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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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第71節 砦拡張工事始まる その6

おじいちゃんが再登場です。次々あかされ秘密に目が離せませんよ・・・


 次の日の朝は、砦に呼ばれていた。今は集合場所の近くに部屋があるから、楽だよ。


 そう、馬車で、オットー様やマイスターさん達と昨日の現場に行くことになっている。今日はブルーノ神父様も、レオン様も一緒だ。馬車二台に分乗している。

 前の馬車は、オットー様の従者が御者で、マイスターさん達と、砦の偉い人ふたりに、僕だ。

オットー様は単独で馬にのっている。後ろの馬車の御者はレオン様の従者が手綱をにぎって、空飛ぶザクセンのメンバーがのっている。少し細かい雨が降っているけど、今日の馬車は天蓋付きだから濡れなくていいね。僕はマントを持ってないから、寒い時とか雨の時困るんだよね。そういえば、この服も修道院でもらった服だ。なんだか白だっはずだけど、今は不思議な色で不思議な模様の服になってしまった。

 ドミニク神父様とか元気かな。また会いたいよ・・・


 そう言えば、フィリップさんは、朝には、もう砦に居なかった。あの人、本当に神出鬼没っていうのかな、凄いよね。次の遠征は、馬車だって言ってたから、道が治らないと始まらないかな。それを考えると僕の胸はチクチク痛むのだ。責任感じている。


 しかし、馬車は速いよね。昨日2時間掛かったのに、もう橋のところに着いたよ。この先は馬車を方向転換させて待機できる場所がないから、ここからは歩いて行くことになった。まぁ、ここからは近いから、苦にならないし、今日は荷物もないしね。重いのは僕の心だよ・・・いじけモードになりそうだ。


 歩いているうちに雨が止んで、お日様が出てきた。助かるよ。オットー様が、結構濡れている僕をみて、使徒殿は、マントが必要だなって呟いた。


 うは・・・すぐに、惨状が見えてきた。レオン様が笑った。


「使徒殿、これは酷いぞ。わははは、今、お主を、敵に回したくないと心底思ったぞ」


 ブルーノ神父様は、この魔法は、外でないと発動しないのだろうな。理論上そうだろう。実験は危険すぎるのでできないが、魔法工学的に一定の高さ方向の空間がないと成り立たないはずだなんて、ぶつぶつ言っている。神父様が魔法って言っていいのかな。


オットー様は、ますます、お主を砦から他所にはやれなくなったな。これは、凄い戦力だ。ふはははは、だって。その笑い方、なんか魔王オーラでてますよ。


マイスターさん達は、色々スコップで掘ったり、ハンマーで地面をたたいたりしている。そして、オットー様に話しかけてきた。


「オットー様、復旧範囲は、元の道路幅でよろしいですよね。見たところ、路盤迄はやられてないところが多いので、そんなにかからないでしょう。左右の路肩は、酷い状態ですが、道路に関わるところだけの応急修理で、やらせて下さい」

「街道の方はそんなに傷んでないのか?」

「そうですね。しっかり締め固めていたようですし、石も良かったようで、強度が高いようです。いい仕事しています。路肩は何もしてないので、やはり弱く、凄く抉れてます。でも通行に支障がないので、直すこともないでしょう。砕石や、ぐり石の量を計算しましたので、砦にあるストックを利用すれば、すぐに工事できます。砦の工事を止めて、一週間で片付けましょう」

「わかった。砦の材料は自由に使ってくれ。あと使徒殿もな」

「ありがとうございます。では、すぐに戻って段取りしたいのですが、よろしいですか?」

「わかった。すぐに戻ろう」


 僕らはすぐ砦に引き返した。もちろん、橋のところからは、馬車だから、すぐについたよ。


 第3門のところで解散になった。石工さん達は、工事の準備を始めた。大き目の石だとか、小さい石とか量を量って積み込むらしい。職人さんが集められて、すべての工事をストップすることが宣言された。


 うは、突貫工事だから、参加したものは給金2倍とかいっているよ。みんな目の色が変わってきたよ。職長さんのような、すこしエラそうな人が確認してた。使徒様がついてきてくださるんですよね?じゃなきゃ、俺はいかね・・・それを聴いて、僕は我慢できなくなって大声で叫んでしまった。


