第31話:笑顔
式典準備は遅れを取り戻した。明日からは来客も到着する。しばらく、皆でゆっくりするのは難しいだろう。晩ご飯の時間を堪能し、そして、俺は今さら気が付いた。
「そういえば、ジゼルさんと母さんの姿が見えないね。もう帰っちゃったのかな?」
「いや、せっかくなので式典が終わるまでは滞在すると聞いたが……」 とヴァルさん。
スゥが応える。 「ドコウ殿達は知らなくて当然じゃな。伝え忘れておった。昨晩の風呂でこの街の話になっての。二人で街巡りをすると言っておった」
「じゃあ、晩ご飯もどこかで?」
「うむ。いつもの料理屋に行きたいと言っておったぞ。式典準備のために昼は閉じておるが、夜は通常営業じゃからな」
確かに、魔岩を使った料理屋なんて、二人も気になって仕方ないだろう。俺が寝ている間はここで待機していたのかもしれない。世話になった。
「……ドコウさん、迎えに行きましょう」 とニナさんが提案した。
「おお、良い考えじゃな。二人もおぬしらと話したいじゃろう。夜は迷いやすいしの」
「確かに。じゃ、行こっか!」
ローブを羽織り、念の為に魔岩布を二枚手に取った。夜は冷える。料理屋だけじゃないマギアキジア自慢の技術を、体験してもらおう。
母とジゼルさんは、すぐに見つかった。俺はニナさんの案内に従っただけだ。これまでもそうだったが、ニナさんは俺だけでなく、母とジゼルさんのことも感知できるらしい。俺も意識しているのだが、この感知能力は真似できそうにない。
道の先に見えた母がこちらに気付き、笑顔で手を挙げた。 「あら、ドコウとニナちゃん。迎えに来てくれたの?」
「ええ」 とニナさん。
それを聞いたジゼルさんは締まりの無い顔で、 「おお、ニナはなんて優しい子なんだい……」 と言った。上機嫌だ。
「ジゼルは本当にニナちゃんを溺愛してるわねぇ」
「リリーナに言われたかないねっ。……そりゃそうさ……」 そこでジゼルさんは目を閉じた。ゆっくり呼吸する。 「……二人とも、時間はあるかい?」
「はい」
「俺も大丈夫です」
来た。正直言って、期待していた。ジゼルさんとは話す必要がある。絶好の機会。
「どこか、場所を用意しましょうか?」 と俺は言った。ここは道の真ん中だ。
「そうさね……。ニナ、果樹園を作り始めたと言っていたね?」
「はい」
「じゃあそこにしよう」
「あ、それなら冷えるので、この布を使ってください。魔力を込めると温まります」
俺は二人に魔岩布を手渡した。
二人は感動した様子で布を羽織る。すぐに魔力を込め、さらに驚きの声を上げた。
ジゼルさんの布の端を、母が掴んでいる。……やっぱり、そうか。
果樹園に着くと、ニナさんは簡素な木小屋を作った。外の木々がよく見えるよう、最低限の風除けになる壁と、屋根だけだ。中央には焚き火。ニナさんのナイフで火花を散らして付けた。俺とニナさんの二人で旅をしていた時に、よくやっていた方法だ。炎魔法を使えるレティが仲間になってからは、必要なくなったやり方。今ここにいる四人は、誰も炎魔法を使えない。
「……さて、まずあんたが気がついていることを、教えてもらえないかね?」 問いながら、ジゼルさんはニナさんが作った木の椅子に腰かける。
俺は小さく息を吸った。一気にいこう。
「……はい。結論から言います。……ニナさんの髪が普段黒く見えるのは、膨大な魔力が蓄積されているからです」
「そうだね……。それだけかい?」 とジゼルさんはさらに促した。
「……ジゼルさんの髪も、以前は黒かったのだと思っています」
ジゼルさんは俺の目をじっと見ている。真剣だが、優しさを帯びた眼差しだ。
「恐らく、白くなったのは老いではない。……この後に言う事は根拠がなく、失礼な推測かもしれませんが、はっきりと言います」 俺はジゼルさんと、その隣に座った母の顔を見る。 「母とジゼルさんは、同年代ではないでしょうか? ……つまり、髪だけでなく、ジゼルさんがそのように老いた見た目をされているのは、加齢によるものではない」
