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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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第71節 街道の探索と戦闘 その4

すみません。戦闘ありません。砦の会議です。

クラウディアさんとアポロニアさんの二人は、魔封じの箱をまた、うんとこ、うんとこ、運ぼうとしたので、僕が浮遊をかけた。

「あ、ありがとう、悪者くん、ごめん、使徒様だった・・・えへへ」

 なんだか、クラウディアさんって、可愛いね。ちょっと、キュンってきちゃったよ。料理の腕が普通ならいいのだけど・・・


 最近の浮遊は、浮かぶ高さをコントロールできるようになってきたので、今回は、地面から1メートルぐらいね。あれ、アポロニアさん押さないで乗っかってない?

「あ、ずるい、アポロニア・・・私も乗ろうっと」二人とも箱に腰かけちゃったよ・・・

「あの、それだと進まないよね・・・え?僕に押せって?」

そこにクリスタがやってきた。状況を見てとった彼女は、ある提案をした。

「じゃんけんで、押す人決めたらいいじゃない?」

クラウディアさんが、やるやるって乗り気だ。子供じゃないんだから仕事してよ・・・


「シュニック・シュナック・シュヌック!」(はさみ、石、紙)


「勝ちい~」クラウディアさん、じゃんけん強いよ。僕らは30歩歩いて押した。そしてまたじゃんけんして・・・気づいた。アポロニアさんもクリスタも、最初に紙を出すんだ。長い付き合いで、アポロニアさんの癖を知ってるんだね。4人でやってると、そう簡単には勝てないだろうけど、最初に相手が出すものが決まってるから、確率は高い。


 そういうわけで、結局、クラウディアさんがずっと箱の上をキープした。でも、最後はブルーノ神父様に見つかって怒られたよ・・・お尻が呪われるぞってね。

謎だ。呪われたお尻はどういう風になるのだろう・・・クリスタにこっそり聞いたら、お尻が大きくなっちゃうとか、う○こが出なくなるとか、そんなんじゃないかな・・・さすが、ちびっ子の回答だ。


ブルーノ神父様に解呪してもらうまでもなく、呪われていなかったらしく、なんだ、無駄足だぁとか言って、またクラウディアさんが、怒られていた。正しい取扱をしないといつかは痛い目に合うってね。


僕らは、そのまま、神父様にくっついて、執務室までいき、会議に参加した。


会議といっても、フィリップさんから、オットー様への報告会みたいのだった。ところどころで、関係している人が質問されて説明するような感じだ。質問は特に僕に集中したので、辛かった。


隕石の呪文とか、どうやって覚えたのか、どうやって魔法書を空中に出したのか、そして、その書物はどこにいったとか、僕だってわからないんだもん。ムリ。

すると、ブルーノ神父様が、僕の話を聴いて、助け船を出してくれた。


「その現象なら、いくつか聴いたことがある。まず、頭の中で書物をパラパラめくって探しているページを出すことだが、これと同じことができる聖職者は多い。祈祷書だとか、聖書のすべてを把握していればできる。しかも、より具体的にパージが頭の中にヴィジョンとして現れるのだ。まぁ、それだけ見ているし、勉強しているからだろうな。夢の中で、そういう経験はないか?妙にリアルな本を見たり触ったりする経験。あれと同じ感じなのだよ。それが、夢の中だけでなく、日常でできるようになるんだ。まぁ、神様の恩寵でないかなぁ・・・


そして書物の具現化だが、そこまでとなると、もはや聖人なみの能力だよな。使徒殿の凄さがわかる・・・

これに近いもので、ロザリオが手の中に飛んでくるとか、ストラが飛んできて首にかかるとか、時々あると聴いている。特に十字架が知らないうちに手のひらにあるなんていうのは、私でも経験している。え?ぼけているだけだって。馬鹿もん!


ワシの場合はそうかもしれぬが、神学院でみたことがあるんだ。まだ、ワシが若くてな、美青年だったころだぞ。おい、アポロニア、信ずるものは救われるのだ!えっと・・・

エクソシストの先生だったよ。悪魔祓いの実習だったんだ。昔はそんな実習は無かったらしいが、今はこんな時代だからな。それでな、単なる模範演技中に、まさか急に悪魔が出てきたんだ。びっくりしたぞ。ワシは悪魔が好みそうな美青年だったからな。危険じゃったのだ。クラウディア、笑いすぎだぞ。

そのエクソシストは、何も持っていなかったし、ポケットに手もいれなかったが、目の前に十字架を出しよった。信じられなかったが、事実だ。多分、原理的には近いのではないだろうか。その十字架は、聖ベネディクトゥスの十字架だった」