「いきます。あの道を滅茶苦茶にしたのは、僕なんです。僕のためにすみません。お願いします」

「よっしゃ、そうなったら、死ぬ気で頑張るぞ、いいな、おめえら!」

「応、親方、任せてくれ」皆が口々に叫んでる。

「お金2倍だからな、魔物は使徒様がやつけてくれるし、死んでも使徒様が生き返らせてくれるから、何回死んでもいいぜ」


 こまったことを言ってるよ・・・この人たちも、ザクセン族なんだろうね。勢いとやる気というか、血気盛んなところは、一族の血がなせるものなんだろうね。あれ、僕さ、ザクセン王朝王家の王子なんだそうだけど、意外と温厚だし、バーサーカーみたいなことはないよね・・・


 おかしいな・・・あ、そういえば、ドミニク神父様もザクセン貴族だったよな・・・あんな優しくて、知性と教養に溢れた、愛の人だよ。やはりさ、ザクセン族も種類があるんじゃないの?


 僕は、間違っても、バーサーカーみたいな、レオン卿とは違うと思う。たぶん、ヴィドキント様の血が濃いんじゃないかな。あのお方は、カトリックに改宗してからは、戦を好まず、黒い馬から白い馬に乗り換えて一切戦乱から手を引いて、隠居していたような人だからね・・・あの族長さまがいなければ、いまごろは、僕も存在しないわけだよ


さて、じゃ、資材がそろったら工事に出かけるらしいから、それまでに、腹ごしらえしておこうっと。


僕は、第2門を超えて、明星亭へ向かった。


あれ、あ、おじいちゃんだ。なんだか物陰に隠れて、じとーっとこっちを見ている。

なにかあったのかな・・・とりあえず、挨拶しよう。人間の基本だよね。


「賢者ウィンフリート様、こんにちは。お待ちしてましたよ。ずっと来てくれなかったから、寂しかったんですよ」

賢者様は、おっほんという咳払いと共に、物陰から出てきた。まだ、機嫌が悪そうだ。

困ったなぁ。ご機嫌取るのも正直面倒くさいしなぁ・・・よし、直接聴こう。


「賢者様?」

「な、なんじゃ?」

「忙しかったのですか?なんかお疲れのようですよ・・・」

「いや、そうでもないぞ」

「じゃ、どうしてご機嫌が斜めなのですか?」

「そ、それは、お主がワシを呼んでくれないからじゃ」拗ねてるのか・・・


「そ、そんな、心外です。いったい、いつのことですか。私は時々、あ、いや、いつも、心の中で、賢者様に会いたいなって思っているのに」

「賢者じゃなくて、おじいちゃんだろ?ワシは人の心も読めるのじゃぞ。なにしろ聖人なんだからな・・・」

「そういえば諸聖人の連祷にはお出にならないですね」

「あ、傷ついたぞ。ワシのちいちゃなハートが傷だらけになった・・・

 この前だって、聖ミカエル様を呼んだ時だってそうじゃ・・・気を利かして、ワシの名前を呼んでくれるんじゃないかって、ミカエル様と賭けをしていたのに、負けてしまったわ」