もう一度、息を吸った。「……魔力の枯渇によるものだと考えています」
ジゼルさんは少しの間、目を瞑った。その横で母は、ジゼルさんが羽織る布を掴んだまま、沈黙を守っている。
ニナさんが、お茶の入った木の湯呑みをジゼルさんに手渡した。
……お茶? 「あれ? ニナさんどこからお茶を……?」
「家を出る際に容器に入れ、魔岩布でくるんでおきました」
「用意周到だね……」
ニナさんもこの場を予想していたということだ。徹底的に話そう。ジゼルさんさえ良ければ、だが。
「……リリーナ。二人とも大したもんじゃないか……」
「ええ。私も、今の二人には話すべきだと思うわ」 と母は応えた。
全員にお茶が行き渡ると、ジゼルさんは静かに語り始めた。
「あんたの仮説は、全て正しい。ワシは、ニナも使った禁術を使い、今のようになった」
「……その時、蘇生したのは……」 俺は訊いた。予想は付いている。
「ニナだよ」
「!」 ニナさんは息を呑んだ。手が震え出す。
その震えは僅かだが、湯呑みの中で波打つお茶が、ニナさんの心中を表している。
母がニナさんに優しい眼差しを向ける。 「ニナちゃん、もっとドコウに近寄りなさい。独りではなく、二人で聞くのよ」
「……はい」
俺が座っている椅子が、二人掛けへと形を変えた。隣に座ったニナさんの震えが、徐々に収まっていく。
その様子を確認し、ジゼルさんは口を開いた。
「ワシには息子がおった。夫は、ワシらよりも三百ほど歳上のエルフ。もうとっくに寿命でいってしまった」
「私に土魔法を教えてくれたのは、ジゼルの旦那さんのお友達だったのよ」
土魔法はドワーフ族の魔法だ。ドワーフとエルフの間には交流があった。
「息子はエルフの中でも、特に魔力の感知が得意だったね……。大人になる頃には、木々の声も聞けると言っておった」
「木々の声……」 俺は声を洩らした。
と同時に、ニナさんが俺の服を掴んでいることに気付いた。掴むというより、握りしめている。差し出した手が服の代わりになった。
「自然を愛する、優しい子だった……。そんな息子が、美しい妻を迎えた。この子もまた、自然の声を聞き、自然を大切にする良い子だったよ」
自然の声……。引っかかる。表現の問題かもしれない。
「ワシは息子夫婦が好きだった。共に暮らし、子を授かったと聞いた時は、自分のことのように喜んだもんさね」
「私やお父さんも一緒に、お祝いをしたわ」 母が言った。
さらにジゼルさんに寄り添っている。母は、どこまで知っているんだろう。ニナさんと会った時、母は初対面のように見えなかった。
「……ある日、息子夫婦は揃って、ヒト族が多く集まる国……ボレアリスに行くと言い出した。ワシは理由を訊いたさ。腹に子がいる今、なぜ長旅をする必要があるのか、とね」
ジゼルさんは、涙を堪えるような表情で話し続けている。いや、泣いているのかもしれない。枯れた涙が、頬を伝っているような気がした。
「二人は、『星の声を聞いた』と応えた。聞いた以上、なるべく早くヒト族に伝える必要がある……そう言って二人は旅立っていったよ」
……今度は『星の声』……。それは何だろう? いかにもファンタジーだが……。
考える俺をよそに、ジゼルさんは語り続ける。 「……この時、なぜワシはすぐに付いていかなかったのか……何年も考えたが、分からんままだね」
「ジゼル……」 と母がジゼルさんの肩をさすった。
「今はもう心配ないよ。……数日して、胸騒ぎが収まらなかったワシは、二人を追ってボレアリスに向かった。……ボレアリスの手前に広がる森で、すぐに二人を見つけることができたよ……」
「ジゼル、手を握って……」
「ああ……ありがとう」
ジゼルさんは母の手を強く握りしめた。
