↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/54

第42話 手軽にガッツリとカツサンド

 揚げ物に必要な鍋は、初代料理長さんが残してくれた調理器具の中にあった。顔を見たことも会ったこともないけど、初代料理長さん、ありがたく使わせていただきます。

 そこに油を注いで、適温になるまで温めておく。


 それからメインの用意。今回使うのは、オークのヒレ肉だ。これを包丁の背の部分で叩いて、厚みを均等にしておく。


 これに軽く塩を振ったら、小麦粉をつけて、溶き卵に潜らせてから、パン粉をまぶす。んで、肉を軽く押さえつける。

 こうしておけば、揚げてる時に衣が剥がれないし、肉と衣の一体感が出るからね。


「油の温度は……お、いいかも」


 パン粉を少しだけ油に入れる。ジュワッて全体的に広がれば、ちゃんと170℃になってる証拠だ。トンカツを揚げるときの、最適な油の温度だね。


 そしてそこに、衣をつけたオーク肉をゆっくり入れる。入れたらそのまま動かさないで、しばらく放置。

 最初はジュクジュクって静かな音がしてたけど、段々とパチパチって高い音が鳴り始めた。みんなも耳を澄ませながら、揚げ物の音を堪能してるね。


「なんだろ、すっごくいい音だね」

「ああ。なんか腹が減ってくる音だな」

「揚げ物を揚げる音って、気分も上がるんだよねぇ。そんでもって、全体的に泡が少なくなってきたら、揚げ上がりのサインっと」

「わあ、綺麗な色ですね!」


 確かに、いいきつね色だ〜! 

 網を敷いたバットの上にトンカツを乗せて、余計な油を切ってる間に、パンの方の仕込みもしよう。


 マヨネーズに、隠しレシピを発見して手に入れた『からし』を混ぜて、からしマヨネーズを作る。


 ふふ、実は数日前にハーブ採取の依頼を出した時、からしとマスタードの原材料も頼んでいたんだよね。

 植物図鑑を見返してて見つけちゃったもんだから、頼むしかないじゃん?


 からしとマスタードの違いって、正直あんまりわからないけど、まぁなにか違いがあるんでしょう。私は料理は出来てもプロじゃないから、そこらへんの知識は浅かったりする。


 このからしマヨを、耳を切り落とした食パンに塗る。からしがいいアクセントになるんだよな〜。

 パンの耳はあとでのお楽しみで皿に乗せておく。


「さて、いよいよこれの出番だね」

「スキルで作ったソースってやつか」

「そうだよ。揚げ物にソースは欠かせないってね」


 この食堂で働き続けて、レベルが上がってレベル8になってたんだよね。その結果開放されたのが、ソースのレシピだ。

 舐めた感じはウスターソースっぽかったから、トンカツは勿論、パン粉を使った揚げ物とは相性抜群!


 ボウルに入れたソースに、揚げたてトンカツを潜らせて、からしマヨを塗ったパンに乗せる。

 その上にもう一枚パンを乗せて、一旦綺麗な布を被せて、その上にまな板を置く。パンとトンカツをなじませるためね。

 適度になじんだところで、長方形になるように三等分にカットしたら完成!


「お待たせしました、カツサンドの出来上がりです!」

「おおっ、うまそう!!」


 白い食パンに挟まれた、濃い茶色の衣を纏ったオーク肉のトンカツは、ビジュアル完璧っ!

 カットされたオーク肉の断面も綺麗だし、ソースの甘酸っぱい匂いが胃袋を攻撃してくる!


 イグニスさんったら、子供のように目をキラッキラさせちゃって。ちょっと幼く見えて、なんか弟みたいって思っちゃったり、なんて。


「食べてみてもいいっすか!?」

「はい、どうぞ」

「では……。……うっめぇえ!! パンは柔らかくて、中のオーク肉もいい歯応えだし、この茶色いのが濃い味なのに後味はちょっと甘酸っぱくて、たまんねぇ〜!」

「気に入ってもらえてよかったです」


 すごいなイグニスさん。さっきパンセットを完食したってのに、それなりにボリュームのあるカツサンドをぺろって平らげちゃった。


「どうでしょう? これならパンと一緒にお肉も食べられますし、お腹にガッツリ貯まって、力も湧きそうだと思うんですけど」

「はい! これならうちの連中も、お師匠も喜ぶと思います!」

「良かった。じゃあ今からもうちょっと作るので、鍛冶場のみなさんで食べてください」

「ありがとうございます! やっぱカエデさんに相談して正解だったっす!」


 イグニスさんの悩みが解決しそうで良かった。

 それから作ったカツサンドが盛られた皿を持って、イグニスさんは仕事場へ戻った。


 ……そのわずか数分後。イグニスさんが血相を変えて戻ってきた。


「たっ、大変っすカエデさん! 一大事っす!」

「どうしたんですか? そんなに慌てて……」

「鍛冶場にカツサンドを持ってったら、あまりの美味さにみんなで取り合いになっちまって! 武器を持ち出すバカも出てきちゃうし、このままだと鍛冶場崩壊の危機っす!」


 なんだってーー!?

 ちょっと待って! 鍛冶場の人のことを考えて、結構多めに作ったよ!? それがものの数分でなくなる!? ウソでしょ!?


 というか鍛冶場崩壊って! やばいじゃんそれ!!


「なのですみません! 追加のカツサンド、お願いしますーー!!」

「わ、わかりました! すぐに準備しますね!!」


 まさかこんなことになるとは。

 カツサンドの魅力たるや、恐るべし、だね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。