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アポカリプスロード:Extend  作者: 中村 りゅうや
第一章 マントルロード
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D-35 ナイト→× デイライト→◯

「え? じゃあ何? この世界はオールナイトパーリーゴッドなの?」

「夜は訪れないですからオールデイライトパーリーゴッドなのではないですか?」

「あ、そっか」


 この世界は夜を知らないんだったな。じゃあ、夜風に当たる気持ちよさが味わえないのか。それはもったいないな。


「おーるなんちゃらの意味はわからないけど間違っているってことだけはわかる」


 間違っていないと思うが、やはり世界が違うと価値観も変わってくるな。


「それより太陽が出続けると気温上昇などなどが起きると思うが、その辺りはどうなってるんだ?」

「神聖院が何とかしているよ。太陽が出続けても、環境は夜があった頃と何一つ変わらない。気温も気候も変化はないの」


 結構凄いことしているんだな。さすが神だ。

 それでも、そんなことをしてまで月神を喰らう必要があったのか? それともただの信仰稼ぎのため?


「神聖院ってすごいんだな」

「大戦時から太陽神に従ってた神たちの集まりだからね。信仰もすごいんだ」


 やっぱそうなんだ。


「仕方ありません。でしたら私たちは私の神様で対抗するしか……」

「せんでいい」


 この世界にまでサンを伝導しなくていい。ややこしいことになる。


「そのサンってのはどんな人?」

『一言で表すなら全ての始まり』


 あ、リサだ。遅かったな。


『ごめんなさい、遅れてしまったわ。何かしらの障壁に阻まれて突破するのに時間がかかってしまったわ』

「それたぶん太陽神の結界だと思う」

「結界?」

「この聖都を囲うように張られている結界。あの獣や外敵を阻むためのものだよ」


 そういえば、聖都の周りの空間が少し歪んでいたように見えたな。


『なら、太陽神に気づかれないように手短に済ませるわ。それで、今はどう言う状況かしら?』


***


『なるほどね。この世界の事情は大体わかったわ。そしてエルピス、ありがとうね。ジエンたちを助けてくれて』

「ま、神として人間を守るのは当然だからね」


 かっけぇ。


『そして、あたしからも伝えておくわね。ニヒルの反応がここら一帯にある』


 唐突だな。


『より詳しく言うなら、聖都を中心に円形に広がっているわ。推測だけど、聖都にラスボスがいるって認識でいいわ』

「なるほど。やはり聖都が一番怪しいというわけですね」

『そうよ。だから、あんたたちにはこれからも聖都の調査をお願いね』


 リサはそう言うと通信を切った。

 これからはしばらく聖都で暮らすのか。明日には食材を買い込まないと。


「そろそろ日付が変わる時間だね。人間は睡眠が必要でしょ? 布団はないから、寝るなら床になるけど……」

「そこは安心してくれ。自前のがある」


 俺はそう言ってアイテムボックスから布団と枕を取り出す。


「準備がいいんだね」

「メイリアから聞いていましたが……とんでも技術ですね」


 俺が有能……ってことだな。


***


「ここら辺だね」


 時刻は朝の9時、場所は聖都の外。神聖院からの依頼で獣の討伐をこれからやる。


「コネクテッドボンドの準備はいいですか?」

「もちろんだ」


 アレルハライドで手に入れたコネクテッドボンドについて、俺たちはまだよくわかっていない。リサ曰く、サンが作った物ではないらしい。

 最有力容疑者(サン)ではないとするならば、これが何に起因しているのか調べないといけない。


「とりあえず召喚してみるか」


 取り出したるはエレスのカード。力を込める。

 そして、白い光とともにエレスが召喚された。


「ふむ、別世界でも正常に召喚できるみたいだな」


 今の召喚に世界の法則からの抑制がなかった。

 召喚――異世界の技術が使える理由は二つ考えられる。

 一つ目はこの世界の法則内で召喚したから。これは俺のアイテムボックスが該当する。この召喚技術も世界の法則を読み取って瞬時に適用させてあるかもしれない。

 二つ目は権能だ。権能は世界の法則の内側にありながら、外側にもあるもの。つまり、世界の法則に縛られない代物だ。