「……二人は、仲良く森で寝そべっていたよ……真っ黒に、焼け焦げてね……」
ニナさんが俺の手を握る力が、強まった。俺が取り乱してはいけない。俺がニナさんを支える番だ。俺は握り返す力を少しだけ強めた。
「後からジンロウが調べた話によると、二人はヒト族に、炎魔法を禁じろと、言ったらしい。……二人の真意は、ワシには分からん。しかし、その時の二人は、ヒト族が提示した妥協案にも一切応じないほど、強行的で、必死だったそうだ」
「……そんな一方的では反感を……」 と俺は言った。炎魔法はヒト族にとって、ボレアリスにとって特別なものだ。
「やっぱりあんたとは気が合うね。……ワシも、二人はそれで反感を買ったのだと考えたよ。……炎魔法は、土魔法や木魔法を使えないヒト族が、長い年月をかけて確立した魔法。しかも、純血のエルフやドワーフには使えない魔法だからね……」
確かに炎魔法は特殊だ。ボレアリスの信仰や成り立ちだけではない。仕組みが特殊。それは随分前から分かっている。
しかし、二人はなぜ使用を禁じようとしたのだろう? 相手が殺意を覚えるほど二人を強引にさせた『星の声』とは、なんだ……?
「ともかくその時のワシは……二人を見つけたワシは、理由なぞどうでも良かった。ただ二人を……いや、腹に宿る子を含めた三人を……助けたかった。そしてワシは、全ての魔力と、自分の命も賭して、蘇生の禁術を使ったのさ」
答えに近づいてきている。最初から、分かっていた答えに。
「そもそもあの禁術は、全ての魔力と引き換えに、死後間もない一人の命を呼び戻す技。それをワシは、無理だと知りながら、三人に使おうとした。……息子だけが蘇ったところで、何の意味もないと思ったのさ」
「……」 ニナさんは黙ったままだ。手からまた震えが伝わってくる。
「……ワシは分かっておったよ。二人が命を落としてから、時間が経っていると。それでもワシは、無理矢理に術を発動した。……結局、二人に変化はなかったよ。無理をしたワシは、魔力を全て消費し、生気も失い、魔力を扱う能力すらも失った。……失敗したと思ったさ。……しかしね、徐々に消えてゆく光の柱の中に、小さな赤子が見えたのさ」
「……おばあちゃん……」 ニナさんが小さく言った。
「両親譲りの真っ黒な髪に、父親似の白い肌、母親とそっくりな桔梗色の瞳をした女の子……。ワシは何とか、二人の一番大事なものだけは守ることができた」
ジゼルさんはゆっくりとニナさんの顔を見た。真っ直ぐ、愛おしそうに見た。
「……ワシはその子に、ニナと名付けたのさ」
ジゼルさんはもう、震えていなかった。震えていたのは、途中まで。蘇生の禁術について話し始めたとき、ジゼルさんの緊張は解れていた。
きっと、それまでの話は思い出したくない話。でもニナさんと出会ったことは、ジゼルさんにとって良い思い出なのだろう。
「この話をしたのは、おまえ達……ニナとドコウなら、息子達とは違う道を見つけられるんじゃないか。そう思ったからさ」
「……『星の声』……」 とニナさんは言った。
「そう。ワシは、ヒト族を恨んではおらん。二人のやり方がマズかったのさ。……だが、二人の事情も分からん……。分からんまま、何十年も過ぎてしまった」
母が言う。 「それから私達、ドワーフとエルフは、ヒト族を刺激しすぎないことに決めたわ。向こうからすれば、こっちから喧嘩を売ったように見えたはずだもの。……全面戦争を、二人が望んでいたとは思えなかったの」
母の口調は、言い訳をしているようにも聞こえた。きっと、自分に対しての言い訳なのだろう。本当は真相を追いたかったに違いない。そう思わせる声と表情だった。
「ドワーフとエルフの交流も、目立たないようにしたわ。……ヒト族を疑心暗鬼にさせるのが怖かったの」
「収拾がつかなくなるね……」 と言った俺は、少し臆病すぎるようにも感じている。それはきっと、失っていないからだ。
