、ここのエールはうまいぞ」


まったく、僕らはホッと一息つき、出発した。レオン様は振り返り、あああああ、俺のエールがぁと情けない声を出している。ここでエールが作られていたらしい。魔物もエールが好きなのか・・・ていうか、オーガが好きだったのかな。ますます、レオン様が人間オーガだという説が真実味を帯びてきたぞ。

 ブルーノ神父様が、オットー様と何か話している。僕は聞き耳を立てた。


「卿、さっきリーダーっぽい男が言ってたのを覚えているか?」

「はい、そのほかの方々に食べられてしまうというところですね?」

「うむ。ワシも気になって、その他の連中はどうしたのか、聴いてみたのだよ・・・」

「それで、何かわかりましたか?」

「どうやら、ゴブリンが何匹かいたようだ・・・」

「そうでしたか・・・で、そのゴブリンに関する情報はつかめましたか?」

「あの男に訊いてもさっぱりわからないんだ・・・緑の皮膚の高貴なお方たちは、首領様とお話になられて、猪にのって、肉を取るために、お出かけになりました・・・」


オットー様は考えた。どこかに肉を蓄えていて、それを確保するために、取りにいったのか?猪に乗るとなるか、狩りのようだな・・・


「神父様、見当がつきませぬ・・・」

「ワシもだよ・・・一つ考えられるのは、カール達の動きだ。我らが二手に分かれたことを知り、聖結界を発しないほうを狙って、肉にしようとしたのかもしれぬ」

「しかし、どうやって二手に分かれたことを?」

「大攻勢の時に、空間を渡り歩くことができる、使い魔が何種類かいたことが報告されている。たとえば、悪者君がカルワリオの丘から転移門で現れたときに、ガーゴイルらしきものが見えたと言っていたであろう?あやつらは、赤い転移門を使う。また、魔物猪は、知覚を共有しているという仮説もあったからな・・・ゴブリンは魔物猪を乗りこなしているようだからな・・・」


「神父様、ゴブリンどもの数はいかほどなのでしょうか」

「あの男がいうには、三人の両手と申しておったから、30匹はいるだろうな」

「それは脅威ですね・・・カール達は大丈夫でしょうか」

「戦闘馬車だから大丈夫ではないだろうか。彼らは戦い慣れているから、戦略で乗り切るだろう」

「だと、いいのですが・・・」オットー様は心配な顔をしている。


「オットー、こっちの心配もしないといけないぞ」

「こちらには悪者君がいるから、大丈夫じゃないのですか?」オットー様は、怪訝な顔だ。


「聖結界を恐れるのは、獣型の魔物だ。人型の場合、恐れはするが、却って興奮し、狂暴化するとも言われておる。奴らは、悪魔の眷属から産み出された分、知性がある。そちが、勝てない相手でも愛する者のために敢えて戦いを挑むのと同じようなものだ。彼らは、悪魔の血を引いておる。悪魔はかつて天使だったということを忘れてはならぬのだ」

「すると、彼らは二手に分かれている可能性がありますね」

「さすがよのう・・・知将オットーここにありというべきか?」

「・・・神父様」


 ぼくは、二人の会話を聴きながらも、時々浮遊をかけなおした。万が一切れて落ちたりしたら大変だからだ。あれ、なにか荷車に、荷物が載せられている。あ、エールの樽と細長い陶器製のジョッキだ・・・


 まぁ、オーガを一撃で突き抜いたのだから、ご褒美だよね。


 それからの道中は、大変だった。男性達は、首輪、手枷、足枷、それらを繋ぐ鎖がなくなったので、身が軽いとよく動けた。女性たちは、厨房と醸造所だけしか行動が許されていなかったようで、歩くのが辛いようだ。


 途中で、後ろから何かがついてくることに殿をつとめるレオン様が気づいた。どうやらゴブリンのようだ。緑色の皮膚をした人型の魔物だ。1ダースはいるようだぞっと、そっと呟いた。


 奴隷のリーダーは急にそわそわしだした。オットーに休憩しませんかと話かけている。いやならぬ、街道に出るまでは休めないと答えると、一瞬変な表情をした。それをオットー様やブルーノ様は見逃さなかった。


「どうやら、取り戻そうと追いかけてきたか・・・先回りされる可能性があるとすると・・・」オットー様が考えている。


 既に石の橋は超えていて、元は道だったところを、少しずつ斜面を上っているところだ。こんなに非戦闘員というか、元奴隷さん達が襲われたらどうなるんだろう。取り戻すつもりなら殺されないだろうけど・・・あれ、一番ころされちゃうのは、もしかして僕?


