表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
48/293

第51節 シャルロッテとロッテ

こんばんは。推敲してたらアップが遅くなりました。ごめんなさい。

次の日、鉱山口のカウンターでは、大きいアグネスと小さいのが並んで受付していた。二人が、同じ顔なので、皆、驚いている。そして、カウンターの横で看板を抱えて立っている少年と見比べているのだ。

「うーん、やっぱり同じ顔だべ・・・」

「うんだうんだ」

「もしかして、悪者君は、宮宰様の隠し子じゃねえのか?」

「馬鹿おめえ、聴かれたらベルタ姉さんに首刎ねられしまうぞ・・・」


どこの方言なのだろうとシャルロッテは不思議に思っていた。そして、横目でちらちらと少年を見た。確かにお姉さまに似ている。でも、私には似てないわ・・・私はあんなに白くて不健康な肌じゃないもの。


気にして見ているうちに、少年は数人の傭兵達について鉱山に入っていった。


彼らの事が気になっていたシャルロッテは、入山記録用の石板を読んでみた。何、悪者君って、名前ないのかな・・・もしもこれが本当の名前だとすると、もう、なんていうんだろう、親は馬鹿?

あちゃー、空飛ぶザクセン人って何よ・・・痛すぎるわ・・・戦士なのに、本物の馬鹿?・・・シャルロッテにはカルチャーショックだった。口には出さないよう、よく躾けられているが・・・

城塞都市は城だ。その中に住む人との付き合いだけで過ごしているから、会う人すべてが新鮮というか、いや、信じられないというか・・・

公爵様の口癖で、下々のものの立場に立って考えているのかというのがあるようだが。下々というのは、悪者君のような人達なのね・・・王の中の王、皇帝陛下の真逆なんだ・・・下のなかの下、ゲゲゲの悪者君・・・


ほぼ、入山が済んだようなので、アグネスはあとを兵士に任せて、砦にシャルロッテを送っていった。帰る途中、色々とシャルロッテから質問を受けて大変だった。


「お姉さま、空飛ぶザクセン人って、本当に空を飛ぶのですか?」

「うふふ、変でしょ?でも彼らは優秀な武人なのよ。まぁ、空を飛ぶくらい成果を上げて、出世する意気込みを現したかったのでしょうけどね・・・ま、ザクセン人は気性が激しいから、これぐらいじゃないとダメかもよ」

なんだ、それ・・・お姉さまは絶対砦に毒されているわ。ザクセン人であることが恥ずかしくなってきちゃう・・・


なんだか複雑な顔をしているシャルロッテを見て、アグネスは話題を変えた。

「あ、そうそう、この山の頂上には、賢者様が修行のために住まわれていて、この前、お会いしたら、私に、空を飛んでみせてくれたのよ。

ウェセックス王国から来たんですって、サクソン人だっていってたわ。だから私達ザクセン族と元は同じ部族だったのよね」

シャルロッテは目を見開いて驚いていた。確かにそういう魔法があるとは聞いたことはあるが、身近にいるなんて・・・うわ、会いたい、賢者様に会いたいな・・・しかもサクソン族だから、元は同じ部族よね・・・なんだか誇りに思えてくるわ。

「お姉様、ぜひ、私に、その賢者様をご紹介いただけませんか?」

「それが神出鬼没なの。でもね、悪者君のことを気に入っていて、よく悪者君に魔法を指導しているらしいわ」

「えー、ずるい」シャルロッテは口を尖らしている。

久しぶりに幼児独特の理論、「ずるい」を聴いたなと、アグネスは思った。そういえば、私も昔、よく言ったものだ。やはり10歳の差は大きい。


「じゃ、悪者君をご紹介ください。わたくしから悪者君に賢者様に会わせるよう命じます」

「シャルロッテ、ここは城塞都市ではないのだから、そういう言い方はいけませんよ。悪者君は、名前こそ悪者だけど、立派な人物なのよ。敬意をもって接しましょうね」

「えー、平民どころか、下の下の下の、ゲゲゲの下民なんですよね・・・」

「あら、お母様が嫌がるようなことを言うのね・・・」困ったものだ。父上が甘やかすからだろうか。上に立つ者は、いや上に立つからこそ、そのような態度では駄目だ。全てのものに平等に、貧しい者や、やもめは特に庇護し、助けなければならない。それが神の望まれることであり、騎士たる武人の務めだ。シャルロッテが私と同じように騎士の道を目指すのなら、特にそうでなければならない。なにかいい方法はないだろうか。