 なるほど、あの時だ。確かに、僕が唱えたヴァージョンの連祷には、聖ボニファティウス様はのってなかったよ。


「え?連祷の祈祷文って、勝手に書き換えていいのですか?」

「いいのじゃよ。取次をお願いしたい聖人がいたら、付けてもよいのじゃ。元司教のワシがいうのだから、大丈夫じゃ」


「・・・そうだったんですか・・・それは申し訳ありませんでした」


「いいの、いいの。メンバーが豪華すぎると、ワシも浮いちゃうからのぅ。


 しかし、お主、腕をあげたのぅ。おどろいたぞ」

 おじいちゃんの機嫌も直ってきたようだ。ほっとしたよ。


「もしかして、隕石ですか?」

「うむ。そうじゃ。あれはものすごいエネルギーを使うからのぅ。エーデルス・ブルートが不足すると、発動せんし、弾数もすくなくなるからな。ま、お主は、大丈夫だが」


「賢者様、最近、僕、結界を広くしたり狭くしたりができるようになったのですが、物凄く狭くとか、結界そのものを止めるとかできないのでしょうか?」

「ああ、お主が結界を自在に伸ばしたりできるようになったのは、感じたぞ。で、全くゼロというのは、無理なのじゃ」

「そうなんですか・・・」僕はがっかりした。ポーターとして、迷宮にいくことができないからだ。だって、僕と一緒にいって、魔物が出ないと探索にいく意味ないものね。


「あのな、死ねばゼロにできるぞ・・・」

「え?そ、そんなぁ」頭を殴られたような衝撃だ。


「じゃろ、結界を造るためのエネルギーはなんじゃ?」

「エーデルス・ブルートです。つまり血液に含まれる力ですよね」

「そうじゃ、血液が流れているということは、生きていること。つまり、生きている限り、お主は、結界を止められない。まぁ心臓を止める術はあるがの・・・そう長くは無理じゃ。  


そもそも、人は皆、生まれながらに、聖結界を張っているのじゃよ。


その大きさが皮膚までだったり、筋肉までだったり、もっと小さかったりするのじゃ。結界の大きさは、エーデルス・ブルートの濃さに左右される、その日の体調もある、精神状態もある、聖性の高さ低さもある。忘れてはならぬのは、我らの主に、お祈りするとどんどん大きくなるのじゃぞ。

 いずれにせよ、この結界が、悪魔や悪霊の体への侵入を防いでおる。意外じゃろ?」

「はい、驚きました。想像もしていませんでした」


「祓魔師の中には、これを使って悪魔を苛めたりして、追い出したりしておるぞ」

「へー、勉強になります」


「おいおい、お主は、地獄で170年ぐらい戦ってきたのじゃぞう?すでに、いい払魔師になっていると思うがのぅ」

「・・・え?なんですか、それ?」

「いや、なんでもない。秘密じゃ、ひ、み、つ・・・このあとどうなるかは、この世界の決めることだし、向うの世界が危機に陥れば、お主が向うにいかなければならないかもだしのぅ。ミカエル様も策士よのぅ。まぁ、ルシフェルの出方次第じゃろ」


なんか今、核心に迫るような情報じゃなかった?


「さて、本題じゃが、身体の表面にて止めるのは、いつか地底湖で見せたじゃろ?そうすればいいのじゃ。魔物が出すぎてこまったら、広げる。少なければ戻す感じじゃ。しかし、お主の場合、その痣があるじゃろ?それの力も同時に止めないといかん。複雑なのじゃ」


うーん、かえってわからなくなってきたよ。

「おいおい、わけがわからんっていう顔じゃの?」

「はい、わからないんです。この痣は、エーデルス・ブルートを増やすための、垂れ流し穴なんですよね?」


「ま、そうでもあるが、そうでもない。まてまて、変な顔するな。順を追って説明する。まず、その痣は、ちびっ子の時は、訓練用じゃ。許容量を増やす目的じゃ。しかし、ある程度力がついてくると、今度は、効率よく変換する働きをするようになる。そして、増幅することもできるようになる。その痣をよくみるとわかるのじゃが、ある種の魔法陣なのじゃよ。魔法というと、怒られるのじゃろ?だが、ルシファーが天使だったように、本来は同じものじゃ。かなり高度な魔法陣なのじゃ」


うーん、謎だらけだよ・・・


「おっと、ガブリエルさまより、連絡じゃ。うはぁ、すぐに参りますぅ~

じゃ、またの」


あらら、いっちゃったよ。おじいちゃん、逃げ足は天下一品だよね・・・


あっけにとられてフリーズしてたら、職人さんがやってきて、僕は浮遊を掛けにいくことになった。



いかがでしたか?


新しいスピンオフ小説始めました。この小説にでてくる、現実世界のドミニク神父様が主人公です。

『神聖祓魔師 聖ミカエルの戦士達』です。ベネディクト・カンバ―バッチが演ずる、ドミニク神父様をはじめとする、群像劇の予定です。よかったらお読みくださいね。読まない人は地獄の業火が待ってますよ!なーんてね・・・しかし、ザクセン族は凄いですね・・・この小説では、ザクセン族とバイエルン族が活躍しています。1000年ごろは、まだ、フランク族とか、一族の感覚がまだ残っていたそうです。一応、スピンオフと本編を交互に更新したいと思っております。どうぞ御贔屓にしてやってくださいませ。

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