「そしてワシらは、嘘をつくことを決めたのさ」
「……ドワーフとエルフが不仲だという嘘と……」 と俺は言った。
「黒い髪の嘘」 とニナさんは言った。
どちらも嘘をついた相手は、俺とニナさんだ。まだ、意図をよく理解できていない。
「黒髪の方は少し分かります。ニナさんに両親を追ってほしくなかったから……じゃないですか?」
ジゼルさんはゆっくり頷いた。 「その通りさ」
「でも実際、黒髪は多くの人にとって未知の存在のようですが……」
「髪が黒い……つまり純血のエルフは、ここ数百年で五人しかおらん」
「……ああ、なるほど」
五人……ジゼルさんとその旦那さん、息子さん夫婦に、ニナさん。
ジゼルさんはエルフの隠れ里で暮らしており、息子さん夫婦も同居していたと言っていた。見つからなければ、居ないのと同じだ。それまで隠れていたことを考えると、ヒト族に会いに行った時も、露出は最小限にしたのだろう。両親の手がかりはごく一部。
「ワシらは……いや、ワシは、ニナの始まりを、復讐にしたくなかったのさ」
母がお茶を一口飲んだ。 「今日、貴女達の街を見せてもらったわ。ドコウが寝ている間の皆さんの様子も。……とっても良い仲間達と、とっても素敵な街を作ったのね」
「ええ」 「うん」 ニナさんと俺は同時に即答した。
全部に意味がある。本当にこの母は抜け目がない……。
「ニナちゃん。この話を聞いて、どう思ったかしら?」
母は言葉にできなかったようだが、仲間達のことだ。……もっと直接的に言えば、両親を殺した人達と同じ、ヒト族のこと。
「関係ありません。父と母を殺した人と、今を生きる皆さんは別の存在です」
ニナさんの視線を一瞬感じた。俺が振り向くと、すでに母に向き直ったニナさんの横顔が見えた。
「……先入観に縛られずに、事実を見て理解する。それが、ドコウさんの傍で、ドコウさんから学んだ世界の見方です」 とニナさんは言った。
俺は痺れた。
「……そう……そうね……。ごめんなさい、嫌なこと訊いちゃって」
「いえ」
「そんなニナちゃんとドコウだから……やっぱり私も、お願いしたいわ。亡くなった二人の意思……星の意思を……解き明かしてほしいの」
星の声を聞き、炎魔法を禁じようとした、その真意。分からないことだらけだが、いくつか引っかかるものはある。
まず、既に気が付いていた炎魔法の特異さ。副次的な現象に過ぎない発熱現象を主目的として扱うのは、やはり少々歪んでいる。この歪みが、星の声とやらに関係しているとしたら……? 魔工学と強く関連する話に思えてくる。
『星の声』もやはり気になる。それ自体が次の引っかかり。大きな疑問。ジゼルさんはそれを超常的な存在のように語った。しかし、そんなものが実在するのだろうか? この世界は異世界だ。それは間違いない。あちこちに魔力がある。でも、それだけだ。魔力は制御できる。空想ではない。目の前にある現実だ。
さらにもう一つの引っかかり。これは単なる想像だが……。二人はヒト族に『伝える』ために旅立った。もしかして二人は、ヒト族のことも想って、行動したんじゃないだろうか。二人は、世界を救おうとしたんじゃないだろうか。
俺とニナさんは視線を交わして頷いた。
「分かりました」 とニナさんが母に応える。
「俺も。……それで何度も俺に、色々なことを知れって言ってたんだね」
「ええ、そうね。ニナちゃんにも言いたかったけど、いらなかったわね」
仲間の皆と出会い、自分の目で世界を見る前に今日の話を聞いていたら。俺とニナさんは、どんな考えを持っていただろう? なるほど——。
「……って納得するとこだった。ドワーフとエルフが不仲だっていう嘘の方は? 理由が分からないんだけど……」 と俺は言った。
「私もです」 ニナさんが同意する。
母は小さなため息をついた。……なんで?