ブルーノ神父様は、話を続けた。さすが話出したら止まらない、砦で一番話が長い人だけはある。

「大天使が現れたというのは、素晴らしい!の一言に尽きるだろう。

フィリップ殿もご存知であるかと思うが、うちの騎士、オットー卿にも、聖ミカエル様は、お姿を現しになったことがある。かの大天使が、天の大軍の指導者である以上、我ら天の最下層の兵に対しても目をかけてくださるのだろう。しかし、流石は我らザクセンの使徒殿だよなぁ」

神父様はそこで、少し黙った。皆んなその先を聴きたいものだから、前のめりだ。

「あ、すまん。そこで言いたい事終わり」

皆んな前のめりだったので、前に倒れそうになったよ。もう。


「あれ、おぬしら、ワシの話が長いと普段文句を言うくせに・・・まぁ、敢えて付け加えるなら、すごい点は、その場で召喚してしまったということだろう。聖人になる事が目されている聖性の高いものであっても、そこまではできない。オットー卿だって、お告げによって、わざわざ出現で有名な聖地まで巡礼したからな」


「神父様、私の話はやめてくれ。頼む」

「なんだ、恥ずかしいのか?オットー卿」

「いや、本題から・・・その・・・逸れるからだ」

そうは言うものの、なんかオットー様は恥ずかしいようだ。話がそれたらそっとふーと息を吐いていた。


「まぁ、死者の魂を天に運ぶのは、聖ミカエル様の仕事らしいから、いずれにせよ、カール達のために、そこに来たのだろうが、明らかに神様のお言葉を伝えてくださっているから、次いでに現れたのではないだろう。


あと、カール達、復活組だが、恐らく死ぬ事で全免償を受けた事だろう。まぁ、殉教したんだな。せっかく天国に行くチャンスだったのだが、やり直しだな。頑張ってくれ」


天国に行くチャンスと聴いてアポロニアさんが、しまったって顔をした。

「せっかく積んだ徳が、全部パーですか?」アポロニアさんが訊く。

「多分な。せっかくお花畑で、大天使を待っていたわけだが、連れて行ってくれずに、生き返ったのだから、そこでチャラだろう。というか、殉教だから、いきなり全免償だ。だから、今までの徳もなにもない。十字架刑の横にいた悪党が一番丸儲けだがな。アポロニアは、その4人の中では一番損したな・・・」

「そ、そんなぁ」

「まぁ、生まれ変わっただから、やり直しだな。まぁ、告解したいものはいつでもワシに言ってくれ。いつでも悔い改めて、回心する事が大切だぞ。そして善行で天に徳をつむのだ。まぁ、砦で一番貧しい使徒殿に施しをするのも天に積む徳だぞ」

「はい」アポロニアさんは、天国に行くのが目標だったのか。僕は何も考えてなかったな。しかし、今の話は魅力的だ。僕はどんどんご馳走してもらえる明るい未来を思い描いて、むふふふだった。


フィリップさんも、二人の聖職者のやり取りを見ながら、微笑んでいたが、急に思い出したことがあったようで、僕に向かって話してきた。

「使徒殿、邪眼について、訊きたいとか申しておったよな」

クリスタの表情が曇った。動揺しているのがすぐ分かる。フィリップさんと二人きりで話そうと思ってたのだが・・・失敗したよ。


「どうした?使徒殿は、邪眼の力まで持っているのか?」

「いいえ、よく知らないので教えて頂けたらと思っていました」

「うむ。邪眼の力を持つものは、実は多い」

皆、驚いている。クリスタは、少し安堵したようだ。


「実際、人を呪いたくなるような気持ちで見るだけで、ある程度呪いの力が働くといわれている。羨ましいとか、あの人だけずるいっと言ったような気持ちは、軽い呪詛の力を生んでいる。しかし、一人一人の力なんて大したことはない。あまり気にしなくてもいい。蓄積することもあるから、あまり人に酷くしないことだ」


「いや、困りました。少し前、悪者君とか言われて、よく怖い目で睨まれたことがあったのですが、大丈夫でしょうか」

「ああ、それは呪詛の力ではないだろうな。相手は女の子だろう?」

「あ、はい。そうです」

「それは、愛されているのだよ。ちゃんと優しくしてあげないと、刺されるぞ」

怖いことを仰いますね。ちょっと待って、アーデルハイトだとか、シャルロッテ様は、僕をよく睨んでいたけど、そうなの?