「ヘイゼルは何か感じ取れたか?」

「……少なくとも権能って感じではありません」

「エルピスは?」

「私はそこまで詳しくないから参考にしないで欲しいんだけど……この召喚技術はジエンたちの存在よりも異物感はないかな」


 なるほど。

 異物感が俺たちよりもないってことは、この召喚技術は世界の法則に適用させている可能性が大だな。

 適用させると世界の法則という観点からこの召喚は異物ではなくなるわけだし。


「っと、獣が来たね。私が迎撃するね! そして信仰をちょうだい!!」


 エルピスが棒を構えて言う。


「いいえ、ここは私たちにお任せください」

「昨日は助けてもらったんだしこのくらいはやるさ」

「ええ……せっかくの信仰ゲットのチャンスが……」

「信仰ならいつでもお渡しいたしますから」

「あ、そう?」


 エルピスはそう言って、離れた場所でお茶を飲みだした。現金なやつ。

 剣を構えて、獣と対峙する。しかし、獣は俺たちには目もくれず、聖都の方角へと一直線に向かっている。


「……む? 俺たちには襲ってこないみたいだな」

「そうですね……」


 ヘイゼルが聖都と獣を睨む。何か気づいたことでもあったのか?

 まぁいい、獣を倒してしまおう。


「放て! レーヴァテイン!」


 エレス(偽物)が炎の剣を取り出す。そのまま、獣へ突っ込み薙ぎ払う。獣はレーヴァテインの炎で焼き払われた。


「む、一体残ったか」


 どうやらレーヴァテインの間合いの外に一体いたようだ。


「幻想魔法――グングニル」


 グングニルで小突いた後に剣で倒そうとした。だが、グングニルによって獣は消し飛んだ。


「…………?」


 呆気にとられる。

 異世界の技術は弱体化するはずなのに、なぜかアレルハライドにいた時と同じ威力だった。


「すっご~。さっすが異世界人ね!」


 エルピスが小走りでこっちに来る。


「って何か二人とも暗いよ? 何かあったの?」

「…………エルピスに質問があります。獣の発生地点はどこですか?」

「発生地点? ん~、聖都の周りに現れることぐらいしかわからないや」

「獣自体はいつから存在していましたか?」

「第二次神権大戦後、聖都が作られた頃からだね。その時から獣が聖都を襲うようになったんだ」

「最後に一つ、獣は聖都内部で確認されたことはありますか?」

「ないね」


 ヘイゼルの顔がどんどん険しくなっていってるな。何か分かったことがあるのは明白だ。

 そしてそれが良くないことも。


「計測したところ、あの獣からニヒルが検出されました。そして、獣が聖都を襲うこととニヒルの反応が聖都を中心に円形に広がっていること。これらから推測するに……」

「推測するに?」

「聖都の内部でニヒルが何者かに封印されている可能性があります」


***


「つまりニヒルは聖都内部に存在し、獣は聖都を襲って内部にいるニヒルを解き放とうとしているから。そしてニヒルが聖都内部で獣を召喚しないのは何者かによって阻害されているわけだな」

「そうです。それに加え、獣が第二次神権大戦から存在していることからニヒルも第二次神権大戦からこの世界に存在しています」

「より一層、獣を放置できなくなったな」

「私の方でリサさんには報告しておきます。リサさんからの考察も後で聞きましょう」


 この世界も結構ギリギリなのかもな。

 んー、やることが山積みだな。


「君たちが何を言っているのかあんまりわからなかったけど、この世界が終焉に向かっているってこと?」

「簡単に言えばそうだな」


 エルピスは俺たちの方を向いて、一呼吸置く。

 そして口を開く。


「ならこの世界に存在する神として、君たちに対して全面的に協力しよう!」

「お、本当か? 是非お願いしたい」


 エルピスが仲間になった。めっちゃ嬉しいな。

 それに現地民から協力を得られるのは色々と便利だ。


「まず手始めに部屋に居候させてほしい。その後は食料の調達、そして情報収集に護衛、バイブス上げにミラーボールの設置からオールデイライトパーリーゴッドを任せる」

「後半が意味不明なんだけど」

「やってくれたら信仰をもっとあげるぞ」

「任せてちょうだい! バリカン剃り上げにニラボイルね!!」


 何言ってんだこいつは。

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