「……ドコウとニナちゃんには、全く意味のない嘘だったわぁ。初めて二人を見た瞬間、嘘をつき続けるの、諦めたもの」 母は一気に肩の力を抜いて言った。
「ワシもさね」 ジゼルさんも少し笑みを浮かべている。
「……どゆこと?」
「二人には、一緒に歩いていくことを、自分たちで決めて欲しかったのよ! ドコウは身体の育ち方も寿命も、人口のほとんどを占めるヒト族とは違うって、旅に出る前から分かってたでしょ?」
母からエルフの話を聞いたのは、ドルフィーネに行く前だ。やっぱり。最初から、旅に出すつもりだったんだな。
「身体のことだし、気が付かないなんてことはあり得ないわ。……放っといたら、似た境遇のエルフと何となく旅をする……なんてことに、なりそうじゃない!」
「……だから無条件に信頼しないように、悪い印象を?」
「そうよ! それでも少しずつ分かり合って、いつか協力し合えるはず。その時の仲はきっと本物。……もし仲良くなれない時は遠回しにフォローして……」 母は俺とニナさんを交互に指差した。 「って色々考えてたのに、初対面で打ち解けちゃうなんて!」
母のトーンがどんどん上がる。さっきまでの重い空気が、入れ替わった気がした。
「しかもそれからずっと相棒ですってぇ? ドコウが一人で村に来た時に話を聞いて、吹き出しそうになっちゃったわ!」
「予想を上回る、嬉しい誤算だったね! ……カカカッ!」
……あ、ジゼルさんが笑った。声を出して笑うところを見たのは初めてだ。
しかしジゼルさんはニナさんを見て、表情を変えた。いや、止まった。驚きの表情。
ニナさんの右手は俺の左手を握ったままだ。俺もニナさんを見た。
ニナさんは、左手を口元に軽く寄せ、くすくす笑っていた。錯覚ではない。
俺の視線に気付いたニナさんが戸惑った顔をする。ああ、笑顔が。 「……あ……私も普通の、ただの一人だと思ったら自然と……。変ですか……?」 と俺に訊いた。
「おいドコウ! この顔を見な! こんなに可愛い笑顔があるかい!? 控えめでいて美しく、気品があって可憐な笑顔! ……ああ、生きている間にニナの笑顔が見れてワシは幸せだよ……。……何してる! なんか言う事があるんじゃないのかい!?」
「お、おばあちゃん……」
涙まじりの嬉しそうな顔をしたジゼルさんが、杖の先端を俺に向けてまくし立てる。ニナさんは少し恥ずかしそうな顔になった。確実に、表情が柔らかくなっている。
俺はずっと前からニナさんの気持ちを何となく読み取れていた。でもそんなことはどうでもいい。
「……何も変じゃない。ニナさん。良かったね」 と俺はニナさんに微笑みかけた。
「……はいっ」
口元を押さえる左手の袖口から、魔岩付きのブレスレットが覗いていた。
「……はぁ……貴方達には敵わないわぁ」
母はなぜか呆れ顔だが、ジゼルさんは満足そうだし、ニナさんは嬉しそうだ。
その晩、俺は温もりを感じながら眠った。




