第53話 パーティー料理を考えよう
パーティーの予約を受け取った翌日。早速みんなでパーティーに出す料理について、話し合うことにした。
「パーティー料理ねぇ。さて、なに作ろうかな」
「『その風の導き』は、全員で六名でしたね。そうなると、たくさんの料理が必要そうですね」
「パーティーは夕方から夜にかけて、だったよね」
「どんな料理がいいとか、聞いてるか?」
「うん。パーティ解散のきっかけになった冒険者が、たまごが好きって言ってたから、たまご料理は作る予定だよ」
たまご料理で大人数に出す料理なら、オムレツがいいかも。具材をたっぷり使ったスパニッシュオムレツなんか、一つあると映えるよね。
どうせなら、この食堂ならではって感じの料理でおもてなししたいし。となると……。
「うーむ。パーティー料理の定番といえば、やっぱりピザかなぁ」
「ピザ?」
そっか、こっちの世界にはピザの概念ってないんだね。目新しい料理なら、なおさら喜んでくれそう。
ひとまずピザの説明をみんなにしなきゃ。
「ピザってのはパンに似た生地を丸く伸ばして、ソースを塗って具材を乗せて一緒に焼く料理だよ。見た目も豪華になるし美味しいし、なによりパーティー向けの料理なんだ」
「へぇ〜! それ気になる!」
「パンに似た生地ってことは、オレの出番か?」
「そうだね。どんな料理なのか教えるのも兼ねて、あとで作ってみよっか」
ピザなら定番のマルゲリータに、マヨコーンなんかもよさそう。試作した後で、みんなの意見も聞いてみよっと。
「あとはどんな料理がいいと思う?」
「そうですね……。昔この食堂でパーティーをしたときは、お肉の料理が出てましたよ」
「オイラは、ライスを使った料理があっても面白そうだと思う! この街の冒険者たちはライスが大好きだし!」
「メインを食った後にデザートなんかもあれば、喜んでくれるんじゃねぇか? そのパーティはラスクが好きなんだろ? だったら、甘いものも好きだと思うぜ」
なるほど、お肉とライスの料理とデザートか。いいね! パーティー料理にお肉は欠かせないし、ライスは料理によってはメインになれるし、デザートがあれば最高だね!
「お肉はアブスキさんに頼めば、いいお肉を仕入れられそうだね。ボナくん、交渉お願いしていいかな?」
「もちろん、任せて!」
「さっすが、頼もしいね」
いいぞ、みんなと話してると構想が膨らんでくな。
この調子なら、料理自体は今日で決められそう!
よし、次に考えるのはライスの料理か。
パーティー感があって、メインになれるような米料理ねぇ。……あ、そうだ!
故郷に戻らなきゃいけない冒険者ってことは、ここターガイニの街から離れなくちゃいけないってことだよね。
だったら、この街の幸をふんだんに使った料理とか喜ばれそう。なんせこの街は、ライスはもちろん海の幸だって豊富だ。だとすれば、似合う料理がある!
「そうだ、海の幸を使ったパエリアがいいかも!」
「海の幸ですか、いいですね! それって、どんな料理なんですか?」
「いわゆる、炊き込みライスだね。ライスを魚や貝なんかと一緒に炊いて作る料理なんだ」
「魚料理か、いいな。肉ばっかりでも味気ないしな」
「それに故郷に帰る冒険者はこれから先、この街の海鮮を食べる機会も減っちゃうからさ。どうせなら、この街の味を楽しめる料理にしてあげたくて」
パエリアのライスは本来なら、サフランで色付けするけど、この世界だとあるかどうか分からない。
だけど私の手の中にはカレー粉があるから、それで代用しちゃおう。シーフードカレー風パエリアとか、我ながら斬新だと思う。
コンソメは……うん、あとで作るか。料理にハマってた時に、手作りコンソメの作り方の動画とか見ててよかった。
それからさらにみんなで話し合って、料理を決めていく。
とりあえず決まったのはピザが二種類に、スパニッシュオムレツ。お肉メインと海鮮パエリア、サラダ。
「お酒も出すならチーズの盛り合わせとか、バケットを使った前菜カナッペもあれば、十分なご馳走になるんじゃないかな?」
「腸詰の盛り合わせとかも良さそう〜」
「いいねぇ、そのアイデアも取り入れよう」
「あとはデザートですね。なにがいいでしょう」
それは実は決めてあるんだよね。たまご好きなら、きっと喜んでもらえるデザートといえば──。
「デザートは、たまごをたっぷり使ったカスタードプリンにしようと思うんだ。ぷるぷるで甘くて、たまご好きなら絶対に好きになるはず」
コツさえちゃんとおさえれば、すが入らない綺麗なプリンが作れるし、最後に生クリームとかで飾り付ければ、見た目も華やかになっていいと思う。
なんて話せば、みんなも興味津々でこっち見てるし。食べたいんだろうねぇ。しょうがないなぁ。
「パーティーまでは時間もあるし、どちらにしろどの料理も一回は試しに作っておきたいから、試作してみんなで食べようよ。味についてもみんなの意見を聞きたいし」
「その言葉待ってたよ〜! あ、ちゃんとお手伝いするからね!?」
「オレもピザってやつの作り方、ちゃんと覚えるからな」
「私も、精一杯サポートしますから……!」
「わかってるよ、大丈夫。初めて作る料理はみんなで味見する、この食堂のルールだもんね」
そう言えばみんなは、ちょっと気恥ずかしそうにしてから笑う。なんだかんだ、この食堂のみんなも食いしん坊なんだなぁ。




