第18話 隠しレシピを発見しました
掃除も終えて、その日の仕事を終えた私たちは、ギルド職員用の宿舎に帰った。
それから、宿舎に備え付けられてある大衆浴場で湯に浸かって、疲れを癒してから割り当てられた部屋に行く。
いやぁ、まさか異世界でお風呂に入れるとは思わなかったよね。正直、お風呂なんて存在しないって思ってたからなぁ。それにしてもいい湯だった。
設備もしっかり整ってたし、改めてギルドの力ってのを思い知ったよね。ほとんど日本の銭湯みたいだったわ。
湯船のお湯はちゃんと浄化されてて綺麗だったし、身体を洗う石鹸も髪を洗うシャンプーっぽいやつも、それなりに上等なものだったし。
まぁ、さすがにドライヤーはなかったけどね。
宿舎の説明を受けてる時にお風呂の話を聞いた時は、驚いたもんだよ。でもギルド職員のみなりは、そのままギルドの評価にも繋がるって聞いて、納得したんだよね。
確かに言われてみれば、汚らしい格好の受付嬢に出迎えられるとか、色々と勘ぐっちゃうもんな。
冒険者のための玄関口となる場所の職員なら、身を清潔に保つのも仕事の一つってことなんだな。それを抜きしても、飲食に携わる者として、やっぱり清潔な状態でご飯を作りたいし。
個人的には普通にお風呂に入れるのはすっごく嬉しいから、これからも積極的に使わせていただきますけどね!
ちなみに与えられた部屋は6畳くらいの大きさの部屋で、一人で住むには十分な広さがある。しかも、ベッドと机と椅子の家具付き! 本当にギルド様様ですわ。
「はぁ〜ベッドきもちいい〜」
ベッドに寝転んで、ぐっと伸びをする。
異世界に転生されて今日で三日目。巻き込まれる形でギルドの食堂で働くことになったわけだけど、どうにかやってこれてる、のかな。
不安は大きいけど、私の料理を食べてくれたみんなが笑顔になってくれてるのは、純粋に嬉しい。
パティさんが感動して、サラサさんが推薦してくれて、アブスキさんやイグニスさんやテールムさんが喜んでくれて、ミアちゃんが認めてくれて。
名前しか明かしてない私が作った料理を、みんなが受け入れてくれてる。それが凄くありがたい。
だからかな、少しずつ自信がついてきた。
そういえば今日はルルスちゃんにも食事を出したから、ワンチャンレベルが上がってたりなんて、してませんかね……。
ベッドから起き上がって、ステータスを確認する。残念ながら、レベルの変動はなかった。
ま、まぁそうだよね! そんな簡単にポンポンとレベルが上がるワケないか! はい、ちょっと調子乗りましたって……。
「あれ? スキルの文字が光ってる?」
レベルは上がってなかったけど、レベルが上がった時に現れるスキル文字の点滅現象が起きてる。
なにか新しいレシピを発見したってこと? でもなにが?
恐る恐るそこを押すと、こんな文字が出てきた。
[ 隠しレシピを発見しました ]
…………なんだって!?
ちょっと待って隠しレシピってどういうこと!?
勢いでレシピ製造を押すと、いつものレシピ一覧の画面の上に、別の画面が現れた。
[ 隠しレシピの開放 ]
異世界に存在する素材の条件を満たした状態で、初めて製造した場合、レシピ一覧に新たなレシピが開放される。これを隠しレシピと言う。
一度開放された隠しレシピは消滅することはない。
異世界に存在する素材? あれ、心当たりがあるな? それってまさか……。
説明の画面を押す。説明の画面が消えたことを確認して、改めて【レシピ一覧】を見る。
「あ……!」
なんということでしょう、昨日まではなかった【マヨネーズ】のレシピがあるじゃないか!
ということは、これから材料さえあれば、いつでもスキルで好きな分量でマヨネーズが作れるってこと!? 毎回作る時に、必死に混ぜる必要がなくなったってこと!?
なるほど、そういうこと!? この世界になくて、日本にある調味料をこの世界の中で製造して出来たものが、隠しレシピってことか!
つまり素材の条件が揃えば、何個もの隠しレシピが開放されるってこと!?
神じゃん! 神スキルじゃん!
これはいいことを知ったぞ。ということは今後、あの調味料やあの調味料だって、材料を組み合わせて作れば隠しレシピとして開放されるのよね。
これは夢も期待も膨らむぞ〜。明日になったら試してみますか!




