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アポカリプスロード:Extend  作者: 中村 りゅうや
第一章 マントルロード
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D-33 出会いは突然に

第一章 一節 『神々が眠る日』

始まりです。

しばらく週一投稿になります。

また、閑話であるD-32の投稿は先になります。

D-32は本筋に関係ない話ですので、読まなくても支障はありません。

 朝、起きてすぐにすることはただ一つ。

 時間を確認すること。


「っぶねぇー。11時58分、まだまだ午前」


 アンニル団のみんなは基本的に早起きだ。

 そのためか、午後に起きてリビングに行くと、白い目で見られる。

 さすがに、午後起床は不健康だ。

 なるべく午前に起きるように努力はしている。

 昔はこんなんではなかったんだがな。

 やはり、アンニル団が悪いのか。


「ぷはぁー! やっぱ、これだよなー!」


 寝起きのエナドリ。

 一日の始まりはこうでなきゃ。

 洗面室で顔を洗って、寝癖を直す。

 適当に着替えて、汚れ物を洗濯機の中に入れる。

 洗濯は基本的に基地に待機している者が行うことになっている。

 今日はヘイゼルのはずだ。

 

 リビングへ向かう。


「おはようー」


 リビングにはリサとヘイゼルがいた。


「おはようございます」

「おはよう。相変わらず遅いわね」


 リサがご飯を用意してくれた。

 ご飯に関しては基本的にリサが用意する。

 リサがいない場合は作り置きされている。

 作り置きも無かったら各自で作る。


 今回は、ヘイゼルとリサと三人でご飯を食べる。

 俺にとっては朝食だが、二人は昼食だ。

 なので、メニューはカルボナーラだ。

 ちなみに朝は、ご飯に納豆、焼き魚、味噌汁、漬け物だそうだ。食べたかった。


「ヘイゼルは最近どう? 新刊は書けたのかしら?」

「脱稿は済みました。今は入稿の作業をしています」

「あら、そうなの。楽しみだわ」

「完成しましたら、頒布します。楽しみに待ってください」


 カルボナーラを食べながら聞く。

 新刊はあの時言ってたやつか?


「そういえば、ジエンも人気になっていますね」

「そうなのか?」

「えぇ、初配信が強烈でしたので……反響がすごいこたになってます」


 半信半疑のままコスマで調べてみる。

 うわ、ほんとだ。俺に関することを投稿している人が多い。

 配信中にトレンド入りもしていたみたいだ。


「俺のどこに人気要素があるんだろうか。顔面は良くて中の中だし、ユーモアがあるとは思えない。いたって普通の人間なのに」

「自己評価能力E −ですね」


 それはどういう意味だ?

 俺が普通の人間ではないと言いたいのか?


「それより、二人には重要な話があるわ」

「カルボナーラを食べている最中にか?」

「別に話を聞けないわけじゃないでしょ?」


 それはそうだな。


「二人にアゼンピアの救世を命じるわ」

「結構重要な話だな」

「かしこまりました。詳細をお願いします」


 カルボナーラを食べながらする話ではない気がするが……ま、いいか。


「虚無強度はB +よ。だから、アレルハライドみたいに全員集合はできないと思ってちょうだい」

「……ん? 虚無強度が上がると全員集合ができないのか?」


 そんな仕様があるとは聞いていない。


「そうですね。虚無強度はニヒルの強さを示します。虚無強度がB以上の世界には安易に渡れません。下手したら、世界移動の際に生じる歪みからニヒルが別世界に侵食してしまう可能性があるからです。そのため、B以上の世界には二人だけしか渡らないようになっています」


 なるほど、結構やばいなそれ。


「しかし、デメリットだけではありません。虚無強度が高いということはニヒルが活発に動いているということです。そして、ニヒルが活発ということは、それだけ世界の強度が高いのです。つまり、権能を完全隆起で使用可能なのです」

「そいつはありがたいな」


 ピンチに陥ったらヘイゼルが権能でチョチョイのちょいってか。


「さてと、アゼンピアに送るのは三日後よ。作戦名は神々が眠る日よ。頑張ってね」


 リサはそう言って食器を片付け始めた。


「なぁ、作戦名って本当に他意はないんだよな?」

「えぇ、そうですね」


 なら、アレルハライドの作戦名がシケンの言ってたことと一致してるのは偶然か?