フィリップさんはにやにやしながら、僕をみている。なんだか顔が熱いよ。


「あ、そう言えば、この前枢機卿様がいらしただろう?街で、お付きの司祭が邪眼について聞き回っていたらしいぞ。オットー卿、ご存知か?」

「はい。枢機卿様からは伺っていました。もともと、この地域に、邪眼の力を持つ一族がいるらしいとのことです。悪い意味ではなく、保護したいらしいとか」

「ほう?如何なる目的か、卿は、ご存知か?」

「いや、存じませぬ・・・」


ブルーノ神父様が急に発言した。

「それについては、ワシが話を聞きましたので、お答えしましょう」

「おお、神父様、忝ない。お願いします」


「邪眼の力といっても、邪な力ではないそうだ。勿論、能力差があるようだが、すごいものになると、相手を焼き殺したり、凍らせて砕いたり、場合によっては、見たものを投げたりできるとのこと。しかし、邪眼の本当の力は、見通す力であり、見抜く力だそうだ。よく慧眼というが、あれは、未来を見る力らしい。また、悪魔を見抜く力でもあるそうだ」

「なるほど、ベルンハルト様は、そこに注目しておられるのだな」


ふーん、クリスタ、どうする?気になって、クリスタの顔を見たが、下を向いていてわからないや。


一瞬、沈黙が続いたが、ドアをノックする音で、一同がドアの方向をみた。

「お食事の用意ができました。いかがされますか?」


おお、お楽しみタイムだ。大人達は隣の食事室で、僕らちびっ子は執務室の打ち合わせテーブルで食事となった。狭いからね。でも、クリスタと二人きりになれて良かった。話ができるからね。


「使徒様?私、怖いのです」

「ああ、ゴブリンの件でしょ?」

クリスタは、うんうんと頷いた。でも、食事は止まらない。そういう僕も咀嚼活動真っ盛りだ。

「さっき話していたことは、もぐもぐ・・・全てできるわ。

死んだ母さんからは絶対人に見られてはいけないって言われていたから、秘密にしていたけど。あと、女には見られてもいい。女の言うことはどうせ戯言扱いされるから放置してもいいって。よく考えると酷いよね。ガブガブかみかみ・・・でも、相手が男なら、殺すか、結婚するかだって。だから、うんぐ・・・使徒様、私と結婚して下さい」


クリスタ、肉にかぶりつきながら、いきなり話す内容じゃないし、怖いよ。


「それって、秘密を守るためでしょ?もぐもぐ・・・君の秘密を知ってどうするかで人間性がわかるし、一緒に生きて行く人と秘密を共に守るためだと思うな。もぐもぐ・・・お父さんにも訊いたら?多分、お母さんの力のこと知っていると思う」


クリスタは、なるほどって顔していた。ベルンハルト様が探しているってことは、恐らくだけど、悪魔を見抜く力が欲しいのかな。ちょっと気になったけど、未来を見通す力は、どうなのだろう。結婚する相手とかわかるんじゃないの?僕はクリスタに聞いてみた。

「自分に関係することは、見えないの。ガブ。未来は、見たいと思ってすぐ見られるわけじゃないのよ。もぐもぐ。ずっと考えていると、ある時急に見えてくるのよ。うんぐ。子供の頃は、急に見えて怖かったわ。見えるものが何なのかわからないから、意味ないし。ガブ


・・・ねぇ、使徒様」


「どうしたの?」

「冗談ぬきで、使徒様は、私と結婚してもいいと思いますか?」


クリスタ、顔が赤いよ。あれ、僕も顔が熱い。特に耳が燃えているみたいな気がする。


「でも、ライバルが多いから大変」

え?どういう意味だろう。それからは、なんか気まずくなって、二人は無言で食べた。食事の終わりに、気になっていることを訊いた。


「クリスタは、ベルンハルト様のところに行きたい?」

「わからないわ。でも聖職者にはなれないわ。この力を受け継いでいかないとだから。何故か女だけに伝わるらしいの。だから、女の子が生まれまで生み続けるんだって。呪われた一族よね」


そうなんだ。クリスタも大変だね。そういうと、クリスタは、使徒様の方がもっと大変だよ。見ていて可哀想だもんだって。まぁ砦一貧乏に認定されたけどね。今は部屋もあるんだぞ。


クリスタと結婚か。悪くないよね。神父様は、僕を聖職者にしたいみたいだけど。


僕らは解散し、部屋に戻った。部屋に帰ると、猫達が僕のベッドを占領してた。寝るところがなくて大変だったよ。

いかがでしたか?


おじいちゃん、次回になってしまいました。

宜しくお願いします。

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