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大好きなBL小説の悪役令息に転生したので改変せずに、ふたりの行く末を見守りたいと思います。  作者: 燈坂 もと


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ディルクへ贈ったアルフレッドの書簡

ディルクが引き篭もっていた間にアルフレッドが送ったお手紙三通の中身です。



 親愛なる、ディルへ。



 体調はその後どうだろうか。


 あの日、ほんの少しだけ近づけたと思った距離が……今はまた霧の向こうに離れてしまったようで。

 それでも君の力になりたくて今朝、馬車で迎えに行ったところ体調不良だとテスター殿に伺って、心配でしょうがない。

 体調を崩した原因が分からないまま君の姿を見ることができなくなって……君に逢いたいというこの想いだけで今、私は筆を取っている。


 そんな自分が、情けなくて仕方がない。


 テスター殿より今は面会が叶わぬと伺った。

 それでも門前で立ち尽くすしかできなかった自分の無力さが情けない。


 私は気付かぬ内に君を傷つけてしまったのではないかと、何度も思い返した。

 けれど、テスター殿は「今は心身ともに休息が必要でございます」とだけ告げられて。

 私は理由を深く尋ねることは憚られたため、一度帰宅をした。


 私の言葉が君をさらに苦しめることになってはならないと思うほど、何を伝えるべきか慎重になり、筆を取っては置き、また取り直すことを繰り返して……しかし、こうして文章を認めないとおかしくなりそうで筆を取っている。


 どうしても君に、伝えたいことがある。


 君の体調が、心の底から心配なんだ。


 君が沈んでいると聞けば心配するし、伏せっていると聞けば駆けつけたいと思う。

 その気持ちが君の負担になっていないか、と、とても気掛かりで。でも、自分自身でも止めることが出来ないのだ。もし、負担になってしまっているのなら……申し訳なく思う。


 君が我がローゼンフェスト公爵邸に初めて訪れたあの日、ガゼボ周辺に咲き乱れたベゴニアの花。

 それを花束にしてテスター殿にお預けした。花を贈ることが君の心を少しでも和らげる一助になればと願ってやまない。


 回復を急がなくていい。

 君の心がゆっくりと落ち着くのを待つ時間くらい、私にはいくらでもある。


 私はここにいる。 呼ばれれば参るし呼ばれぬなら静かに遠くから見守る。


 君が再び顔を上げられる日を、心より願っている。


 

 君を常に傍に感じていたい。

 この想いが君に優しく届く事を願っている。



 アルフレッド・ローゼンフェスト



* * *




 親愛なるディルへ。



 体調はその後どうだろうか。


 テスター殿より、今日も面会は叶わぬと伺った。君の体調が優れぬとのことで、どうかこの書簡が負担にならぬよう願っている。


 昨日、筆を置いたあとも、君のことが頭から離れなかった。何か私が気づかぬうちに君を追い詰めてしまったのではないかと、考えても答えの出ない問いを胸の内で何度も繰り返してしまう。


 テスター殿は「本日は昨日よりも静養が必要でございます」とだけ告げられた。

 その言葉の裏にどれほどの苦しみがあるのか、想像することしかできない自分がもどかしい。

 君が伏せっていると聞けば、駆けつけたいと思う。けれど、私の存在が君の心を乱すのなら、距離を置くべきなのだと自分に言い聞かせている。


 昨日預けたベゴニアの花束は、君の部屋に届いただろうか。花を贈ることしかできない自分が情けないが……それでも、少しでも君の心が和らぐ一助になればと願う。


 君が休息を必要としているのなら、どうか焦らないでほしい。心が沈む時は体も同じように重くなるものだ。それは決して君の弱さではない。

 本来なら君の横で、君に寄り添い……君を見守り続けたいが、叶わない願いに胸が締め付けられそうだ。

 

 私はここにいる。呼ばれれば参るし、呼ばれぬなら静かに遠くから見守る。


 明日、少しでも君が楽になっていることを願っている。



 君を常に傍に感じていたい。

 この想いが君に優しく届く事を願っている。



 アルフレッド・ローゼンフェスト



* * *




 親愛なるディルへ。



 体調はその後どうだろうか。


 テスター殿より、今日も君は部屋から出られぬと伺った。その知らせを受けるたび、胸の奥が締めつけられる。


 君が伏せっている理由を、私は知らない。けれど、君が自分を責めているのではないかと考えると、どうしようもなく心配になる。


 テスター殿からは『ほぼ完治はしているけれど、明日のために大事をとって休んでいる』旨と『大事をとっているのに貴方様の想いの籠ったこの長ーい書簡に返事を書くために、ディル様も長~く机に向かわねばならないので、体力を使わせたくないため、書簡はこの契約式が完了したらディル様にお渡しします』と告げられた。

 明日は、婚約の契約の日。

 通常なら、一か月はかかるであろう日程調整を、父上に頼み込み早急に整えてもらった。


 早く、君の……正式な婚約者になりたい。


 今日はベゴニアを一輪、テスター殿に託した。花束ではなく、一輪だけにしたのは、君の負担にならぬようにと思ったからだ。

 それが君の枕元にそっと置かれ、少しでも心を柔らかくしてくれるなら、それだけで十分だ。


 

 私はここにいる。君が望むなら、いつでも参る。君が望まぬなら、ただ静かに見守る。

 明日、君が少しでも楽になっていることを、心より願っている。




 君を常に傍に感じていたい。

 この想いが君に優しく届く事を願っている。



 アルフレッド・ローゼンフェスト






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