「シャルロッテ、あなたは悪者君を下民と言いましたが、あの少年は、あの年でもう魔法が使えるのよ。あの子は、敢えて貧しさに身を置き、弱きものを助け、人の土地を悪魔から取り戻すために修行をしているの・・・ブルーノ神父様が仰っていたわ。あの少年こそ高貴なる血、エーデルス・ブルートの持ち主だって・・・」


シャルロッテにはすごくショックだったようだ。深く考え込んでいる。


「ブルーノ神父様によると、あの子は、神聖騎士団の生き残りの一人らしいわ。あなたも聴いたことがあるでしょう? あの子は突然、城塞都市の前のカルワリオに、地獄からの白き転移門で現れ、そのまま、護衛もいなくて、結界馬車にも乗らずに、鉱山街まで一人で歩いてきたのよ」少し嘘があるが、まぁいいだろう。シャルロッテはゲゲゲの下民の悪者君が、実は凄い人だったということに衝撃を受けていた。


そのあと、シャルロッテを砦で侍女アンナに預け、アグネスは持ち場に戻った。あの子は聡明だから、色々と考えてくれることを期待して。


アグネスはお昼ご飯にシャルロッテを誘った。明けの明星亭の個室を予約したのだ。侍女アンナに送られてきたシャルロッテは、すっきりとしたいい顔をしていた。


「いらっしゃいませー」アーデルハイトが聖母像の前で出迎えてくれた。白い子猫が肩の上に乗っている。シャルロッテの顔がものすごく輝いた。

「うわ。子猫ちゃん・・・」

アーデルハイトが反応した。

「かわいいでしょ。この子はシャルロッテっていうのよ」

「私もシャルロッテよ。紛らわしいわ、子猫ちゃんだからロッテと呼ばない?」

アグネスが笑った。ロッテはシャルロッテの愛称だ。父上が家族だけの時にシャルロッテを呼ぶのがロッテなのだ。ロッテちゃんという意味だ。ちなみにアーデルハイトはハイジちゃんだが、誰もそう呼んでくれない。

「えー、どうしてですか?シャルロッテはシャルロッテです」アーデルハイトも譲らない。

「まぁ、ご飯を食べてからお話ししましょう?」アグネスが収拾した。


二人の少女は不満なようだが、猫好きのよしみで、アーデルハイトは、個室に猫のシャルロッテを連れてきてくれた。シャルロッテ嬢の目は子猫に釘付けだ。ロッテ、ロッテと呼んでいるが、それが猫のことだから、なかなか振り向いてくれない。

アグネスは子供の頃に城塞都市にいた、吟遊詩人の歌を思い出した。振り向いてくれない好きな人のことを猫に例える歌だった。あの時はよく分からなかったが、今はよくわかる。

子猫は、いきなり走りだしてコテンと倒れたり、いきなりかみついて猫キックをしたり、とにかくよく動く。足元だと危険だが、テーブルの上だともっと危険だ。


シャルロッテ嬢は、マナー違反の速さで素早く食べ終わり、テーブルの上で、アーデルハイトの貸してくれた猫じゃらしで遊び始めた。無理やり抱っこしようとして、手をひっかかれていたからアーデルハイトが気をつかってくれたのだ。抱っこしたいのはアグネスもそうだ。できればアーデルハイトのように肩に乗せたい。