 僕は、軽いパニックを起こしていた。今日は、いろんなことがありすぎたよ・・・特に、オットー様の後ろに隠れていたとはいえ、右腕が切れたオーガが、血をしたたらせながら、斧をもって睨んでいたところとか、いきなり、そのお腹から斧が飛び出してきたとか・・・6歳の僕には強烈過ぎた。


 もう帰りたい。いや、カールさん達と合流したい。確か丘陵地帯の途中まで迎えにきてくれる約束だったよね。ああ、転移門がつかえたら・・・もうカールさん達に会いたい。僕は賢者様が転移門を開いてくれた時のことを思い出していた。そう転移門欲しいなぁ・・・


 転移門、転移門、てんいもーん! あれ、なんだか一瞬だけど、耳のない青い猫型の魔物が見えたような気がする。気が付いたら目の前に白い転移門が出現した。


「おお、悪者君が転移門をだしたぞ・・・どこへつながっているのだ・・・おお、汚い字で、かーると書いてあるぞ。ということは、皆の者この門をくぐれ!止まらずに、歩きぬけるのだぞ」


 みんな、長い間奴隷をしていたので、命令されること、自分で考えないことに慣れきっていたから、どんどん潜っていく。


 あとは最初の4人と奴隷のリーダーだけが残っている。オットー様が言った。

「どうした?潜らないのか?砦に近いところにいけるぞ?休憩したかったのだろう?」


 ブルーノ神父様が、少年のような表情で奴隷のリーダーに訊いた。

「どうしたのだ?転移門が怖いのか?そうだろうな・・・悪魔を弾いてしまう聖なる転移門だからな」


 急に人が変わったように、リーダーの顔が凶悪になっていった。


「さっき、皆に名前を聴いたのだよ。特におぬしの名前がしりたくてのう・・・でも、皆おぬしのことを知らなかった。お主だけが名前がなかったのだ・・・」


 男は苦しそうだ。荒い息をしている。そして、いきなり笑いはじめた。


「あはははは、劣悪な生き物の割に賢いじゃないか」そういうといきなり変身を始めた。


 顔から変化し、角が現れた・・・そして皮膚に鱗が現れ始め、尻尾が生え始め、手の指先からは爪が伸びはじめ・・・次の瞬間に、オットー様が聖剣で切り刻んでいた。


 ブルーノ神父様がため息を吐いた。

「オットーちゃん、早いよ・・・なんという眷属かを見極めようとしてたのにぃ~」


 オットー様は、もうもうとした黒い煙を上げながら消えていく肉塊を見ながら言った。

「申し訳ありません。つい、えっと、切ってしまったのです。以後気を付けます故、ご容赦ください」


 神父様は、立場上、赦してくださいと言われると赦しちゃうそうだ。

 僕は、オットー様が、アグネスさんの真似をして、神父様の見えないところで、てへぺろってしているのを見てしまった。レオン様も見てしまったようで、お互いに肩を竦めて見つめあってしまった・・・


「やつが、オーガたちの首領だったのだな。さぁ、転移門が消える前にいこう」神父様が呟いた。


 そして、僕らは、光の中を潜り抜け、気づくと、戦闘馬車の目の前に立っていた。カールが心配そうな顔をしている。元奴隷の人たちは、馬車の前に体育すわりをしていた。


「オットー様、皆さま、心配しましたぞ・・・」カールは泣きそうだ。もう夕方だった。街道は暗くなってきており、魔物が遠巻きに取り囲んで、日が暮れるのを待っていたような状況だったらしい。転移門が現れるとすぐに魔物達は散ったそうだが・・・


僕らは、元奴隷だった人たちを馬車にのせ、他は歩いて砦へとむかった。


もう、魔物がでることはなかった。



お読みいただきまして、ありがとうございます。

いかがでしたでしょうか。


実際に、モデルとしたこの森に、当時、修道院が三つありました。

ドイツでは、修道士たちによる、森の開墾が盛んでした。祈り、働くという生活をしていました。

日本のブラック企業よりは、環境がよかったようですよ。


まだ、ゴブリンが12匹は残っていますが、彼らは後日再登場します、ゴブリンファンの方、ご期待ください。このあと、この話の後日譚とするか、シャルロッテが砦に来る話とするか、ドミニク神父様のこちらの現実世界の話とするか、悩んでいます、さらに、枢機卿様が例の鎧を持ってくる話もあります。


伏線膨らませすぎた感があります・・・悪い癖です。また、宜しくお願いします、

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