表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/53

第50話 複雑な味といえばカレーでしょ!

[日間]異世界転生/転移ファンタジー部門で230位になってました。

自作小説が三桁の順位になったことが今までなかったので、凄く嬉しいです。ありがとうございます!

「よっこいせっと。こんなもんかな」


 グッちゃんの注文を受けてから数日。あれから色々と考えすぎて煮詰まっちゃってきたから、掃除も兼ねてこれまで作ってきた調味料を並べてみた。

 調理台の上に並べられた、数々の調味料。なんだかんだと、色んな調味料が揃ってるなぁ。


「こうして並べると、壮観ですね」

「いつの間にかこんなに増えてたんだね」

「しっかし、最初は驚いたもんだぜ。食べ物から味付けに使うものを製造するとか、レアスキルもレアスキルだからな」


 本当にその通りだよ。最初はこんなスキルで大丈夫なのかって不安だったけど、今じゃこのスキルに助けられてばかりだもん。

 それにしても、我ながら結構な種類が集まってきたな。


 塩に食用油にオリーブオイル、砂糖に酢としょうゆ、みそ。他にも調理酒やみりんにハチミツ、ウスターソース。

 それに隠しレシピのマヨネーズにケチャップ、からしとマスタード! 果物で作ったジャムや、食パンから作ったパン粉なんかもあって、実に豊富だよね。


 ある程度のものなら作れるくらいには、調味料が増えて助かってはいるんだけど……。


「うーん、複雑な味の料理ねぇ……」


 グッちゃんの注文は、複雑な味の料理だ。

 ここ数日はそれとなく、グッちゃんが気に入りそうなおかずを作って出しているものの。反応は「初めて見る!」や「おいし〜!」止まりなんだよね。


 もちろん、それも嬉しいよ。グッちゃんの食べっぷりは、作ってる側からしても気持ちがいいし。


 でも私としては、もっと驚かせたいんだよなぁ。

 こう、食べた時に「おもしろい!」って言ってもらえるような、この世界の常識から外れた料理を考えてはいるけども……。


「グローリアさんの注文は、辛いけど甘いような味、でしたっけ?」

「苦いけどコクがある味、なんてことも言ってたんだっけ?」

「そうなんだよね。例えでそんなヒントをくれたんだけど、どうしようかなぁ……」

「それを考えるために調味料を出したってワケか」

「そうそう。並べてみれば、なにか思いつくかなぁって思ったんだけど……」


 組み合わせ次第で色んな味付けが出来るけど、どこか頭ひとつ抜けるような風味にならない気がする。

 パンチ力が足りないというか、刺激に欠けるというか……。


 刺激といえば。そういえば改めて見ると、辛い系の調味料って思ったよりないな。

 豆板醤とかあれば辛い系の料理が作れるし、カレー粉なんかがあれば……。…………。


「……あ!?」


 思わず声出しちゃった。なんで今の今まで、その選択肢が思い浮かばなかったんだ!? 複雑な味でいえば、王道中の王道なのに!!


 そうだよ! カレーいいじゃん!! 隠し味で色んな味が表現できるし、なにより美味しい! 日本人なら、ほぼ全員が普通か好きって答える料理!

 決まりっ! 粉を扱うお店が確か市場にあったし、香辛料を扱ってるお店もあったはずだから、早速行ってみよう!


「今からちょっとだけ、食堂抜けてもいい? 市場の香辛料を扱ってるお店に行きたくて」

「それってもしかして、作る料理が決まったってことですか?」

「まぁね。そのために必要な調味料を作るために、たくさんの香辛料を買いたくてさ」

「それならいい店知ってる! オイラも時々買いに行くんだ」


 持つべきものは仕入れのスペシャリストな同僚だ。

 ボナくんのおかげで、香辛料を扱う店があることが確定したし、教えてもらったら早速買いに行こう!