 偶然な訳ないか。

 普通に他意ありまくりだな。


「それと一つ気になってたんだが、なぜ今すぐに八柱目を討伐しに行くないんだ?」


 アンニル団の最終目標はニヒルの根絶。

 それは八柱目を討伐すれば大体解決する。

 それをしない理由があるんだろう。


「そうですね……理由は色々ありますが、八柱目の所在が掴めていないのが主な理由です。これに関してはシュウゴさんが調べています。所在が掴め次第、討伐する予定です。他にも八柱目の情報が少ないのもあります。戦う以上、情報があるに越したことはありませんから」

「なるほどな」


***


 場所は転移部屋。

 ここでは、扉で移動できない世界への移動が可能になる。


「準備はいいわね?」

「もちろん」

「準備万端です」


 いよいよ、アゼンピアに行く。

 今は最終確認だ。


「行き先はアゼンピア、虚無強度はB+、作戦名:神々が眠る日――開始よ」


 少しの浮遊感、そして空気が変わる。

 アンニル団方式の転移は少し苦手だな。

 ボロいエレベーターに乗ってる感覚だ。めっちゃ揺れている。

 地に足がつく。

 転移が終わったようだ。

 目を開ける。


「は?」


 辺り一面獣だらけ。

 牙を唸らせ、敵対している。


「……とりあえず、迎撃?」

「そうですね。それでいきましょう」


 ヘイゼルと背中合わせで剣を構える。

 獣が俺に飛びかかる。

 その動きに合わせて剣を振るう。

 瞬間――


「どっせぇぇえええい!!」


 上から人が突っ込んできた。


「せいっ! やぁ! はっ!」


 棒を巧みに使いながら獣を蹴散らしていく。


 獣が全て倒される。

 そして、俺たちに近づいてくる。


「加護、買って行かない?!」


***


「へぇー、ジエンたちは異世界人なんだね」


 とりあえず、話を聞いてもらえることになった。


「それで、お前は誰なんだ?」

「私の名前はエルピス。神様だよ!」

「見栄は張らなくていいんだぞ」

「見栄じゃないし。本当だし」


 ヘイゼルに肩を叩かれる。

 どうやらエルピスの解析をしたようだ。

 結果は……ふむ……神性保有者……つまり神様と


「本当に神様なんだな。疑って悪かった」

「別にいいよ。ていうか、その反応だと異世界って神はあんまいないの?」

「まぁ、大体の世界はそうだな。いたとしてもこうやって人間と話すことは稀だな」

「あー……そういう……」


 エルピスにも思い当たる節があるんだろうか。


「とりあえず聖都に行こう!」

「聖都?」

「大きな塔が見えるでしょ? あそこが聖都」


 確かに見えるな。

 てか、あの塔大きすぎないか?

 宇宙にまで到達してそうだが。


「とりあえず出発しよう! 道すがらこの世界のことについても教えてあげるね!」


***


「なるほど……まとめると、この世界には人間と神がいる。そして、神は信仰がないと存在できない。だが、神の個体数が増えるつれ信仰――人間が枯渇していった。そこで、神は人間を奪い始めた」


 これが俗に言う第一次神権大戦。


「その戦いは太陽神の勝利で終わった。太陽神は人間を効率的に支配しようとした。しかし、この支配に異を唱えた神による太陽神への反逆が行われた」


 これが第二次神権大戦。


「その戦いも太陽神の勝利で収まった。そして、太陽神は人間を支配して信仰を徴収するようになった。それで、人間と神が住む都――聖都が作られた。人間から信仰を徴収する太陽神とその側近の神たちによる神聖院、人間と売買して信仰を集めるエルピスみたいな神がいるわけだな」


 そして、太陽神はあの塔の頂上に住んでいると。


「私たちみたいな弱小の神は人々に信仰を貰わないと存在できないんだ。たまに神聖院からの依頼の報酬で信仰が貰えたりするんだけどね。さっきの獣の討伐もそれなんだ」


 神がこんな身近にいることも驚愕だが、それよりも人々に乞わないと存在できない神がいることの方が驚きだ。

 俺が別世界で見聞きした神は人に乞うたりはしないからな。


「それでは私の方から質問を。先ほどの加護とは何でしょうか?」

「私たちの保有する神権に基づいた特典みたいなもの。例えば太陽神の加護だと日光を浴びれば浴びるほど元気になるとかね」

「なるほど。それならエルピスは何の神様なんだ?」

「わかんない」

「わかんない?」

「そうなの。私が何の神なのか覚えてないんだよ」


 え? じゃあ何?

 エルピスは自分が何を司っているのかもわからないのに、俺たちに加護を買わせようとしたの?


「それよりも信仰欲しいなぁー? くれないかなぁー?」

「がめついな」

「えー? でも、獣倒したよ?」

「それもそうですね。信仰をお渡ししましょう。どうやって渡せばいいですか?」

「適当に『エルピスを信じます!』って祈ればいいよ」


 そんな適当でいいのか。


「エルピスを信じます!!」


 ヘイゼルが言った。

 言うの早くない? ほとんどノータイムだったぞ。


「お、いい感じ。信仰流れてきてるよぉー!」


 本当にそれでいいんだ。

 なら俺も言うか。


「エルピスを信じる!」

「ジエンからも流れてきてるよ!」


 エルピスは満足そうだ。

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