第54話 ピザを作って試食させてみた
パーティーまであと三日。今日は早めに食堂を閉じて、パーティー料理の試作を作っていた。
今作っているのはピザだ。クリスピー生地なんかもあるけど、今回はオーソドックスなタイプで作ることにした。何事も基本が大事ってね。
無事に発酵し終わって、これから生地を広げる作業に入るところだ。
本場のイタリア人が作るみたいに、生地を空中で回しながら広げるのには憧れるんだけどねぇ。失敗する自信しかないし、ここは安定択を取ろう。丸くまとめた生地の内側から、外側に向かって生地を押し広げていくことにした。
「面白い生地の広げ方するんだな」
「まぁね。でもピザはこうして広げた部分に、ソースや具材を乗せて焼くものなんだ。アレンジ次第で色んなピザが作れるんだよ」
「なるほどなぁ。しっかし、パンを皿代わりにするやんてな。そんなの思いつかなかったぜ」
そうだろうねぇ。もしこの発想がすでにあったなら、似たような料理があっただろうし。そう考えると、日本と異世界の違いがよくわかるよ。
いや日本はとりわけ食に関しては関心が高いから、色々と作るし時には魔改造したりするけど。まぁ今はそんな話題は頭の隅に置いとくとして。
広げたピザ生地に自家製トマトソースをたっぷり塗って、モッツァレラチーズによく似たミルクチーズってのを乗せる。そしてバジリーコを散らしてオリーブオイルを回しかけてから……。
「ビリス、お願い」
「おうよ」
盛り付けたピザ生地を石窯の中に入れて、焼きムラが出ないようにビリスに生地を動かしてもらいながら、三分ほど待つ。
「そろそろ出していいよ」
「わかった。……おおっ、うまそうじゃねぇか!」
ビリスの言う通り、めっちゃ美味しそうに出来てる! チーズとソースがぐつぐつ音を立てて、ピザの耳の部分はこんがりとした焼き目がついてて、トマトソースとオリーブオイルの香りがたまらない!
「よし! この調子で、マヨコーンの方もお願い」
「ああ、わかった」
先に用意していたマヨコーンピザも石窯へ投入してもらう。
こっちはマヨネーズとシーチキンを混ぜたものをソースにして、たっぷりのビュレットコーン(弾丸みたいな粒の形をしたトウモロコシ)と、チーズを散りばめてみたんだよね。
食べる前からわかる。こっちも絶対美味しいって!
三分後。
取り出したマヨコーンピザも、チーズがぐつぐつしてておいしそう〜!
「おいしそ〜! ねぇカエデ、早く食べようよ!」
「そうしよっか! なんでも料理は出来立てが美味しいってね。サラサさんたちも、遠慮せず食べてください」
実は厨房にいたのは、いつものメンバーだけじゃないんだよね。休憩時間だってことで、サラサさんとルルスちゃんにも、味見してもらおうってことになった。事前にパティさんにお願いして、話をつけてもらってたんだ。
二人も新しい料理を食べられるってことで、喜んで参加してくれたよ。
「ありがとね、わざわざ呼んでくれて。すごく美味しそうじゃない!」
「私も早く食べてみたいのです!」
「じゃあ早速六等分にカットしてっと……。はい、どうぞ! まだ熱いだろうから、火傷には気をつけてね」
まずはマルゲリータの方を味見する。
焼きたてで、手に持つとまだその熱さが指から伝わってくるよ。バジリーコの爽やかな香りもちょうどいい!
「いただきます!」
早速一口。
ん〜! ミルクチーズがとろけるぅ〜! 濃厚なミルクの味に、トマトソースの酸味が合わさって美味しい! これよ、これこれ! このシンプルイズベストな味がいい!
「こんなに伸びるミルクチーズははじめてです!」
「おーいしーい! 最初はどうなんだろうって思ったけど、バジリーコの香りと苦味が美味しい!」
「なるほどな。生地と一緒に焼いたから、味がちゃんとまとまってる。生地の外側もふっくらしてて、美味い!」
「あらやだ、美味しいわねこれ! 乗せてる具材は少ないのに、素材の味が際立ってるわ。いくらでも食べれそうね!」
「おいひいです! とろとろでふわふわで、さっくりしてるのにしっとりしてて、たまらないです!」
みんなにも大好評みたいで良かったよ。ルルスちゃんの言う通り、ちゃんと火が通ってるのにしっかりと水分も感じられて美味しい! これは石窯様様だわ。
「はーい、マヨコーンの方もあるからね。こっちも絶対に美味しいよ〜」
マルゲリータと同じように六等分にカットしたマヨコーンピザをみんなに差し出すと、我先にって感じでみんなが手に取った。凄いな、あっという間に持ってくじゃん。
「これも美味しいです! マヨネーズとビュレットコーンって、相性がいいんですね!」
「これ、ツナマヨおにぎりと同じような味がする! おいし〜い!」
「チーズのしょっぱさと、マヨネーズのまろやかさと、ビュレットコーンの甘さがあって、一度で贅沢な味わいだな!」
「こっちは滑らかさ重視って感じかしら? なんだか優しい味で、これも美味しいじゃない!」
「んん〜! ビュレットコーンがぷちぷち弾けるです! たまらないです!」
こっちも好評みたいね。これなら『そよ風の導き』のみんなも、喜んでくれそう。私も一口。
うん、マヨコーンは正義! チーズとマヨネーズのしょっぱさに、ビュレットコーンの甘い果汁がよく合う! とろとろで美味しい!
「どうだろうみんな。これなら、喜んでくれそうかな?」
「ええ、きっと喜びます。それに食べたことのない美味しい料理ですから、いい思い出になると思います」
「リーダーに同意! 同じピザでも、こんなにも味が変わるなんて面白いし!」
「作り方もパンとそう変わらないし、おかわりが来ても用意しておけばすぐに出せるからな。オレも賛成だ」
「そうね。あの人たちが好きそうな味をしてるわ」
「きっと大喜びしてくれるです!」
満点の答えをもらって、私も自信がついたぞ。
よーし、それならピザはこれでオッケー! 残りの試作も頑張って仕上げて、最高のパーティー料理を作ってあげなくちゃね!