 ******


 翌日の厨房は、スパイシーな香りが充満していた。


 昨日香辛料のお店に行ったらテンション上がっちゃって、勢い余って結構な量と種類のスパイス達を買っちゃったんだよね。

 でもそのおかげで、香り高くて品質の良いカレー粉が作れたから、まぁよしってことで。


 そうそう、このスパイシーな香りがたまらない! 食欲がそそられるし、なんか懐かしささえ覚えるよ。

 学校から帰って玄関からカレーの匂いがしてきたときとか、カレー専門店の店内から漂ってきたときとかを思い出しちゃう。これぞ日本の食卓の匂いだよぉ。


 ちなみに昨日カレー粉ができた時点で、厨房のみんなにはカレーを作って出してみた。

 最初は香辛料たっぷり使ってるし、辛味は抑えたけど大丈夫かなーって思ってたけど、余計な不安だった。煮込む時に入れた『隠し味』のおかげで、みんな一気にカレーの魅力の虜になってたよ。


「時間帯的にはそろそろ来るはず……。っと、噂をすれば。おかえり、グッちゃん」

「たっだいま〜! なんか新しい匂いがするね」

「うん。実は、例のものが完成したんだ」

「例のものって……。あ、うちの注文!?」

「そう! お待たせしました。ようやくご注文に合う料理ができたんだよ!」


 そう言えば、グッちゃんは目をキラキラさせながら喜んでくれてる。


「さっすがカエっち! 作ってくれるって信じてた!」

「ありがと。多分グッちゃんも気に入ってくれると思うよ。今用意するから、待っててね」

「は〜い。やば、超楽しみ〜!」


 それじゃ、深めのお皿の半分にライスを盛って、もう半分に煮込んだカレーを盛って……。


「はい、お待たせ。これが複雑な味の料理、その名もカレーライスだよ」

「へぇえ〜! ライスを使ってるのに、これも見たことない料理! それに食堂の外からも匂ってたけど、こうして近くで嗅ぐと色んな匂いがする!」


 ふふふ、昨日のみんなと同じ反応してるな。

 この匂いはいいよね、私もお腹減ってきたもん。


「そうでしょ? あとそれと、カレーにはこの飲み物も合うから持ってきたよ。ヨーグルトを使った、ラッシーって飲み物だよ」

「飲み物まで! ありがとだよカエっち〜! それじゃ、いただきます!」


 カレーを一口食べたグッちゃんは、驚いた表情をしてから、いい笑顔で噛み締めてる。これは反応も期待大か。


「おいし〜い!! ピリッと辛いのに、甘くてコクもあって、色んな味がする! なにこれおもしろ〜!!」


 おもしろい、いただきましたぁ!

 これは注文は無事に成功ってことで、いいんじゃないかな!?


「どう? 気に入ってもらえたかな?」

「最高だよ! こんなに美味しくておもしろくて、複雑な味がたくさんする料理なんて、うちはじめて! 辛いのに甘いのも不思議!」

「カレーは香辛料をたっぷり使った食べ物なんだ。だから食べやすいように、サニーアップルと甘い蜜を入れて、まろやかにしてみたの」


 そう、隠し味はサニーアップルとハチミツ! りんごの甘酸っぱさとハチミツの甘さが、カレーの辛みを抑えてコクを引き出すんだよねぇ。


「んん〜! このラッシーって飲み物も美味すぎ! さっぱりしてるから、口の中のカレーが洗われるみたい。これならいくらでも食べられる〜」

「そうでしょう? 沢山あるから、好きなだけおかわりしていいからね」

「ありがと〜! お肉もとろとろだし、野菜もよく煮込まれてて、ライスともよく合う〜。おかわりお願い! あ、大盛りにできる!?」

「もちろん、大丈夫だよ」

「やったね! それじゃ、お願いしまーす!」


 それから相当カレーが気に入ったみたいで、鍋の半分がなくなるくらいの量を食べたグッちゃんなのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