その夜、父上は、シャルロッテ嬢の子猫が欲しい攻撃に晒されたらしい。公爵軍最強の名高き武人も愛娘のおねだりには弱い。


次の日、アグネスは朝から妹シャルロッテから、陳情の嵐にあっていた。整理すると以下の三つに集約される。

1)ロッテに会いたい、遊びたい

2)父上に頼んで子猫をもらえないか

3)侍女アンナが、シャルロッテ様の手の傷についてクレームを言ってるがどうにかならないか。


 小さな嵐が砦の中で起きている。アグネスはそう思った。


とりあえず、また今日の昼も明星亭で食事をすることになった。そして、父上には、決してアーデルハイトから子猫を召し上げることのないように釘を差した。下らぬことで名声を損ないませんようにと告げた。アンナには、お母様にアグネスが手紙を書くことで対処することにした。

なんだか行政官の気持ちがよくわかる。


食事のあと、シャルロッテ嬢は、アーデルハイトと遊ぶことにした。少年のことを下民呼ばわりしていたが、アーデルハイトも同じ程度に立派な下民だ。

親もおらず、家もない。それが、シャルロッテには関係ないらしい。猫のパワーは恐ろしいものだ。


後で聴いたところによると、そのあとは、宿屋の納屋、つまり、藁の保管庫である、アーデルハイトの家で、ずっと遊んでいたらしい。シャルロッテにはいい勉強になっただろう。同じ年の子が、何も持たず、そういうところで寝起きしているのだ。でも、子猫と暮らしている。それだけで、幸せなのだ。

アグネスだって、別の人生があったろう。バイエルン貴族ヴィッテルスバッハの養女になったのだから、向こうで暮らすという選択肢だってあった。むしろ、女であるからこそ、軍人としてではなく、リウドルフィング、つまり、ザクセン貴族の血脈を残すという道もあったはずだ。

しかし、アグネスには、高貴な血が流れていた。神からの賜物だ。

聖書には、タラントのたとえ話がある。主人からお金タラントを預かった話だ。つまり、沢山お金を預かったものは、それを使ってもっと増やして、主人に返さなければならないという話だ。お金とは、実はゲルマンの言葉でもタレント、つまり才能を意味する。

才能、つまり、アグネスでいえば、高貴な血だ。これを主人である神より預かったのだから、これを使って増やして貢献しなければならない。


アグネスは、鉱山口の帰りがけに、宿屋の納屋に寄って覗いてみた。子猫と遊ぼうという下心もあったのだが、残念ながら誰もいなかった。明星亭に寄ると、アーデルハイトがいて、子猫もいた。シャルロッテ嬢はと尋ねると、9時課の鐘が鳴るころにはいなくなっていたらしい。アグネスは砦に戻り、貴賓室を覗くとアンナ以外はいなかった。自分の部屋にもシャルロッテ嬢はいない。アグネスは青くなった。いや、鉱山には行ってないだろう。ここで行方不明と騒ぐのは悪手だ。着替えてからもう一度来たルートで戻ってみた。

やはりいない。もしやと思い、鉱山口に戻ったが、兵士たちは見てないらしい。

ちょうどカール達と一緒に戻ってきた悪者君とあった。遠くで見ると妹かと見間違うほど焦っているアグネスだった。もう食事の時間だ。席についていないと、大騒ぎになる。そして、今日の一件からも、責任はアグネスにあるといってよい。


 父のことを、シャルロッテを甘やかしていると心の中で批判したが、実は自分もそうだったのではないか。まさか最悪の事態とまではいかないだろうが、悪魔の奸計はどのように襲ってくるかわからないのだ。アグネスは焦燥感に苛まれていた。


いかがでしたか?

お読みいただきありがとうございました。


私は猫3匹と暮らしています。餌代大変だけど、もっと多くのものを猫たちからもらってます。

そのうち、猫を主人公にした小説書きたいなぁとも思っていますが、今は、この話にはまってます。


週末はもっとアップしたいと思っております、今日は5話ぐらい先を、むふぅといいながら、興奮して書いてました。明日も宜しくお願いします、

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